●大阪市・中之島香雪美術館で「珠玉の村山コレクション〜ほとけの世界にたゆたう展」開催(10/6〜12/2) (2018年9月29日)
2018年3月に開館した大阪市・中之島香雪美術館で、開館記念展「 珠玉の村山コレクション 〜愛し、守り、伝えた〜第W期展 ほとけの世界にたゆたう」が開催されます。
開催期間は2018年10月6日(土)〜12月2日(日)です。
詳しくは、
中之島香雪美術館HP・
展覧会ページをご覧ください。
中之島香雪美術館は、神戸市東灘区にある香雪美術館の分館、2番目の美術館として、今年3月、新たに竣工した高層ビル「中之島フェスティバルタワー」に開館しました。
ご存知の通り、香雪美術館は朝日新聞社の創業者・村山龍平が収集した、日本・東洋の古美術品などを収蔵する美術館です。
現在、開館記念展として、村山コレクション約300点を5期にわたって紹介する特別展「珠玉の村山コレクション 〜愛し、守り、伝えた〜」を開催中です。
10月からは、仏教美術コレクションを紹介する、第W期展「ほとけの世界にたゆたう」が開催されます。
絵画、書跡、茶道具などが中心の村山コレクションですが、見どころのある仏像もいくつか所蔵されています。
今回展示される主な仏像展示は、
木造薬師如来立像(重文・平安前期)、木造観音・勢至菩薩立像2躯(重美・南宋・金代)、金銅菩薩半跏像(白鳳もしくは三国時代)、木造地蔵菩薩像(鎌倉)
などのようです。
(出品リストがまだ掲載されていません)
私の注目像は、木造薬師如来立像(重文・平安前期)です。
香雪美術館・薬師如来像(平安前期・重文)
この薬師如来像は、9世紀前半を降らない平安前期彫刻の優品として知られています。
像高129pの漆箔彩色像で、頭頂から蓮肉まで木心を込めた一材から彫り出され、内刳りはありません。
最澄が比叡山根本中堂に安置した「朱衣金体」の薬師像の伝統をひく像ではないかと云われています。
堂々たる重量感ある肉躰に豊満感ある面相で、迫力を感じる像です。
また、眼鼻や耳、衣文などは特異で個性的な造形で、ちょっと地方的な雰囲気も醸しています。
この薬師如来像は、神戸の香雪美術館では、たまにしか出展されなかった仏像で、あまり広く知られていないのかもしれませんが、必見の、迫力満点の平安初期一木彫像です。
●東京国立博物館で「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ展」開催(10/2〜12/9) (2018年9月22日)
東京国立博物館で、特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」が開催されます。
開催期間は、2018年10月2日(火) 〜 2018年12月9日(日)です。
詳しくは、
東京国立博物館HP・
展覧会ページ並びに
展覧会公式サイトをご覧ください。
京都・大法恩寺は千本釈迦堂の名で親しまれる、鎌倉初期開創の古刹です。
今回の特別展では、大報恩寺に伝わる伝わる仏像が、全て勢ぞろいで出展されます。
東博展覧会ページには、
「本展では、大報恩寺の秘仏本尊で、快慶の弟子、行快作の釈迦如来坐像、快慶作の十大弟子立像、運慶の弟子筋にあたり、行快とほぼ同じ世代である肥後定慶作の六観音菩薩像など、大報恩寺に伝わる鎌倉彫刻の名品の数々を展示いたします。」
と、紹介されています。
この他に、平安時代(10C)の千手観音像(重文)なども併せて出展されます。
出展仏像などの詳細は、展覧会ページ・
展示作品リストをご覧ください。
今回の注目仏像は、秘仏本尊・釈迦如来坐像の出展です。
この像は、快慶の弟子、行快の代表作として知られていますが、秘仏として祀られ、年に数回、8月、12月、1月の数日しか開扉されません。
