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秘仏御開帳


全国の秘仏御開帳情報は、下記サイトの「仏像の公開情報」に詳しく掲載されていますので、そちらもご覧下さい。

観仏 三昧 ─仏像と文化財の情報ページ─
〈展覧会情報、仏像の公開情報、講演会・シンポジウム情報などを詳細に紹介しているサイトです。〉
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東近江市 瓦屋禅寺の秘仏本尊・千手観音像が50年ぶりの御開帳(10/1〜12/3)(2023年9月22日)


滋賀県東近江市の瓦屋寺の秘仏本尊・千手観音像が、50年ぶりの御開帳となります。

   

御開帳期間は、2023年10月1日(火)〜12月3日(火) です。
詳しくは、瓦屋禅寺HP並びに特別大開帳情報ページをご覧ください。

瓦屋寺の千手観音像は、大正10年(1921)に旧国宝(現重要文化財)に指定された平安後期の像なのですが、秘仏として拝することが出来ないためか、近江の仏像を採り上げた本などにも紹介されることが少なく、あまり知られていないのではないかと思います。

    
(左)瓦屋寺・千手観音像(平安後期・重文)、(右)瓦屋寺・本堂

瓦屋寺は、聖徳太子が四天王寺建立の際、当地の土で瓦を造ったと伝える古刹で、今般、聖徳太子1400年御遠諱を記念して、秘仏として祀られる十一面千手観音像が50年ぶりに御開帳されることになりました。

本像は、実際に千本の手がすべて備わった、「真数千手」の作例として、知られています。
像高:160.5p、彩色をしないカヤ材の素地の一木彫像で、等身像なのに蓮肉までを根幹材と共木(現状は両足部分を残して後補の蓮肉を差し込み)という、極めて古様な造形となっています。
いわゆる代用檀像です。

解説書には、次のような解説がされています。

「森厳さを残存する相好など古様をみせているが、わずかに鎬のある着衣の彫りは浅く、その制作は12世紀に入ってからとも考えられている。」
(佐々木進氏執筆「仏像集成・第4巻」1967年・学生社刊)

「等身大の代用檀像像。
像は11世紀後半頃の作ですが、千本の手や裾の衣文など、8世紀の様風をとどめています。
寺は聖徳太子建立、奈良時代には東大寺に属していたので、このような異色の像が安置されていたものでしょう。」
(井上正著「檀像〜日本の美術253号」1987・年至文堂刊)

奈良末〜平安初期の檀像に倣って、平安後期に制作された古様な真数千手の代用檀像というもののようで、なかなか興味深いものがあります。

この御開帳の機会に、是非とも、拝してみたいと思っています。





東大寺法華堂の秘仏・執金剛神像が良弁1250年忌で特別開扉(10/1〜10/16)(2023年9月20日)


東大寺法華堂の秘仏・執金剛神像が、東大寺開山良弁僧正1250年御遠忌記念で特別開扉されます。

 
東大寺法華堂の執金剛神像(奈良・国宝)

特別開扉期間は2023年10月1日(日)〜10月16日(月)です。
詳しくは、東大寺HP秘仏国宝特別開扉ページをご覧ください。

法華堂の執金剛神像(奈良・国宝)は、ご存じのとおり、年に一日限り、良弁忌の12月16日に限って毎年開扉されています。
厳寒のなか、この日の開扉のために、法華堂を訪ねた方も、多いことと思います。

本年は、東大寺開山の良弁僧正1250年御遠忌にあたることから、秋の17日間、特別に開扉されることになりました。
年に一日限りのピンポイントの開扉で、なかなか出かけるのも大変な執金剛神の拝観でしたが、気候の良い秋に拝することが出来る絶好の機会です。





東大寺開山堂の秘仏・良弁僧正像が法華堂で特別拝観(10/28〜11/19)(2023年9月20日)


東大寺開山堂の秘仏・良弁僧正像が、法華堂において特別拝観となります。

 
東大寺開山堂の良弁僧正像(平安・国宝)

特別拝観期間は、2023年10月28日(土)〜11月19日(火) です。
詳しくは、東大寺HP秘仏国宝特別開扉ページをご覧ください。

東大寺開山堂の良弁僧正像(平安・国宝)は、秘仏となっており、年に一日限り、執金剛神開扉と同じ日の12月16日(良弁忌)に限って、毎年、開山堂において特別拝観が行われています。

 
良弁僧正像が祀られる東大寺開山堂

本年は、東大寺開山の良弁僧正1250年御遠忌にあたることから、法華堂・執金剛神像の特別開扉(10/1〜10/16)に続いて、特別拝観が行われることとなりました。
御拝観は、例年の開山堂ではなく、法華堂内において行われるということです。

本像は、ヒノキ材の一木造りの彩色像で、堂々たる端正な造形です。
制作年代については、東大寺要録に良弁忌の始まった年として記される寛仁3年(1019)頃の制作とする見方が有力なようですが、古様な造形、表現から9世紀頃の制作とする見方もあるようです。

執金剛神の特別開扉と期間がズレているのですが、これまた拝観の絶好の機会です。





山梨 大善寺の秘仏本尊・薬師三尊像が5年に一度の御開帳(10/1〜10/8)(2023年9月20日)


山梨県甲州市勝沼町の大善寺の秘仏本尊・薬師三尊像が御開帳されます。

 

御開帳期間は10月1日(火)〜10月8日(火) です。
詳しくは、
大善寺HP並びに薬師三尊御開帳ページをご覧ください。

大善寺の薬師三尊像(平安前期・重文)は、山梨県屈指の平安古仏の優作として知られていますが、普段は秘仏となっており拝することが出来ません。
今年は、5年に一度の御開帳年にあたり、7日間に限り開帳されます。

薬師像は、像高約90cm、サクラの一木造で、内刳りもなく、腕までも一本の木で刻み出す古様な造りで9〜10世紀の制作とされています。

    
大善寺・薬師三尊像(平安前期・重文)

堂々たる分厚い体躯の造形ですが、ちょっと頭でっかちで寸詰まりのような体型バランスが、迫力というよりも、何かしら親しみやすさを感じさせます。

これまで展覧会に出展されたり、特別開帳があったりしたことがありましたので、拝されたことがある方も多いのではないかと思います。





東近江市・石馬寺の秘仏本尊・千手観音像が70年ぶりの御開帳(6/10〜25)(2023年6月1日)


滋賀県東近江市の石馬寺の秘仏本尊・千手観音立像が、70年ぶりに御開帳となります。

   

御開帳期間は、2023年6月10日(土)〜6月25日(日) です。

なお、この秋にも御開帳が予定されています。
御開帳期間は、2023年10月7日(土)〜10月22日(日) です。
詳しくは、
石馬寺HPをご覧ください。

石馬寺は聖徳太子ゆかりの古刹として知られています。
聖徳太子が当地を訪れ、馬をつないで霊山・繖山(きぬがさやま)に登り戻ると、馬が池に沈んで石と化したという伝えから、石馬寺と号されたと伝えられます。

本尊千手観音像は厳重秘仏で住職一代一度限りの開帳とされていますが、今回の御開帳は聖徳太子1400年御遠忌に際しての御開帳ということです。
千手観音像の御開帳は、70年ぶりのこととなるそうです。

秘仏千手観音像は、本堂内の厨子に、地蔵菩薩像、毘沙門天像の両脇侍とともに祀られています。
厨子内の3像は、昨年(2022)9月に、東近江市の市指定文化財に指定されています。
長らく厳重秘仏となっていて、どのような像なのか明らかになっていなかったようなのですが、この度の御開帳に先立ち仏像調査が行われ、本尊・千手観音像と毘沙門天像は鎌倉時代の制作、地蔵菩薩像は平安後期の制作と判明しました。
3像共に、像高40p前後の小像です。
滋賀報知新聞NETニュース(2022.09.06)に、本像をはじめとする新指定文化財報道が掲載されています。

 
石馬寺・千手観音像、地蔵菩薩像、毘沙門天像(滋賀報知新聞NETニュース掲載写真)

石馬寺には、阿弥陀如来像をはじめ重要文化財に指定された11躯の仏像(平安〜鎌倉時代)が安置されています。
なかでも、十一面観音像(2躯のうちの1躯)は、10世紀の制作で堂々たる弾力感のみなぎる魅力的な像です。
また、役行者・二鬼像(鎌倉時代)は、迫力ある写実表現で、彫技の冴えを感じる優れた造型で、出色の役行者像だと思います。

  
石馬寺 (左)十一面観音像(平安・重文)、(右)役行者・二鬼像(鎌倉・重文)

これらの重文諸仏を拝するだけでも値打ちのある、一度は訪ねたい処です。

参詣には、14〜5分急な石段を登らなければならないので、結構シンドイですが、訪ねて見られるチャンスではないでしょうか。





高知県 竹林寺の秘仏・文殊菩薩像が開創1300年記念御開帳(4/15〜5/14)(2023年4月13日)


50年に一度御開帳の厳重秘仏となっている、高知市五台山の竹林寺・秘仏本尊文殊菩薩像が特別御開帳されます。
今回の御開帳は、開創1300年を記念しての特別御開帳ということです。

 

御開帳期間は、2023年4月15日(土)〜5月14日(日) です。
詳しくは、
竹林寺HP並びに開創1300年特設サイトをご覧ください。

竹林寺は、神亀元年(724)、聖武天皇の勅願を奉じた行基上人が、文殊菩薩の霊場として名高い大唐五台山になぞらえ開創されたにはじまると、寺伝に伝える古刹です。
数多くの古仏を伝えており、重要文化財に指定されている仏像は14件19躯にのぼり、高知県内で重文指定されている仏像の約3分の1にもなります。