本堂厨子の中に祀られていますが、開扉の際も、本堂外陣の離れたところからの拝観で、堂内も暗めで、なかなか細かいところまでは、よく拝することが出来ません。
博物館に出展されるのは、私の記憶では初めてではないかと思われ、明るい照明の中で近くから観ることが出来るのは愉しみです。
大報恩寺〜行快作・釈迦如来像、快慶作・十大弟子像
大報恩寺〜肥後定慶作・六観音像
快慶作・十大弟子像、肥後定慶作・六観音像などは、普段でも宝物館の明るい照明の中で、いつでも拝することが出来ますが、今回の特別展では、六観音像が、展覧会の前後半(10/28迄と10/30以降)で、光背付きの姿と、光背無しの姿が、360度ビューで観ることが出来るということです。
光背無しの後ろからの姿は、お寺では拝することが叶いません。
肥後定慶の仏像の造形表現を360度ビューでじっくり観ることが出来るまたとないチャンスだと思います。
●静岡県下田市の上原美術館で「伊豆の平安仏〜半島に花ひらいた仏教文化展」開催(9/22〜12/9) (2018年9月16日)
静岡県下田市の上原美術館でリニューアル1周年記念 特別展 「伊豆の平安仏―半島に花ひらいた仏教文化―」が開催されます。
開催期間は、2018年9月22日(土)〜12月9日(日)です。
詳しくは、
上原美術館HP並びに
特別展開催プレスリリースをご覧ください。
ご存知の通り、上原美術館は開館以来35年間、伊豆の仏教文化の調査を継続的に行っている数少ない美術館です。
これまでも、伊豆の仏像についての数多くの展覧会が開催されていますが、今回は、美術館リニューアル1周年を記念して、美術館の継続調査にもとづく「伊豆地方の平安仏」19点(21体)が出展される特別展が開催されるものです。
出展予定リストは、
特別展開催プレスリリースに掲載されています。
「河津平安の仏像展示館」(河津・南禅寺)から出展の仏像を除くと、知られざる伊豆の平安仏ばかりです。
プレスリリースよれば、本展の注目仏像は、
寺外初公開となる金龍院の千手観音立像、並びに 60年に1度公開の秘仏となっている 松崎町松尾区・不動明王像 と 下田市須原法雲寺・如意輪観音像
で、今回、特別に出展されることになったということです。
金龍院(伊豆市)千手観音像(県指定・平安) 松尾不動堂(松崎町)不動明王像(町指定・平安) 法雲寺(下田市)如意輪観音像(平安)
法雲寺・如意輪観音像は、なかなか興味津々の平安古仏で、2015年3月に60年に一度のご開帳に訪れたときの拝観記を
「観仏日々帖」に掲載させていただいたことがあります。
伊豆の下田まで出かけられるのも大変かもしれませんが、今回の出展仏像の顔ぶれを見ると、伊豆半島の平安古仏にご関心のある方には、十二分に一見の価値ある大変興味深い展覧会だと思います。
●三井記念美術館で「仏像の姿(かたち)展」開催(9/15〜11/25) (2018年9月1日)
三井記念美術館で特別展「仏像の姿(かたち)〜微笑む、飾る、踊る」が開催されます。
開催期間は、2018年9月15日(土)〜11月25日(日)です。
詳しくは、
三井記念美術館HP・
展覧会ページをご覧ください。
展覧会HPによると、
「本展覧会は、これらの仏像の作者である「仏師」の豊かな感性と独創性、そして高度な技術に光を当て、特に仏像の「顔」「装飾」「動きとポーズ」を切り口に、日本人の心と創造力様々な角度からご覧いただくことに挑戦します。
・・・・・・・・
写真では分からない、まさに「仏師がアーティストになる瞬間」を、本展で是非ご体感ください。」
と、開催趣旨が述べられています。
展示仏像の目録は、まだ掲載されていませんが、主な出展仏像は
HP・展覧会ページに掲載されています。
私の注目は、岐阜 臨川寺・菩薩坐像です。
この菩薩像は2躯一対
(展覧会には1躯のみ出展か?)、9世紀中ごろ、平安前期の制作に遡る像で、大阪四天王寺・阿弥陀三尊と共に、浄土群像の平安初期に遡る遺品として貴重なものとされています。
2010年に、国の重要文化財に指定されました。
(重文指定時は常楽寺蔵となっていますが、現在は臨川寺となっています。〜岐阜県博物館寄託〜)
小像(27〜8p)ながら、なかなか魅力的な造形です。
私は、この像は未見で、本展覧会で観ることが出来るのが愉しみです。
岐阜 臨川寺・菩薩坐像(平安前期・重文)
他には、個人蔵・天部像(平安前期)、大阪 長圓寺・十一面観音像(平安前期・重文)、個人蔵・弥勒菩薩像は、私の結構お気に入りの仏像です。
最近では、長圓寺・十一面観音像は、2017年春、大阪市立美術館「木×仏像展」に、個人蔵・天部像、弥勒菩薩像は、2017年秋、細見美術館「末法〜失われたコレクションを求めて展」に出展されています。
●多摩美術大学美術館で「加東市×多摩美〜神 心 人 心願の地展」開催(9/1〜10/14) (2018年8月18日)
東京都多摩市の多摩美術大学美術館で、特別展「加東市×多摩美〜神 心 人 心願の地」が開催されます。
開催期間は、2018年9月1日(土)〜10月14日(日)です。
詳しくは、
多摩美術大学美術館HP、
展覧会ページをご覧ください。
加東市といわれても、ちょっとなじみがないかもしれません。
兵庫県神戸市から北西に25キロほど、浄土寺のある小野市の北、東播磨地方にある町です。
今回の特別展は、この加東市の伝統、文化財を多摩美術大学がタイアップして紹介するという企画展です。
展覧会ページによれば、
「当該エリアは、律令制の播磨国で賀毛郡の大部分を占め古来ひとつの文化圏を形成してきました。
・・・・・
本展で注目するのは、加東市内の文化財にみる心願の伝承。
『播磨国風土記』の世界・仏教文化・中世の姿を色濃く留める神事舞や祭り、さらに近世の遍路文化を取り上げ、祈りの原風景と守り伝えられた文化の息吹をお伝えします。
特別開扉の秘仏そして地域に伝わる特別出品の仏像、市外初出品となる中世の面や工芸品・出土遺物など必見の造形から豊かな文化の姿をご発見ください。」
と、紹介されています。
仏像は、白鳳期の小金銅仏(播州清水寺・市指定文化財)のほか、平安〜鎌倉時代制作の7躯が出展されるようです。
出展される朝光寺の千手観音像(県指定文化財)は、朝光寺に2体ある本尊・千手観音像のうち、東本尊と呼ばれているもので、ヒノキの一木彫、平安後期の制作です。
西本尊は、京都三十三間堂の千手観音像の一体であったものが、いずれの時期に当寺にもたらされたもので、鎌倉時代の制作です。
この2本尊は、60年に一度のご開帳の秘仏とされており、直近では2012年10月にご開帳がありました。
朝光寺の秘仏東本尊・千手観音像を拝することが出来ると共に、めったに訪れることはない加東市の仏像を観ることが出来るチャンスではないかと思います。
(左)播州清水寺・銅造菩薩像(白鳳・県指定文化財) (右)朝光寺・東本尊千手観音像(平安後期・県指定文化財)
京都市左京区の泉屋博古館で、特別展「仏教美術の名宝」が開催されます。
開催期間は、2018年9月8日(土)〜10月14日(日)です。
詳しくは、
泉屋博古館HP・
展覧会ページをご覧ください。
展覧会HPによると、
「仏教美術発祥の地ガンダーラの石彫から中国、朝鮮の金銅仏、そして日本の木彫仏や仏画など、他館からの借用品も交えて、ご紹介します。