本尊の文殊菩薩坐像(平安後期・重文)は、50年に一度の御開帳が厳重に守られている秘仏本尊で、2014年に50年ぶりの御開帳が盛大に行われました。
今回の特別開帳は、前回御開帳から9年目なのですが、行基開創の寺伝以来1300年を記念して特別に御開帳されることになりました。

     
(左)竹林寺・文殊菩薩像(平安後期・重文)、(右)前回(2014年)御開帳時の竹林寺本堂

秘仏・文殊菩薩坐像は騎獅像で、侍者4躯とで一具で遺されています。
本尊文殊像だけが本堂厨子内に祀られ、そのほかの騎獅と侍者4躯は、宝物館に展示されており、いつでも拝観可能です。

文殊騎獅像は、唐様と宋様の二系統がありますが、竹林寺像は「上半身裸形に近く結跏趺坐」する唐様の系統を伝えるもので、現存最古の遺品といわれています。
(宋様のものは、「全身に衣を着て半跏趺坐」するスタイルで中尊寺・文殊騎獅像がその典型です。)
平安時代後期の制作で、像高60.4p、クス材の一木造りの彩色像です。
頭部が大きく、厚みのある膝組み、太造りの体部をの造形となっています。

この文殊菩薩像は、これまでは50年に一度のご開帳のほかには、公開されたり開帳されたりしたことはなかったようです。
前回(2014年)の御開帳を見逃された方は、今回特別開帳が拝観のチャンスではないでしょうか。





福井市・二上観音堂の秘仏・十一面観音像が御開帳〜33年に一度御開帳(5/4〜5/5)(2023年4月12日)


福井市二上町にある二上観音堂の秘仏・十一面観音像が御開帳になります。

御開帳日は 2023年5月4日(木・祝)〜5月5日(金・祝) です。

   
(左)御開帳チラシ、(右)二上観音堂

二上観音堂の十一面観音像は、越前屈指の平安古仏の優作とされていますが、33年に一度の御開帳の厳重秘仏とされていて、普段は拝することが叶いません。

     
二上観音堂・十一面観音像(9C末〜10C初・重文)

一度は拝してみたいと念じておられる仏像愛好の方も、いらっしゃることと思います。
ゴールデンウイークの2日間に限ってではありますが、待ちに待った御開帳です。

二上観音堂は地区管理のお堂で、御開帳告知HPなどはないようで、照会連絡先も判りませんが、福井市郷土歴史博物館学芸員の藤川明宏氏のツイッターに
「御開帳情報」が掲載されていますのでご参照ください。

本像は、平成6年(1994)に重要文化財に指定されており、この時、東京国立博物館で毎年開催される「新指定文化財展」において展示されたことがあるということです。
その時以来の、拝観のチャンスということになろうかと思います。

像高:187p、ヒノキとされる針葉樹の一木彫で内刳りはありません。
ややいかり肩で胸、腰回りの量感も豊か、見事なプロポーションの堂々たる像です。
翻波衣文や渦文もみられ平安前期の風を感じさせますが、彫口の浅さや、造形におだやかさの兆しがみられることなどから、9世紀末〜10世紀初の制作とみられています。
本像は、左右の眉が連なる「連眉」の表現で、インド風のエキゾチックさを漂わせるお顔が特徴で、そこがまた大変魅力的なように思えます。
同時期頃の連眉像の優作には、慈尊院・弥勒仏像(国宝)、奈良博・如意輪観音像(重文)などがあります。

    
9 C末〜10C初の連眉の優作像〜(左)二上観音堂・十一面観音像(重文)、(中)慈尊院・弥勒仏像(国宝)、(右)奈良国立博物館・如意輪観音像(重文)

二上観音堂のある地は、越前における東大寺の荘園「糞置荘」(くそおきのしょう)のあった地域で、本像の優美な神秘感を漂わせる正統的な造形は、東大寺の影響下で制作された像であるのかもしれません。
本像が、福井市唯一の国の重要文化財指定像であることからも、優れた像であることを証しています。
二上観音堂には、本尊とほぼ同時期制作かと思われる広目天・多聞天像(市指定文化財)も祀られており、御開帳で拝することができるようです。

     
二上観音堂〜(左)広目天像、(右)多聞天像(平安・市指定)

私も、長らく心待ちにしていた未見の秘仏の御開帳で、ちょっと遠くて不便な所ですが、見逃すわけにはいかないと思っています。





愛知 高田寺の薬師如来像が御開帳〜50年に一度開帳の秘仏(11/3〜6)(2022年10月11日)


コロナ禍により「2020年の御開帳」の延期が続いていた、愛知県北名古屋市の高田寺の秘仏本尊・薬師如来像が、いよいよ御開帳されることになりました。

 

御開帳日は2022年11月3日(木・祝)〜11月6日(日)です。
詳しくは、
高田寺HPの特別御開帳〜詳細日程のご案内をご覧ください。

高田寺の秘仏本尊・薬師如来像は、彫刻史上の位置付けにも諸々議論のある注目の仏像なのですが、50年に一度御開帳の厳重秘仏で拝観することが叶いません。
2001年に、本堂改修屋根吹替竣工を記念して特別開帳されたのですが、以来約20年ぶりの2020年3月に、開創1300年記念の特別御開帳が行われることになっていました。
念願の高田寺・薬師如来像をじかに拝することが出来るのを、大いに愉しみにされていた方も多かったのではと思います。

ところが新型コロナの感染拡大で御開帳は中止され、その後も御開帳予定の延期が続いていたのですが、やっとのことでこの11月、2年半越しの御開帳が実現することになりました。

高田寺・薬師如来像は、像高:75.3cm、カツラ材で、膝前までほぼ一木彫成(内刳り有り)という古様な造形です。
大正11年(1922)に、旧国宝(現・重要文化財)に指定されています。

 
高田寺・薬師如来像(重要文化財)

この薬師像は、平安前中期の製作という見方が多いようですが、奈良時代の制作から、鎌倉時代という見方まであるという、大注目の仏像です。
写真で見ると、制作年代の意見が大きく分かれるというのも、なるほどと感じる興味深い造形表現です。
お顔は優しい感じなのですが、ボリューム感は充分で、粘塑的でクネッと粘ったような衣文表現が特徴的です。

制作年代についての、3つの見方をご紹介すると、次の通りです。

・井上正氏は、奈良時代の制作、寺伝の養老4年(720)行基開基という高田寺創立期頃の制作と見ています。
優しい面貌は白鳳期に通じ、衣文は塑像的表現の古密教尊像という見方です。

・愛知県史・別編(2013年、伊東四朗氏執筆)では、初期一木彫の特徴を示す、奈良時代後半を視野に入れた平安前期を中心とする時代の作としています。

・仏像集成(1992年、久野健氏執筆)では、衣文が複雑に乱れ刀法も鋭く、鎌倉時代に宋風の影響を受けて制作されたという見方です。

皆さん、如何でしょうか?
奈良時代前期に遡るのか、平安前期なのか、それとも・・・・興味津々です。
実際に拝してみたら、どのように感じられるのでしょうか。

私は、長らく心待ちにしていた注目の御開帳の、やっとのことでの実現です。
見逃すわけにはいかないと思っています。





柏市・医王寺の秘仏・薬師如来像が寅年御開帳(10/11〜16)(2022年10月6日)


千葉県柏市鷲野谷の医王寺の秘仏・薬師如来像が御開帳になります。

 

開帳期間は2022年10月11日(火)〜16日(日) です。
詳しくは、
医王寺HPをご覧ください。

医王寺の薬師如来像は寅年限り開帳の秘仏で、12年ぶりの御開帳となります。

本薬師如来像は柏市指定文化財となっており、柏市HP・文化財ページによると、像高:115pで、次のような解説紹介がされています。

「浄土宗の古刹・東光山医王寺安楽院の薬師堂の本尊で、豊躯な木彫坐像です。尊像は威厳のある風貌で、大きな台座に結跏趺坐し、輪光の光背を付け、脇侍の日光・月光とともに安置されています。
昭和48年の解体修理の際、体内から
「長禄2戊寅(1458)11月吉日・・・・大仏師春慶」
と墨書された銘文が発見されました。
春慶(1499没)は、鎌倉仏師の巨匠として知られる運慶の孫弟子に当たり、数々の秀作を生んだ名工です。」

この解説によると、胎内銘にある「大仏師春慶」は、「奈良の椿井仏所」でもっとも著名な「南都住 舜覚坊 春慶」とされていますが、この椿井仏師春慶と同一人で間違いないのかは、よく判りません。

 
医王寺・薬師如来像(平安末〜鎌倉・市指定)

柏市HP解説には制作年代が記されておらず、春慶作の室町時代彫刻かと思ったのですが、掲載写真を見ると、豊満な堂々たる体躯の仏像で、室町よりはるかに前の時代の立派な像のように見えます。
「柏歴史発見!」というHPの医王寺紹介ページに、
「大仏師春慶銘は修理銘と考えられ・・・・・薬師三尊をはじめ不動明王、毘沙門天の5体の仏像は平安時代末期から鎌倉時代初期の作と鑑定された」
と記されており、
「なるほど!」と納得した次第です。

なかなかに見処のある優作像のようで、興味深い処です。





大津市〜岩間寺の秘仏本尊・千手面観音像が御開帳(10/15〜12/4)(2022年10月3日)


大津市石山内畑町の岩間山正法寺(通称:岩間寺)の秘仏本尊・千手観音像が御開帳されます。
岩間寺開山1300年の記念御開帳ということです。

 

御開帳期間は、2022年10月15日(土)〜12月4日(日) です。
詳しくは、
岩間寺HPをご覧ください。

岩間寺は、縁起によれば、泰澄が養老6年(722年)、岩間山中の桂の大樹から千手陀羅尼を感得し、その桂の木で等身の千手観音像を刻んで、元正天皇の念持仏である金銅千手観音像をその胎内に納め祀ったのが当寺の初めとされています。

秘仏本尊の千手観音立像は、当初の本尊の胎内仏であったものとされています。
像高:4尺8寸(約15p)の金銅仏で、本堂内の三重の厨子に祀られ、厳重秘仏とされています。
1990年(平成元年)に365年ぶりに開帳されたということですが、その後は2009〜10年(平成21〜22年)に「花山法皇一千年忌記念・西国三十三所結縁御開帳」の時にも開帳されました。
今回の開帳は、前回から12年ぶりということになります。

本尊・千手観音立像は、文化財指定もされていないようで、制作年代がいつ頃のものかはっきりしていないようです。
寺伝通りの元正天皇(680〜748)の念持仏(胎内仏)であったとすれば、奈良時代以前の小金銅仏ということになります。
ちょっと資料にあたってみましたら、影山春樹著「近江文化財散歩」1972年・学生社刊という本に「岩間寺の秘仏本尊」という小さなモノクロ写真が掲載されていました。
その写真を見ると、現在の前立御本尊の姿によく似た像容にみえ、奈良時代よりも時代が下がる像のように感じられました。

   
(左)岩間山正法寺・本堂、(右)秘仏御本尊の前立・千手観音像

私は、本像を拝したことがありませんが、御開帳に訪れて直に拝したとしても、厨子に祀られた、たった15pの小像を、離れた処から拝するということになるのでしょうから、どの時代の像なのかなど、よく判らないかもしれません。。

なお、岩間寺には、地蔵菩薩立像(平安後期・重文)、十一面観音像(平安後期・市指定)、不動三尊像(鎌倉・重文)などの尊像も祀られています。
不動三尊は第3日曜のみ御開帳、その他は何時でも拝することが出来るようです。

   
(左)岩間寺・十一面観音像(平安後期・市指定)、(右)岩間寺・地蔵菩薩像(平安後期・重文)




湖東三山・百済寺の秘仏本尊・十一面観音が特別御開帳(10/1〜16)(2022年10月3日)


滋賀県東近江市の湖東三山で知られる百済寺の秘仏御本尊・十一面観音像が特別御開帳されます。

 

御開帳期間は、2022年10月1日(土)〜10月16日(日) です。
詳しくは、
百済寺HP並びに秘仏御本尊・特別参拝ページをご覧ください。

百済寺の本尊十一面観音像は、55年に一度の御開帳の厳重秘仏とされ、かつては拝することが極めて難しく、撮影写真もごく限られているという尊像でしたが、近年は、たまに御開帳がされるようになっています。

近年の御開帳は、2006年に「天台宗開宗1200年記念」、2014年に「湖東三山スマートIC開通記念」で、湖東三山の西明寺、金剛輪寺の秘仏本尊と共に御開帳されました。
今回の御開帳(特別参拝)は、8年ぶりということになりますが、「聖徳太子千四百年御聖忌」と共に、昨年、本像が重要文化財に指定されたことを記念して行われるようです。

   
(左)2006年の御開帳の時の百済寺・本堂、(右)百済寺・十一面観音像(奈良時代・重文)

百済寺の十一面観音像は、厳重秘仏で、過去には十二分の文化財調査も行われなかったようで、制作年代も平安前期と云われたり、奈良時代とか云われていたようです。
近年、詳しい調査等が行われ、昨年(2021年)に、新たに重要文化財に指定されました。

像高:249p、カヤ材の一木彫像の漆箔像です。
頭部が極端に小さく、長身で、正面観が扁平な特異な姿の像です。

重要文化財の指定解説によると、制作年代は「奈良時代」とされ、
「扁平な正面観は、画像の立体化に慣れていない半専門的な造仏僧などの手になることを思わせるが、胸幅を広くとり胴部を締めた体型や、肉付けの大らかな起伏と自然な動きのある後ろ姿に奈良時代風がうかがえ、製作年代は8世紀後半に遡るとみられる。
当代の在地社会の造像を考えるうえで見逃し難い作例と評価される。」
と述べられています。

数少ない奈良時代制作の木彫像で、それも中央作でない在地の造像ということで、極めて興味深い注目の仏像です。
2013年、国華1407号に、調査報告論文が掲載されたことがあり、観仏日々帖に「「国華」に掲載、秘仏・百済寺十一面観音像の調査論文」と題してご紹介したことがありますので、ご覧ください。

私は2006年の御開帳の時に拝しましたが、やや遠くからのご拝観で、詳細な姿を克明に見ることが出来なかったのが残念でしたが、その特異な雰囲気はしっかり感じることは出来ました。
今後、何時御開帳があるのか判りませんが、一度は、是非拝しておきたい注目の古像です。





町田市・野津田薬師堂の秘仏・薬師如来像が寅年御開帳(4/9〜5/8)(2022年4月15日)


今年は寅年で、各地で12年に一度の薬師如来の寅年開帳が行われています。
町田市野津田町の野津田薬師堂では、秘仏本尊・薬師如来坐像が12年に一度の寅年ご開帳となります。
御開帳期間は、2022年4月9日(土)〜5月8日(日) です。

   
(左)野津田薬師堂・薬師如来坐像(平安後期・市指定)、(右)野津田薬師堂・本堂

数多くの寅年開帳薬師像のなかで、本像をご紹介したのは、いわゆる「地方粗作」と云われる仏像なのですが、何とも不思議な雰囲気を醸し出す像であるからです。
像高:70.6p、町田市指定文化財となっています。
平安後期、11〜12世紀の制作とみられる古仏ですが、単なる地方的作風というのではなくて、「素人くさい」「稚拙そのもの」といった表現が当たっているような造形です。
ただ、そこに素朴さ故に、不思議な何かを漂わせる魅力のようなものを感じます。

本像については、「むしゃこうじ・みのる著『地方仏』1980年法政大学出版会刊」という本に、「福生寺観音堂と野津田薬師堂」「野津田薬師堂縁起について」という章が設けられ、詳しく述べられています。
私も、この本を読んで興味が沸き、12年前の2010年の寅年開帳の時に訪ねました。
本像を拝すると、確かに粗作なのですが「平安時代の土地の素人仏師の作」というだけではない、何かもっと違う要素も考えたくなってくるような気がしました。

この御開帳に併せて、
企画展「野津田薬師堂と武相寅歳薬師」が町田市自由民権資料館で開催されています。
開催期間は、ご開帳期間と同じ、4月9日(土)〜5月8日(日) です。

   


企画展では、
「江戸時代から現代に至るまで、周辺地域の人々の生活や信仰に深くかかわってきた野津田薬師堂の歴史と薬師如来御開帳について紹介します。」
とのことです。

こうした、「地方粗作、素人仏師」と云われる仏像について、ちょっと考えてみる良い機会のように思えます。





藤沢市・養命寺の秘仏・薬師如来坐像が寅年開帳で鎌倉国宝館に展示(4/9〜6/12)(2022年4月15日)


藤沢市・養命寺の秘仏本尊・薬師如来像が、12年に一度の寅年開帳で、鎌倉市の鎌倉国宝館で展示されます。
鎌倉国宝館での展示期間は、2022年4月9日(土)〜6月12日(日) です。


養命寺・薬師如来坐像(鎌倉・重文)

養命寺の薬師如来像は、12年に一度御開帳の秘仏本尊とされているのですが、近年は、鎌倉国宝館に管理寄託されています。
鎌倉時代の制作、像高:90.7pの寄木造りで、重要文化財に指定されています。
像の膝裏に建久8年の墨書銘が在り、1197年の像であることが知られています。

鎌倉国宝館のHPには、ご開帳展示といった特記は何もないのですが、仏像出品リストをみると「藤沢・養命寺 秘仏本尊御開帳」と記され、薬師如来像と日光・月光菩薩立像(鎌倉・市指定)が掲載されています。

本像は、秘仏本尊とされているのですが、鎌倉国宝館寄託となっていることからか、折々、鎌倉国宝館で展示されているのではないかと思われます。(確かなことは、よく判りません。)
2020年10月に神奈川県立歴史博物館で開催された「相模川流域のみほとけ展」にも、薬師三尊像が出展されていました。

本像は、制作年紀が明らかな像であるばかりではなく、なかなか優れた造形の鎌倉前期像だと思います。
「相模川流域のみほとけ展」に出展された時は、出展仏像のなかでも際立って目を惹く出来の良い像でした。
慶派系仏師の作とみられるようですが、鎌倉前期の関東仏らしい男性的な力強さや迫力を感じさせる、ボリューム感豊かな造形です。

一度は、是非見ておきたい鎌倉前期仏像です。





長野・善光寺の前立御本尊が7年に一度の御開帳(4/3〜6/29)(2022年4月3日)


長野県長野市の善光寺の絶対秘仏・阿弥陀三尊の前立御本像が、7年に一度の御開帳となります。

   
(左)善光寺御開帳チラシ、(右)善光寺・前立御本尊〜阿弥陀三尊像(鎌倉・重文)

御開帳期間は2022年4月3日(日)〜6月29日(水) です。
詳しくは、
善光寺HP並びに善光寺御開帳HPをご覧ください。

善光寺・前立御本尊の御開帳は、7年に一度恒例の大行事で、各所で案内されていますので、わざわざご紹介することもないかと思いましたが、採り上げさせていただきました。

ご存じのとおり、善光寺のご本尊・一光三尊阿弥陀如来は、百済伝来で善光寺の寺名となった本田善光が飛鳥時代に当地に遷座したと伝えられますが、古来絶対の秘仏で、拝したことがある人はいません。