特に金銅仏では、日本に正式に仏教が伝わる前に北魏で制作された作品や、白鳳天平時代仏教美術の源流である唐時代の作品他、近年、朝鮮7世紀の優秀な作品として話題となった京都八瀬の古寺にひっそりと伝わった半跏思惟の御像も特別に展示します。」
との開催趣旨が述べられています。
主な展示品は、ご覧のとおりです。
開催趣旨でもふれられているように、北魏・太和年銘のある像として知られる、2躰の小金銅仏像や、昨年、朝鮮作の金銅仏であるとの調査結果が発表されて、大きな話題となった、八瀬・妙傳寺の菩薩半跏像が出展されます。
●京都国立博物館で「百万遍知恩寺の名宝展」開催〜快慶作?阿弥陀像展示(8/7〜9/9) (2018年7月14日)
京都国立博物館で企画展「特集展示・百万遍知恩寺の名宝」が開催されます。
開催期間は、2018年8月7日(火)〜9月9日(日)です。
詳しくは、京都国立博物館HP・
展覧会ページをご覧ください。
京都市左京区にある知恩寺は、ご存じのとおり、浄土宗宗祖・法然上人開基の七大本山の一つで、第二世・源智上人が「知恩寺」と名づけました。
本展覧会は、近年実施された、知恩寺所蔵文化財の悉皆調査の調査研究成果をもとに、知恩寺の数多くの文化財を一堂に展示する企画展です。
知恩寺の名宝としては、展覧会ポスターの顔輝作「蝦蟇鉄拐図」が大変有名ですが、仏像愛好者にとっての注目は、快慶作ではないかとみられている阿弥陀如来立像が出展されることです。
この阿弥陀如来像は、平成18年(2006)、知恩寺の宝物調査で、新たに見いだされた像です。
いわゆる三尺阿弥陀像の優品で、建久5年(1194)頃の快慶作である京都・遣迎院の阿弥陀如来像と極めて近い作風を示しています。
新発見当時には、新聞各紙が「知恩寺で快慶作の仏像、新発見!」といった記事を掲載し、大変な注目を浴びました。
墨書銘などがない「無銘記」の像であるため、快慶作とは確定できないのですが、作風、彫り口の癖、出来栄えの見事さなどから、快慶作の可能性が高いとみられている像です。
近年のX線CT撮影で頭部と体幹部に、巻紙状の品が納入されているのが確認されていますが、取り出しは行われていません。
知恩寺・阿弥陀如来像とX線CT画像 遣迎院・阿弥陀如来像〜建久5年(1194)頃・快慶作
昨年(2017)春、奈良博で開催された「快慶展」に遣迎院・阿弥陀如来像と並んで展示されていましたので、その見事な出来栄えを覚えておられる方も多いのではないかと思います。
この知恩寺・阿弥陀如来立像は、普段は公開されておらず、拝観できません。
たまに、京都非公開文化財特別公開などで、拝観可能となることがありましたが、「快慶作?三尺阿弥陀の優品」を、博物館でじっくりと鑑賞できるチャンスではないでしょうか。
東京国立博物館で、特別展「名作誕生−つながる日本美術」が開催されます。
開催期間は、2018年4月13日(金) 〜5月27日(日)です。
詳しくは、東京国立博物館HP・
展覧会ページ並びに
展覧会特設サイトをご覧ください。
日本を代表する美術研究誌「国華」創刊130周年、朝日新聞140周年を記念して開催される特別展です。
開催趣旨については、次のように述べられています。
「日本美術史上に輝く『名作』たちは、さまざまなドラマをもって生まれ、受け継がれ、次の名作の誕生へとつながってきました。
本展では、作品同士の影響関係や共通する美意識に着目し、地域や時代を超えたさまざまな名作誕生のドラマを、国宝・重要文化財含む約130件を通してご紹介します。」
日本美術の綺羅星のごとくの名品、優作が数多く出展されます。
この展覧会は、絵画や工芸品が中心で、仏像の出展はほとんどないのだろうと思っていましたが、意外や意外、普段はなかなか拝することが大変で、興味深い仏像が多数出展されます。
「一木の祈り」と題するテーマ設定で、一室丸ごと、一木彫像が展示されるようです。
展示仏像は、ご覧の通りです。
以上の仏像のほか、「祈る普賢」のテーマ展示で、大倉集古館蔵、国宝・普賢菩薩像(平安後期)が出展されます。
展覧会のすべての展示品一覧は、東博HP・
展示品リストをご覧ください。
見どころある、奈良時代から平安前期の一木彫像が、出展されます。
唐招提寺の伝薬師像、伝衆宝王菩薩像、元興寺の薬師像といった名品は、見慣れたところだと思いますが、そのほかの出展一木彫像は、あまり知られてはいませんが、「迫力も魅力も満点の必見像」といえる興味深いものばかりです。
また、ほとんどが、普段はお寺でもなかなか拝観が難しく、また博物館に出展されることもめったにありません。
道明寺の「試みの十一面観音」と称される観音像は、国宝十一面観音像の陰に隠れてあまり知られてはいませんが、奈良時代の興味深い檀像で、普段は拝観が叶いません。
また、奈良桜井・笠区、京都城陽・阿弥陀寺、大阪貝塚・孝恩寺、兵庫淡路島・成相寺、京都相楽郡・春光寺のそれぞれの薬師如来像は、それぞれ大変辺鄙なところにあり、訪れること自体がなかなか大変で、拝観もしっかりと予約を取っていかないと拝することができない仏像です。
大阪 道明寺・十一面観音像 京都相楽郡 春光寺・薬師如来像 兵庫淡路 成相寺・薬師如来像
なかでも、桜井市笠区の薬師如来像、京都相楽郡の春光寺・薬師如来像は、私の記憶では、これまで一度も博物館に出展されたことはないと思います。
最大の注目は、笠区妙円寺の薬師如来立像が出展されることです。
鋭い切れ味の衣文、キリリと引き締まった体躯が、強い存在感を感じさせる「知られざる名作」で、私のお気に入りの上位にランキングされる像です。
この薬師像に、博物館で再会できるのを、ワクワクして心待ちにしています。
奈良桜井市 笠区妙円寺・薬師如来像(9世紀・重文)
なお、
京都城陽市・阿弥陀寺の薬師像、 京都相楽郡・春光寺の薬師像、 奈良桜井市笠区の薬師像 については、「観仏日々帖」で、それぞれ以前にご紹介していますので、ご覧ください。
東京国立博物館で、特別展「仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」が開催されます。
開催期間は、2018年1月16日(火) 〜 2018年3月11日(日)です。
詳しくは、東京国立博物館HP・
展覧会ページ並びに
展覧会特設サイトをご覧ください。
本展覧会は、仁和寺と全国の御室派寺院の見どころある仏像が、一挙、勢ぞろいする展覧会です。
展覧会の開催趣旨は、次ように述べられています。
「御室桜で知られる仁和寺は、光孝天皇が仁和2年(886)に建立を発願し、次代の宇多天皇が仁和4年(888)に完成させた真言密教の寺院です。
歴代天皇の厚い帰依を受けたことから、すぐれた絵画、書跡、彫刻、工芸品が伝わります。
創建時の本尊である阿弥陀如来像(国宝)は、当時もっともすぐれた工房の作品です。
また、高倉天皇宸翰消息(国宝)は皇室との深いかかわりを物語るものです。
本展覧会では、仁和寺の寺宝のほか、仁和寺を総本山とする御室派寺院が所蔵する名宝の数々を一堂に紹介します。」
出展仏像の一覧については、東博展覧会HP・
作品リスト〜御室派のみほとけ をご覧ください。
出展仏像をみると、よくこれだけの御室派の興味深い仏像を集結ことが出来たものと、ビックリしてしまいました。
「仁和寺展」の主な出展仏像写真が掲載されたチラシ
最大の注目仏像は、
仁和寺・薬師如来像、葛井寺・千手観音像
の2躯が出展されることでしょう。
(左)仁和寺・薬師如来像(平安・国宝) (右)葛井寺・千手観音像(奈良・国宝) .