前立本尊は、鎌倉時代の制作、像高42センチの金銅仏で、重要文化財に指定されています。
前回ご開帳時は、全国から700万人の参拝の人出となったということです。
私も、前回ご開帳に出かけましたが、大変な人出でした。
前立本尊は、かなり離れた処からの拝観で、仏像の姿、造形をはっきり拝するというものではありませんでしたが、秘仏御開帳に参詣する雰囲気を味わうことは出来たという処です。

7年前は57日間の御開帳でしたが、今回ご開帳はコロナ禍下であることから、88日間の御開帳に延長されるということです。


長野善光寺の前立本尊御開帳に合わせ、各地の六善光寺でも、同時にご本尊のご開帳が行われます。

 

六善光寺とは、信州善光寺のほかに、長野県飯田市の善光寺(元善光寺)、山梨県甲府市の善光寺(甲斐善光寺)、愛知県稲沢市の善光寺(祖父江善光寺東海別院)、岐阜県関市の善光寺(関善光寺)、岐阜県岐阜市の善光寺(岐阜善光寺)の5つの善光寺のことを云うそうです。

御開帳期間は、信州・善光寺と同じ、2022年4月3日(日)〜6月29日(水) です。
詳しくは、六善光寺同時御開帳・公式ホームページをご覧ください。





和歌山・道成寺の秘仏・北向本尊千手観音像が16年半ぶりの御開帳(9/20〜11/28)(2021年9月20日)


和歌山県日高川町の道成寺の秘仏、北向き本尊・千手観音像が、御開帳されます。

 

御開帳期間は、2021年9月20日(月)〜11月28日(日)です。
詳しくは、
道成寺HPをご覧ください。

道成寺の北向き本尊・千手観音像は、33年に一度の厳重秘仏として祀られています。
今回の御開帳は、前回開帳から16年半ぶりの、中開帳となります。

道成寺の千手観音像と云えば、平安前期の優作、国宝・千手観音像が思い浮かびますが、道成寺には3体の千手観音像があり、それぞれが本尊として安置されています。

3体は、根本本尊、本尊、北向本尊と呼ばれており、その概要はご覧の通りです。

 


  
(左)道成寺・根本本尊千手観音像(奈良・重文)、(右)本尊千手観音像(平安前期・国宝)

厳重秘仏となっているのは、北向本尊で、本堂の堂内後方に北向きに安置されていることから、そのように呼ばれています。
北向本尊像は、南北朝時代、1357年に現在の本堂が再建された時に造立された像です。
本堂を再建し、北向本尊造立施主となったのは、当地の豪族領主、逸見万寿丸 源清重(へんみまんじゅまる みなもときよしげ)とされており、安珍・清姫譚の題材となった釣鐘の二代目を寄進したのも万寿丸です。
本年、万寿丸生誕700年祭が催されることとなり、二代目釣鐘(現在、京都・妙満寺が所蔵)が里帰りするとともに、厳重秘仏・北向観音の中開帳が行われることになったものです。

北向観音像は、3mほどもある巨像です。
1987年に本堂の解体修理が実施され、北向本尊を堂外に移動させる時に、その胎内に破損仏が籠められていることが発見されたました。
北向本尊は、破損した奈良時代の当初本尊像を胎内に籠める「鞘仏」として造立されていたのでした。
この破損した胎内仏が、根本本尊・千手観音像です。
破損像は取り出されて、復元修理されました。
現在は、本堂に南向きに根本本尊像として安置され、その背後に北向本尊像は厳重秘仏として祀られているという訳です。

  
(左)道成寺本堂・南向きに祀られる根本本尊像、(右)北向本尊が祀られる本堂北面

根本本尊像の発見と、三体の本尊像についての話は、本HP「近代仏像発見物語をたどって〜道成寺」で、詳しくご紹介していますので、ご覧ください。

北向本尊像は、厚い信仰で厳重秘仏として守られており、一般には仏像の写真も公開されていません。
南北朝時代の制作像で、美術史的な意味では重要作品には当たらないのかもしれませんが、道成寺の三体の本尊千手観音像の造立の歴史を考える上では、極めて重要な仏像と云えるのだと思います。

コロナ禍下で、なかなか出かけにくい処ですが、今般の御開帳は、道成寺の三つの本尊像を同時に拝することが出来る、得難いチャンスだと思います。





和歌山・紀三井寺で秘仏御本尊の「よみがえり御開帳」(4/8〜5/29)(2021年3月23日)


和歌山市の紀三井寺の秘仏本尊・十一面観音像、秘龕仏・千手観音像(共に重文・平安時代)は、昨年が50年に一度の御開帳年となり、春秋に御開帳されましたが、コロナウィルス感染拡大により、春の御開帳の約半分の期間(52日間)が停止されました。

 

今回の「よみがえり御開帳」は、ご開帳停止期間分を今年に実施してほしいという要望を受け、昨年の中断期間をそのまま今年に移行して実施されるものです。

ご開帳期間は、2021年4月8日(木)〜5月29日(土) です。
詳しくは、
紀三井寺HP ならびに よみがえり開帳ページ をご覧ください。

ご開帳させる仏像などについては、このページ下段の、
「和歌山県紀三井寺の秘仏千手、十一面観音二像が御開帳(3/18〜6/28)」
にてご紹介していますので、そちらをご覧ください。





和歌山県紀三井寺の秘仏千手、十一面観音二像が御開帳(9/20〜12/20)(2020年9月5日)


今春に引き続き、和歌山市の紀三井寺の秘仏本尊・十一面観音像、秘龕仏・千手観音像が、特別ご開帳されます。


 


御開帳期間は、2020年9月20日(日)〜12月20日(日) です。
詳しくは、
紀三井寺HPをご覧ください。

今年は、紀三井寺開創1250年、50年に一度の開帳年となり、秘仏御開帳となるものですが、その概要や本尊・十一面観音像と千手観音像については、春の御開帳情報記事(下段に掲載)をご覧ください。

今年は、春と秋、延べ約6ヶ月間の御開帳の予定でしたが、春の御開帳は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、ご開帳期間が約半分に短縮されました。
秋の御開帳は、現在の処、予定通り行われるようです。





和歌山県紀三井寺の秘仏千手、十一面観音二像が御開帳(3/18〜6/28)(2020年3月9日)


和歌山市の紀三井寺の秘仏本尊・十一面観音像、秘龕仏・千手観音像が、特別ご開帳されます。


 


御開帳期間は2020年3月18日(水)〜6月28日(日) と 9月20日(日)〜12月20日(日)です。
詳しくは、
紀三井寺HPをご覧ください。

紀三井寺の本尊・十一面観音像と千手観音像は、50年に一度の御開帳の厳重な秘仏として祀られていて、拝することができません。
今年は、紀三井寺開創1250年、50年に一度の開帳年となり、秘仏御開帳となるものです。
2010年には、「西国三十三所札所」中興の花山法王千年御忌記念の結縁御開帳が、3月の10日間行われましたが、それ以来の御開帳となります。
また今年は、延べ約6ヶ月間の長期間、御開帳されることとなります。

紀三井寺本堂には、5躯の平安時代の重要文化財仏像が祀られています。


 


秘仏・十一面観音像は、太造りで重厚感のある古様な堂々たる一木彫像です。

秘仏・千手面観音像は、等身大の真数千手観音の作例で、通例の42臂に加えて、薄板製の小手970本が配されています。
異相ともいえる大変個性的な面貌で、連眉であることも注目されます。


     
(左)紀三井寺・秘仏十一面観音像  (右)秘仏千手観音像


重文指定仏像は、いずれも本堂に祀られていますが、秘仏の2躯は、堂内奥に連結された収蔵庫に祀られていて、この収蔵庫の扉が開扉され拝することができたと記憶しています。
前回ご開帳の時は、収蔵庫の中まで入ることができて、割と近くで拝することができました。
お寺様にTELして伺ったところ、今回は新型ウィルス問題があり、前回同様の形で拝することができるようにするのかどうかは、はっきりしないとのことでした。

厳重秘仏の二観音像を拝することができる、貴重な機会だと思います。


なお、現在西国三十三ヶ所草創1300年記念事業が2016〜2020年に実施されており、該当寺院では寺宝特別公開が行われています。
記念事業最終年の2020年も、紀三井寺を含めて、諸寺で特別拝観などが予定されています。
各寺の特別ご拝観実施内容、スケジュールは、「西国三十三所 草創1300年記念 2020年特別拝観スケジュール」をご覧ください。





大津市石山寺の本尊如意輪観音菩薩像が特別御開帳(8/10まで延長)(2020年3月9日)

【御開帳は、新型コロナウイルスの感染症対応の結果、8月10日(月)まで、延長されることになりました】(2020.06.28)

滋賀県大津市の石山寺の秘仏本尊・如意輪観音菩薩像が特別御開帳されます。


  
石山寺・本尊如意輪観音菩薩像

ご開帳期間は、2020年3月18日(水)〜6月30日(火)です。
詳しくは、
石山寺HP秘仏本尊御開扉ページをご覧ください。

石山寺の秘仏本尊・如意輪観音像は、勅封秘仏とされ、33年に一度と天皇即位後に、御開帳されることになっています。
今年は、天皇ご即位を記念しての御開帳となります。

近年では、1961年、1991年、2002年、2009年、2016年にそれぞれ開基1250年記念などの事由で開帳されており、今回開帳は4年ぶりのご開帳となります。

如意輪観音像(重要文化財)は、像高293p、寄木造の巨像で、温和な定朝様がうかがえる平安後期の制作です。
六臂で右膝を立てる通例と異なり、二臂で左脚を踏み下げ自然石の岩盤の上に坐す姿としています。
石山寺の本尊は、天平宝字6年(732)に丈六の塑像が造立されましたが、承暦2年に本堂とともに焼失します。
その本堂が再建された永長元年(1096)頃に、現在の本尊が制作されたのではと考えられています。





愛知 高田寺の薬師如来像が御開帳〜50年に一度開帳の秘仏(3/14〜15)(2020年2月12日)

【3/14〜15の御開帳は、新型コロナウイルスの感染症拡大の防止のため、中止となりました】



愛知県北名古屋市の高田寺の秘仏本尊・薬師如来像が、開創1300年記念の特別御開帳となります。。

御開帳日は2020年3月14日(土)〜3月15日(日)です。

なお、秋にもご開帳が予定されており、ご開帳日は11月19日(木)〜23日(月・祝)の予定です。

御開帳情報、諸行事要領などについては、
愛知県公式ガイド歴文愛知日本の伝統文化をつなぐ実行委員会プレスリリースの各HPの高田寺特別ご開帳ページをご覧ください。

なお、高田寺HPには、御開帳についての情報が、まだ掲載されていないようです。

高田寺・薬師如来像は、平安時代の製作とされ、重要文化財に指定されている古仏です。

50年に一度の厳重秘仏で、普段は拝観することが叶いません。
今回の御開帳は開創1300年記念の特別御開帳ということです。
前回は、2001年に、本堂改修屋根吹替竣工を記念して特別開帳されましたが、それ以来19年ぶりの御開帳ということになります。
なお、4年後には、50年に一度の正式なご開帳年を迎えるということです。

この薬師像は、平安前中期の製作という見方が一般的なようですが、奈良時代の制作から、鎌倉時代という見方まであるという、注目の仏像です。
像高:75.3cm、カツラ材で、膝前までほぼ一木彫成(内刳り有り)という古様な造形です。
写真で見ると、制作年代の意見が大きく分かれるというのも、なるほどと感じる興味深い造形表現です。
ボリューム感は充分ですが、お顔が優しい感じで、クネッと粘ったような衣文表現が特徴的です。


   
高田寺・薬師如来像(重文)

制作年代についての、3つの見方をご紹介すると、次の通りです。

・井上正氏は、奈良時代の制作、寺伝の養老4年(720)行基開基という高田寺創立期頃の制作と見ています。
優しい面貌は白鳳期に通じ、衣文は塑像的表現の古密教尊像という見方です。

・「愛知県史・別編」(2013年、伊東四朗氏執筆)では、初期一木彫の特徴を示す、奈良時代後半を視野に入れた平安前期を中心とする時代の作としています。

・「仏像集成」(1992年、久野健氏執筆)では、衣文が複雑に乱れ刀法も鋭く、鎌倉時代に宋風の影響を受けて制作されたという見方です。

皆さん、如何でしょうか?
奈良時代前期に遡るのか、平安前期なのか・・・・興味津々です。

私は、長らく心待ちにしていた今年の御開帳でした。
実際に拝してみたら、どのように感じられるのでしょうか。
この大注目像の御開帳、見逃すわけにはいきません。





岡山 理性院・秘仏薬師如来像が30年ぶりの御開帳(11/16〜17)(2019年11月6日)


岡山県備前市吉永町にある松本寺理性院の秘仏本尊・薬師如来坐像がご開帳されます。

ご開帳日は、2019年11月16日(土)〜17日(日)の2日間です。

理性院の本尊・薬師如来像は、30年に一度の厳重秘仏で、普段は個別にお願いしても拝観することは叶いません。
今回の御開帳は、平成元年以来、30年ぶりの御開帳となります。
ご開帳は両日とも10:00〜16:00ということですが、初日、16日の午前中はご開帳法要があり、一般のご本尊拝観は難しいということです。
本像の御開帳情報は、NET情報にも、ほとんど掲載されていないようですので、詳しくはお寺様に問い合わせるしかないようです。


   
(左)松本寺理性院・本堂               (右)理性院・薬師如来像(平安・県指定文化財)

理性院・薬師如来像は、像高:82.8p、ヒノキ材の一木彫像で、内刳りはありません。
平安中期ごろの制作とみられ、県指定文化財に指定されています。
厳重な秘仏として守られてきたためか、詳しい解説資料がなかなか見当たらないのですが、古様をとどめた興味深い像のように見受けられます。

地方仏行脚で知られる丸山尚一氏は、本像を拝して、このように語っています。

「薬師堂の真ん中に据えられた暗い大きな厨子内に、薬師如来像がどっしりと坐す。
檜の一木彫りの、地方色の強さを全身に感じきせる、すばらしい木彫像である。
高い宝髻、奥行きの深い顔、豊かに張った厚い胸が量感のある重い存在感をこの彫像に与えている。
そして、まろやかな眉、切れ長の鋭い眼、きりっとした小鼻、締まった口もとが、素朴な表情をのぞかせる。
一瞬、縄文期の土偶の表情をも見る思いがした。」
(旅の仏たち・地方仏紀行C(丸山尚一著)毎日新聞1987年刊)

この機会を逃すと拝しえない、一見の価値のある古像ではないかと思われます。
頑張って、訪ねてみたいと思っています。





長浜市余呉町の上丹生薬師堂と菅並観音堂(東林寺)の秘仏がご開帳(8/25)(2019年8月3日)



滋賀県長浜市余呉町丹生谷にある秘仏2躯が8月25日、一日限りでご開帳されます。
ご開帳されるのは、
余呉町上丹生の上丹生薬師堂の秘仏本尊・薬師如来立像(鎌倉・重文)と、
余呉町菅並の菅並観音堂(東林寺)の秘仏・観音菩薩立像(鎌倉・重文)
です。

今回のご開帳は、丹生谷地域の歴史と文化の総合イベントとして2019年8月25日(日)に開催される「丹生谷文化財フェスタ」の各種イベントの一つとして、これらの秘仏の「特別拝観」が行われるとのことです。

上丹生薬師堂の薬師如来立像は、50年に一度のご開帳(前回開帳は30年以上前)、菅並観音堂の観音菩薩立像は33年に一度のご開帳(前回開帳は2016年)で、秘仏として守られ拝観が叶わない仏像ですが、今回開催のフェスタで、同じ日に拝観できることになったということです。

「丹生谷文化財フェスタ」の詳しい開催概要、特別拝観の要領などについては、
長浜城歴史博物館HPに掲載されている「丹生谷文化財フェスタ」ページをご覧ください。

本ページによると、上丹生薬師堂、菅並観音堂(東林寺)ともに、拝観可能時間が午前と午後の定められた時間それぞれ30分限りとなっているようです。
また、「8/25が雨天の場合は9/1に延期」とされているようです。
ご開帳に行かれる方は、丹生谷文化財フェスタ実行委員会事務局(0749-65-6510)に、拝観要領などを十分に事前確認して出かけられた方が良いかと思います。


それぞれの仏像について、簡単にご紹介しておきます。

上丹生薬師堂・薬師如来立像(重要文化財)は、像高147.3p・一木造り、像背面の墨書により建保3年(1215)の制作であることが明らかですが、構造、作風ともに古様で地方仏師の作とみられています。
薬師堂には、前立に平安後期の薬師如来坐像(県指定)が安置されています。
前立薬師坐像は拝観可能で、2016年7月に開催された「びわ湖・長浜のホトケたちU展」(東京芸大美術館)に出展されましたが、秘仏本尊の方はこれまで博物館出展はされたことがないと思います。
源昌寺所有となっていますが、地区の自治会によって維持管理され守られています。

菅並観音堂(東林寺)・観音菩薩像(重要文化財)は、像高172.7p・一木造り、背面腰下の墨書により建保4年(1216)の制作と判明しています。
洞寿院所有となっていますが、隣接する六所神社とともに地元の人々の管理によって守られています。
本像は、前回の33年に一度のご開帳の年に、初めてお堂を出て「びわ湖・長浜のホトケたちU展」(東京芸大美術館)に出展されたことがあります。


        
上丹生薬師堂・秘仏薬師如来立像(鎌倉・重文)と前立薬師如来像(平安・県指定)が祀られるお堂       菅並観音堂(東林寺)・秘仏観音菩薩像(鎌倉・重文)




尾道・摩訶衍寺の秘仏十一面観音像が17年ぶりご開帳(4/28〜29)(2019年4月13日)



広島県尾道市原田町梶山田にある摩訶衍寺(まかえんじ)の秘仏本尊・十一面観音像は、33年に一度のご開帳の厳重秘仏として知られていますが、今般、17年ぶりに半開帳となります。

ご開帳期間は、2019年4月28日(土)〜29日(日)の2日間限りとなっています。

御開帳要領などについては、
尾道市観光協会HPおのなびご開帳紹介イベントページ 並びに、摩訶衍寺HPお知らせページをご覧ください。

摩訶衍寺・十一面観音像は、像高188p、平安時代の堂々たる素木の一木彫像で、重要文化財に指定されています。

「仏像集成」(1997年・学生社刊)の解説では、
「頗る重量感のある堂々たる姿態になるが、衣文の彫成は概して浅い。
胸裏あたりに背刳りが施してある。平安時代後期の作。」
とされています。

この観音像、写真で見る限りですが、大変惹きつけられる一木彫像で、とりわけお顔の表情がキリリと締まって魅力的です。
平安後期の制作と解説されていますが、平安前中期の堂々たる一木彫像の造形感の余韻をとどめた地方仏の優作だと思います。
広島県の平安古仏の中でも、指折りの見事な仏像といってよいものです。