仁和寺・薬師如来坐像は、霊明殿に祀られる厳重秘仏で、この秋の京博「国宝展」で、18年ぶりに公開されましたが、この仁和寺展にも出展されます。
1103年、円勢・長円により造られた小檀像で、昭和61年(1986)の学術調査の時に、調査発見され、平成元年(1989)に重要文化財に、翌平成2年に「国宝」に指定されました。
葛井寺・千手観音坐像は、実際に千本の手を有する奈良時代の脱活乾漆仏像として著名です。
毎月18日の開扉の日のみ拝観できるのですが、お堂の厨子に祀られた像は、薄暗くてはっきり克明に拝することは出来ません。
この像も、寺外に出て展示されるのは、1985年に大阪市立美術館で開催された「葛井寺千手観音展」以来33年ぶりのことだと思います。
東博の展示(2/14から展示)では、明るい中で眼近に克明にみることが出来ると思います。
また、普段は秘仏で限られた日にしか拝することが出来ない、
兵庫神呪寺・如意輪観音像、大阪道明寺・十一面観音像、福井中山寺・馬頭観音像、徳島雲辺寺・千手観音像
が、出展されます。
そのうち、神呪寺・如意輪観音像、雲辺寺・千手観音像は、私も拝したことがありません。
神呪寺・如意輪観音像(平安・重文) 道明寺・十一面観音像(平安前期・国宝) 徳島雲辺寺・千手観音像(平安後期・重文)
その他にも、
仁和寺・阿弥陀三尊像、神奈川龍華寺・菩薩踏下像、京都遍照寺・十一面観音像、香川屋島寺・十一面観音像、三重蓮光院大日如来像
など、注目の仏像も出展されます。
2018年、年明け早々から、仁和寺の寺宝が総動員され、仁和寺並びに御室派寺院の名だたる仏像が勢ぞろいする「仁和寺展」、必見の展覧会です。
横浜市金沢区の神奈川県立金沢文庫で特別展「運慶〜鎌倉幕府と霊験伝説」が開催されます。
開催期間は2018年1月13日(土)〜3月11日(日)です。
詳しくは、
金沢文庫HP・
展覧会ページをご覧ください。
今秋、東京国立博物館で「運慶展」が開催され、大盛況で終幕となったばかりですが、今度は、神奈川県立金沢文庫で「運慶〜鎌倉幕府と霊験伝説」展が開催されます。
この展覧会は、運慶と鎌倉幕府との関係や、運慶仏が霊験あらたかなものとして信仰されたことに注目して、それに関連する作品をご紹介するものです。
展示仏像目録は、まだ公開されていませんが、金沢文庫HP・展覧会ページによると、主要な展示仏像は、次のとおりです。
主には、東博「運慶展」に出展されなかった運慶関連仏像が、出展されるようです。
修善寺所蔵の大日如来像は、運慶一派の実慶作の仏像として著名ですが修善寺では限られた日にしか拝することが出来ません。
展覧会で、じっくり観ることが出来るのは愉しみです。
(左)静岡修善寺・大日如来像(1210年・実慶作) (右)埼玉保寧寺・阿弥陀如来像(1196年・宗慶作)
なお、本展覧会関連の講演会、講座が多数開催されます。
本HP【ご紹介】
「神奈川県立金沢文庫で、運慶関連講座・講演会が連続開催」で講座開催情報などをご紹介していますのでご覧ください。