長らく、一度は拝したいものと念じていた平安古仏の優作であったのですが、33年に一度の厳重秘仏として守られており、これまで拝観が叶いませんでした。
今回のご開帳は、2002年4月の本開帳から17年ぶりの半開帳となるものです。
今回の御開帳には、是非とも駆け付けたいと思っており、念願の観音像を拝することができるのを、愉しみにしています。

摩訶衍寺には、本尊・十一面観音像の他に、千手観音像が祀られています。
この千手観音像は、蓮肉まで一木彫成の大変古様な平安古仏です。
制作時期的には、十一面観音像よりも以前に遡ると思われ、誠に興味深い古仏です。
この千手観音像も、併せて、拝観できることと思います。

       
(左・中)摩訶衍寺・十一面観音像(平安・重文)、    (右)摩訶衍寺・千手観音像(平安)

なお、お出かけになる場合は、お寺まで車で行くことは不可で、山すその原田芸術文化交流館に駐車して、そこから専用シャトルバスでの送迎となるとのことです。
お出かけの際は、ご注意ください。





岡山 大賀島寺・秘仏千手観音像が33年に一度の御開帳(11/17〜8)(2018年10月27日)


岡山県瀬戸内市邑久町の大賀島寺の秘仏本尊・千手観音立像が、33年に一度のご開帳となります。


    


御開帳日は2018年11月17日(土)、18日(日)の二日間です。

御開帳スケジュール等は、
瀬戸内市HP・瀬戸内市の旅〜大雄山大賀島寺ご本尊(千手観音立像)開扉供養大法要ページ に掲載されています。
御開帳日の拝観可能時間等の詳細は、そちらでご確認ください。
大賀島寺の本尊・千手観音像は、33年に一度の厳重な秘仏として祀られており、今年が御開帳の年になります。


像高122.7p、平安前期、9世紀の檀像風の見事な一木彫像で、重要文化財に指定されています。
永らく厳重な秘仏とされていたからか、大変優れた平安初期彫像でありながら、近年まで、その存在はほとんど知られていませんでした。

2002年刊行の「吉備の知られざる世界」(吉備人出版社刊)という本で初めて紹介され、翌2003年「仏教芸術267号」に、浅井和春氏の本像についての論文が掲載されて、一躍、大注目の仏像となったものです。
「知られざる優作の大発見」といえるものだと思います。
2011年には、一気に、国の重要文化財に指定されました。

重文指定となった2011年春に、東京国立博物館での「新指定重要文化財展」に2週間だけ出展されました。
近年公開されたのは、この東博・新指定展の時だけで、今回の御開帳は、その時以来の公開となるものです。

私は、東博出展時に観たのですが、その見事な出来栄えに見惚れるものがありました。
ちょっとエキゾチックな顔貌、シャープで粘りのある彫り口は、宝菩提院の菩薩踏下像を想起させるものがあります。

       
.       大賀島寺・本堂                    大賀島寺・千手観音像(平安前期・重文)        宝菩提院・菩薩像(平安前期・国宝)

本像は、2016〜7年に美術院国宝修理所において修理修復が行われ、体全面に施されていた濃褐色の後補古色が除去されて、本来の檀像様の木地の姿になったということです。
この度の御開帳では、東博展示の時と違って、榧材(目視)の木地の姿を拝せること思います。

大賀島寺は、岡山瀬戸内市の大雄山山頂というちょっと不便なところにあり、また二日限りの御開帳ということで、訪れるのも大変かもしれませんが、この御開帳の機に、是非とも拝しておきたい優作像です。

私も、頑張って、訪ねてみたいと思っています。





千葉南房総市 小松寺・秘仏薬師如来像が特別ご開帳(11/16〜12/9)(2018年10月27日)



南房総市千倉町の小松寺の秘仏本尊・薬師如来立像が特別ご開帳されます。

小松寺・薬師如来像は、60年に一度の開扉の厳重秘仏ですが、本年は、開基1300年にあたることから、今年に限り特別開帳されています。
今秋の御開帳は、2月、4月に続く第3回目で、本年の特別開帳の最終ご開帳となります。

(4月に、春の御開帳について、本HPでご紹介しましたが、再度秋の御開帳紹介をさせていただきます。)

ご開帳期間は、2018年11月16日(金) 〜 12月9日(日) です。
詳しくは、
房総タウン.comHP・小松寺秘仏御開帳ページ並びに小松寺開基1300年WEB・HPをご覧ください。

小松寺の薬師如来像は、長らく厳重秘仏とされ、その姿が知られていなかったのですが、1994年(平成6年)に開扉され、9世紀に遡る平安前期一木彫像と考えられる古仏であることが判明しました。
現在、千葉県の指定文化財に指定されています。
その後、1999年(平成11年)開催の「房総の神と仏展」、2013年(平成25年)開催の「仏像半島〜房総の美しき仏たち展」(共に千葉市美術館)に出展されて、たいへん注目を浴びました。
地方仏ですが、神秘性、霊威感あふれたオーラを強く感じさせる、魅力十分の古仏です。

      
南房総市千倉の小松寺本堂と秘仏本尊・薬師如来像(平安前期・県指定)

観仏日々帖〜「仏像半島〜房総の美しき仏たち展」出展の小松寺・薬師如来立像 で、本像をご紹介していますのでご覧ください。

お寺では、60年に一度の厳重秘仏として守られており、普段は拝することが叶いません。
今年は、開基1300年記念で、3回のご開帳となるようですが、今年を逃すと次回の通常ご開帳は20年後になるということです。

南房総の千倉町という、少々辺鄙なところにありますが、出かけて拝してみる値打ちは十分だと思います。





石山寺・三井寺で 「あお若葉の競演」 諸仏特別公開(4/28〜5/20)(2018年5月1日)



滋賀県大津市の石山寺と三井寺では、2寺共同の初開催として「あお若葉(もみじ)の競演」と題した、仏像の特別公開が開催されています。
この「あお若葉の競演」では、各寺それぞれ、通常非公開の3体の仏像が期間限定で特別公開されるというものです。

特別公開期間は、2018年4月28日(土)〜5月20日(日)です。


石山寺では、
光堂本尊の阿弥陀如来坐像(鎌倉時代)、旧多宝塔本尊と伝わる大日如来坐像(平安時代・重要文化財)、淀君の寄進による如意輪観音半跏像(桃山時代)の三尊が、光堂にて特別公開されます。
光堂は、鎌倉時代に存在したとされる「光堂」の再現として、2009年に建立された懸造りのお堂です。
詳しくは、
石山寺HPあお若葉の競演ページをご覧ください。

三井寺では、
勧学院本尊の大日如来坐像、北院新羅明神の本地仏の文殊菩薩坐像、南院三尾明神の本地仏の普賢菩薩坐像の三尊が、特別公開されます。
それぞれの仏像の制作年代は明記されていません。
三尊共に今般初公開されるもので、三尊共に金堂内陣に安置され、拝観できるようです。
詳しくは、三井寺HPあお若葉の競演ページをご覧ください。





千葉南房総市 小松寺・秘仏薬師如来像が特別ご開帳(4/27〜5/6)(2018年4月28日)



南房総市千倉町の小松寺の秘仏本尊・薬師如来立像が特別ご開帳されています。
小松寺・薬師如来像は、60年に一度の開扉の厳重秘仏ですが、本年は、開基1300年にあたることから、特別開帳されることになりました。

ご開帳期間は、次のとおりとなっています。

・第1回 平成30年 2月24日(土)〜 3月4日(日) 9:00-16:00  【終了済】

・第2回 平成30年 4月27日(金)〜 5月6日(日) 9:00-16:00  【現在ご開帳中】

・第3回 平成30年11月16日(金)〜 12月9日(日) 9:00-16:00

詳しくは、
房総タウン.comHP・小松寺秘仏御開帳ページ並びに小松寺開基1300年WEB・HPをご覧ください。

小松寺・薬師如来像のご開帳が、本年3回にわたって行われていることについて、気が付いておりませんで、今般はじめてご開帳情報を知り、遅ればせながら、ご紹介させていただきました。

小松寺の薬師如来像は、長らく厳重秘仏とされ、その姿が知られていなかったのですが、1994年(平成6年)に開扉され、9世紀に遡る平安前期一木彫像と考えられる古仏であることが判明しました。
現在、千葉県の指定文化財に指定されています。
その後、1999年(平成11年)開催の「房総の神と仏展」、2013年(平成25年)開催の「仏像半島〜房総の美しき仏たち展」(共に千葉市美術館)に出展されて、たいへん注目を浴びました。
地方仏ですが、神秘性、霊威感あふれたオーラを強く感じさせる、魅力十分の古仏です。

      
南房総市千倉の小松寺本堂と秘仏本尊・薬師如来像(平安前期・県指定)

観仏日々帖〜「仏像半島〜房総の美しき仏たち展」出展の小松寺・薬師如来立像 で、本像をご紹介していますのでご覧ください。

お寺では、60年に一度の厳重秘仏として守られており、普段は拝することが叶いません。
今年は、開基1300年記念で、3回のご開帳となるようですが、今年を逃すと次回の通常ご開帳は20年後になるということです。

ご紹介が遅ればせになりましたが、11〜12月にも第3回のご開帳があるとのことです。
南房総の千倉町という、少々辺鄙なところにありますが、出かけて拝してみる値打ちは十分だと思います。





温泉寺・十一面観音像の御開帳期間が、半年間特別延長(10月末迄)(2021年4月24日)

温泉寺・十一面観音像の「大開帳」は、2021年4月までの3年間となっていましたが、10月末までの半年間、特別延長されることとなりました。
コロナ禍の中、
「城崎温泉の開湯1300年記念期間の延長に伴い、温泉寺にも賛同、協力のお声がけがあり、過去に類の無い決断ではありますが、ご本尊十一面観音さまの御開帳を本年10月末日まで特別に延長をいたします!」
とのことです。
開帳期間の延長については、温泉寺HPリンクの
「温泉寺ブログ」に掲載されています。
温泉寺HPなどには、まだ期間延長については、ふれられていませんのでご注意ください。


兵庫県城崎の温泉寺・十一面観音像が33年に一度の大開帳(4/23〜3年間)(2018年4月6日)



兵庫県豊岡市城崎町の温泉寺の秘仏本尊・十一面観音像が、33年に一度の大開帳となります。
御開帳期間は、2018年4月23日(月)から、3年間です。

詳しくは、
温泉寺HP並びに城崎温泉・御開帳特設ページをご覧ください。

温泉寺のご本尊・十一面観音像(重要文化財・平安時代)は秘仏で、普段は拝観が叶いません。

毎年、開山忌の4月23日、24日の両日に限り、御厨子のご開扉があり、拝観することができます。
ただし、毎年のご開帳では、厨子の扉の位置が結構高いところにあるために、仏像の下半身、脚部のところは観ることができないのです。
私も、例年のご開帳の日に、一度訪ねたことがありますが、残念ながら脚部から下は、覗き込むことは出来ませんでした。

    
十一面観音像が祀られる温泉寺・本堂(左)と、厨子の中に祀られる秘仏・十一面観音(例年の開扉の時)

この度の、33年に一度の大開帳では、十一面観音像が厨子から取り出されて、厨子の前に安置され、台座から顔部までの全身の姿を拝することができるのです。
前回は、昭和61年(1986)に、厨子から出て、本堂内陣に3年間安置されました。

この十一面観音像は、像高213p、ヒノキの一木彫、鉈彫りを思わせるノミ目が全身に残り、野趣あふれる魅力ある像で、平安前中期頃の制作といわれています。

3年間のロングランの大開帳ですが、このチャンスを逃すと、あと33年間、全身の姿を拝することは出来ません。
是非、拝しておきたい平安古仏です。

なお、持仏堂には、端正で美しい平安後期の千手観音像(重要文化財)が祀られており、こちらの像は、いつでも拝観可能です。

      
(左)温泉寺・秘仏本尊十一面観音像(平安・重文) と (右)持仏堂安置の千手観音像(平安・重文)




兵庫県加東市・播州清水寺の本尊十一面観音が30年ぶりの御開帳(11/1〜30)(2017年10月14日)


兵庫県加東市平木の播州清水寺の秘仏本尊・十一面観音像が、30年に一度の御開帳となります。

御開帳期間は、2017年11月1日(水)〜30日(木)です。
詳しくは、
播州清水寺HP御開帳ページをご覧ください。

    


播州清水寺は、西国三十三観音の第25番札所で、法道上人の創建で、推古35年(627)に推古天皇直々に根本中堂を建立、神亀2年(725)聖武天皇が行基に命じて講堂を建立したと伝えられています。
根本中堂には、秘仏本尊十一面観音像、脇侍の毘沙門天像、吉祥天像が祀られています。

本尊・十一面観音像は、厳重な秘仏で、30年に一度の御開帳とされており、今年が前回の御開帳から30年目になります。
前回、昭和62年(1987)の御開帳の折に修理され、十一面観音像、毘沙門天像、吉祥天像が、その時に加東市文化財に指定されています。

本像については、平安時代末期の制作とされていますが、厳重秘仏であるためか、解説、説明されたものがほとんど見当たりません。

清水寺により相当以前に発行された、「清水寺の文化財」というごく簡単な図葉集に、本尊の写真が掲載されているほかは、丸山尚一著「地方の仏たち・近畿編」(中日新聞社1997刊)に採り上げられているぐらいではないかと思います。

その像容の写真を見ると、独特というのか、個性的というのか、大変特異な造形です。
「簡素で粗略に過ぎる、技量足らずの地方仏」という感じもしますが、一方で、「不思議なオーラを発散する霊気あふれる像」という魅力もありそうです。
誠に不可思議で、興味津々の古像で、一度は、直に拝してみたいという思いに駆られてしまいます。

このご開帳を逃すことなく、訪ねてみようかと思っています。

      
播州清水寺・秘仏本尊十一面観音像と脇侍毘沙門天像・吉祥天像〜「清水寺の文化財」掲載写真




比叡山延暦寺で釈迦堂秘仏本尊・釈迦像が33年に一度の御開帳(10/1〜12/10)(2017年10月3日)


比叡山延暦寺・釈迦堂(転法輪堂)
大津市の天台宗総本山・比叡山延暦寺で釈迦堂(転法輪堂)の秘仏本尊・釈迦如来立像が御開帳となります。

御開帳期間は、2017年10月1日(日)〜12月10日(日)です。
詳しくは、
比叡山延暦寺HP釈迦堂内陣特別拝観秘仏ご開帳ページをご覧ください。


釈迦堂本尊の釈迦如来像は、京都嵯峨清凉寺の国宝・釈迦如来像の模刻像で、像高:79.3p、12C〜13Cの制作で、重要文化財に指定されています。

今回の秘仏本尊・釈迦如来像の御開帳は、33年ぶりの御開帳になります。
比叡山の荒行・千日回峰行を始めた僧侶・相応和尚(831〜918年)の1100年御遠忌を記念しての特別ご開帳ということです。

        
延暦寺・釈迦堂本尊の釈迦如来像(12〜13世紀・重要文化財)




岡山真庭市・勇山寺の秘仏・薬師如来像が御開帳(10/8〜9)(2017年10月3日)


岡山県真庭市鹿田の勇山寺(いさやまじ)で秘仏・薬師如来坐像が御開帳となります。

御開帳日は、2017年10月8日(土)〜9日(祝・月)です。
詳しくは、勇山寺(0867-52-0454)にお尋ねください。

勇山寺の秘仏御本尊・薬師如来像は33年に1度の御開帳の秘仏で、平成12年に御開帳され、次回の開帳は平成45年(2033)となっていましたが、今般、特別にご開帳されることとなったようです。

勇山寺の本尊・薬師如来坐像は、像高:177.5cm、室町時代の制作で、重要文化財に指定され、秘仏として守られています。

        
岡山県高梁市の勇山寺と、秘仏本尊・薬師如来像(室町時代・重要文化財)

勇山寺と云えば、平安時代、10世紀の制作の不動明王二童子像(重要文化財)の方が有名で、堂々とした体躯で、ユーモラスで鄙びた大型像(像高:183p)で知られています。

 
勇山寺・不動明王二童子像(平安時代・重要文化財)

秘仏本尊・薬師如来像の方は、ほとんど知られていないのではないでしょうか?
私も、その存在も、御開帳情報も、全く知りませんでした。

このHPをご覧いただいている方から、秘仏・薬師如来像の御開帳情報をお知らせいただきました。
このご開帳情報は、NET情報等に、全く告知されていないようです。

勇山寺ご住職にTELしてお伺いした処、33年に一度の御開帳となっているが、今般、本堂落慶、晋山式に際し、特別にご開帳することになったといいうことです。
10/8の午前中は、御開帳に伴うご法要等が予定され、じっくりご拝観されたい方は、10/8の午後か、10/9に参拝された方が良いとのことでした。

ギリギリ遅ればせのご紹介になりましたが、ご紹介させていただきました。





下関市・三恵寺の秘仏千手観音像が19年ぶり特別ご開帳(10/1〜15)(2017年9月29日)



山口県下関市豊浦町の三恵寺(さんねじ)の秘仏・千手観音像が、特別ご開帳となります。

御開帳日は、2017年10月1日(日)〜15日(日)となっています。
詳しくは、豊浦町HP・
三恵寺ページ、下関市川棚温泉交流センターブログ・川棚の社ご開帳紹介ページをご覧ください。
また、拝観時間の詳細等については、三恵寺(083-774-2433)にお問い合わせください。

三恵寺の千手観音像は、70年に一度の御開帳の秘仏として守られている仏様ですが、今回は、本堂改修の修築落慶法要ということで、特別ご開帳されるものです。
これまでの御開帳は、1937年、2000年で、今回ご開帳の後は、2070年まで開帳されない予定となっています。

この千手観音像、仏像関係書などに採り上げられたものが無いようで、その存在をあまり知られていないのかと思います。

山口県HP・山口県の文化財概要ページ並びに要録ページによりますと、

千手観音立像は、像高:113cm、ヒノキの一木彫、平安後期の制作で、県指定文化財に指定されており、
「下ぶくれの豊かな面相、しのぎたつ眉、眼のふち、くちびる、小鼻の切れなど力強い彫りのさえを見せている。ひざ下の衣紋は古風なところが見られるが、その彫りは浅い。制作は平安時代後期、11世紀末から、12世紀初頭頃のものであろう。」

と記されています。

三恵寺は、最寄り駅が山陰本線の川棚温泉駅と、結構辺鄙なところに在り、訪れるのもなかなか難しいかもしれません。
また、直近に知ったばかりの御開帳情報で、遅ればせのご紹介となりましたが、70年に一度の御開帳の平安仏の秘仏御開帳とということで、掲載させていただきました。

    
三恵寺本堂と三恵寺・千手観音像(平安後期・県指定文化財)




岡山高梁市の長建寺・秘仏聖観音像が22年ぶりの御開帳(10/1〜3)(2017年9月23日)



岡山県高梁市備中町布賀の長建寺で、秘仏御本尊・聖観音菩薩立像が22年ぶりにご開帳となります。

御開帳日は、2017年10月1日(日)〜3日(火曜日) 10時〜16時となっています。
詳しくは、高梁市教育委員会HP・
長建寺御開帳情報ページ並びに、曹洞宗ナビ〜長建寺HP御開帳お知らせページをご覧ください。

長建寺・聖観音像は、高梁市教育委員会文化財ページによりますと、
像高:165.5cmの一木造りで、平安後期の制作、2007年に岡山県指定文化財に指定されています。
この観音像は、長年33年に一度の御開帳の秘仏として守られ、記録によると、天明8年(1788)・文政3年(1820)・嘉永5年(1852)・明治17年(1884)・大正7年(1918)・昭和8年(1933)・昭和42年(1967)・平成7年(1995)に開帳されたのみとなっているそうです。

今回は、長建寺創建500年記念のために、御本尊を2か年かけて修理をしたのを機に、御開帳されるということです。

次回の開帳は、33年後の2050年となるということです。

私は、この平安仏の存在は、これまで全く知りませんでした。
限られた写真で見ると、在地の古様の平安仏の観音像のように思え、ちょっと興味がわいてきます。

        
岡山県高梁市の長建寺と、秘仏本尊・聖観音像(平安後期・県指定文化財)




草津市の宝光寺・薬師如来像が33年に一度の御開帳、 橘堂・三面六臂観音像もご開帳(8/9〜13)(2017年7月16日)


滋賀県草津市北大萱町の宝光寺薬師如来立像と、同じく草津市志那町の橘堂の三面六臂観音立像が、御開帳になります。
御開帳期間は、共に同時期の2017年8月9日(水)〜13日の5日間です。

宝光寺の薬師如来像は、33年に一度の御開帳で、平成13年(2001)に中開帳があって以来、16年ぶりの御開帳です。
日頃は、厳重な秘仏として祀られており、個別に拝観をお願いしても、拝することは出来ない仏像です。

この薬師如来像は、平安前〜中期の注目すべき一木彫像なのですが、これまで、拝する機会がなく、一度は拝してみたいものと、今年の御開帳を心待ちにしていました。

像高166.7p、カヤ材かとみられる一木彫で、内刳りはありません。
10世紀後半の天台薬師系の像と考えられ、重要文化財に指定されています。

写真で見る限りは、おだやかさを見せながらもなかなかの古様で、天台薬師系素木像の厳しさをみせる迫力、魅力のある像のように感じます。
眼近に拝することが出来るのが、愉しみです。

   
草津市北大萱町の宝光寺と秘仏・薬師如来立像(平安時代・重要文化財)


志那町・橘堂の三面六臂観音像も、同時御開帳されます。
橘堂は、宝光寺から程近く、西北へ300〜400メートルの処にあります。

こちらの観音像は、おだやかに整った美しいお顔に、心惹き込まれる仏像です。
あまり知られていない観音像ですが、1998年に滋賀県立近代美術館で開催された「近江路の観音様展」のポスターや図録の表紙に掲載され、その慈しみ深く美しいお顔が、俄然、注目を浴びました。

像高107.2p、ヒノキの一木彫で内刳りはされていません。
ご覧のとおり、頭頂に十一面をいだき、本面と脇面、三面六臂の併せて十四面六臂のめずらしいスタイルの像です。
10世紀末から11世紀初頭の制作とされ、市指定文化財となっています。

こちらは、地元の吉田家、白井家などの個人管理となっている小さな観音堂、橘堂にひっそりと祀られています。
この観音像は、管理者のお宅にお願いすれば、ご都合が付けば、普段でも開扉いただき拝することは可能ですが、今回は、十数年ぶりにご開帳が執り行われるということです。
この像も、何度見ても美しい、必見の知られざる観音像です。

宝光寺、橘堂の御開帳、お盆にかかる短期間ですが、是非とも、お出かけになられることをお薦めします。

御開帳の時間は、両寺とも、午前9時から午後4時までということですが、詳しくはお寺にお尋ねください。
(宝光寺TEL: 077-568-1520)
   
草津市北志那町の橘堂と三面六臂観音像(平安・市指定文化財)     橘堂観音像が表紙を飾った「近江路の観音様展図録」の表紙




香川三豊市・大興寺の秘仏薬師如来が60年ぶりのご開帳(3/27〜5/7)(2017年4月1日)


香川県三豊市山本町の大興寺の秘仏本尊・薬師如来坐像が、60年ぶりにご開帳となります。
ご開帳期間は、2017年3月27日(月)〜5月7日(日)です。

詳しい、ご開帳、拝観要領は、私もよく判りませんので、詳しくは大興寺にお問い合わせください。(TEL:0875-63-2341)

        
大興寺と秘仏本尊・薬師如来坐像

大興寺は、四国八十八ヶ所霊場、第67番札所となっており、秘仏・薬師如来像はご本尊として祀られています。
平安時代後期(藤末鎌初期)の制作とみられ、1969年に、県指定文化財にしてされています。
像高84p、ヒノキの一木造り、内刳りで、
「顔は頬の肉どりもよく引き締まり、・・・・面相は雄偉である。
胸厚く、体部を覆う衣文は鋭く鎬立って刻まれ、膝前など技巧的である。」(仏像集成)
ということです。

詳しい情報はないのですが、永らく、秘仏として祀られ、通常は拝観は叶わないとのことです。
2014年に、西国八十八か所が霊場開創1200年の記念行事で、三十数ヶ寺の秘仏本尊の一斉ご開帳がありましたが、この時にも大興寺・薬師如来像は開帳されませんでした。
今年は、60年に一度のご開帳の年にあたるということです。
出かけるのは、ちょっと大変かもしれませんが、ご紹介しました。

なお、大興寺には、ご本尊の他に、天台大師坐像(鎌倉時代・県指定)、金剛力士像2躯(鎌倉時代・県指定)が祀られています。

      
左〜天台大師坐像(鎌倉時代・県指定)、右〜金剛力士像2躯(鎌倉時代・県指定)




尾道・浄土寺の秘仏・十一面観音像が秋のご開帳(9/18〜11/20)(2016年8月27日)


広島県尾道市東久保町の浄土寺の本尊、秘仏・十一面観音立像(重要文化財)は、今年、ご開帳となり、春のご開帳は5〜6月に行われましたが、9〜11月に秋のご開帳となります。

       
.                                          浄土寺・本堂(国宝・鎌倉時代)

浄土寺本尊・十一面観音像は、33年に一度の開扉の厳重秘仏で、近年のご開帳は、平成13年(2001)4月13日〜15日でした。

今回は、浄土寺・平成の大修理の完了落慶、並びに開創1400年を記念して、特別に、春秋2期間、ご開帳されることになったものです。
秋のご開帳期間は、2016年9月18日(日)〜11月20日(日)です。
詳しくは、
浄土寺HP秘仏御開帳ページをご覧ください。

浄土寺本堂に祀られる、本尊十一面観音像は、嘉元4年(1306)浄土寺伽藍再興の際の、定証起請文に記される「本尊聖徳太子御作等身皆金色十一面観音像」に比定されています。

            
浄土寺・秘仏本尊・十一面観音立像(平安時代・重要文化財)                         秘仏本尊が祀られる本堂内厨子

重要文化財で、平安後期の作と云われており、漆箔金色に仕上げられています。
像高170.3p、構造は、「仏像集成」(学生社刊)では一木造り、「国宝重要文化財・仏教美術」(奈良博・小学館刊)では寄木造りとされており、はっきりしません。

制作年代については、多くの書が藤原和様のおだやかさと示すとして平安後期としていますが、広島県教育委員会HP解説では、9世紀の作として、
「面相は豊満で,体躯は肥大充実し,刀法も鋭く,全身を金色の寂光に包まれた端厳な尊容の像である。
平安時代も初期に近い頃(9世紀)のすぐれた作である。」
と、述べられています。
平安後期が穏当のように思えますが、皆さんは、どのように感じられるでしょうか?

なお、浄土寺には、本像の他にも、重要文化財、県指定の仏像が8躯残されており、中でも聖徳太子三像(南無太子像、孝養像、摂政像)は、南北朝時代の造像年墨書銘があり、重要文化財に指定されています。
これらの諸像も、宝物館で拝観することが出来ます。



浄土寺・御本尊の御開帳とは関係ないのですが、同じ尾道の仏像御開帳情報を、ご参考までにお知らせします。

尾道市の向島にある西堤寺・聖観音像(2躯)が、10月10日(月)、年に一回のご開帳となります。

この西堤寺の聖観音像の1躯は、像高181pの一木彫像で、10世紀頃の制作とされており、重要文化財に指定されています。
もう1躯は、重文像の付け足りとして指定されており、11世紀の制作とみられます。
この観音像は、写真で見ると、平安前期の空気感を持つ、なかなか魅力的な造形の仏像です。
本HP・「貞観の息吹」で、西堤寺・聖観音像をご紹介していますので、ご覧ください。

私は、長らく、一度は拝してみたいと思っている平安古仏でしたので、この機会に、浄土寺・秘仏拝観に合わせて、訪れてみようかと思っています。

       
西堤寺の2躯の聖観音立像(左:重要文化財・10C〜右:同付足・11C)



平成28年度みほとけの里・若狭の秘仏特別公開(9/17〜11/30)(2016年8月27日)



昨年に惹き続き、今年も「みほとけの里〜若狭の秘仏特別公開」が実施されます。

特別公開期間は、平成26年9月17日(土)〜11月30日(水)です。
この企画が始められてから4年目になります。

今回も約30ヶ寺の古仏像が拝観可能となります。

今年、初めて公開される秘仏は、
蓮華寺(小浜市)の阿弥陀三尊像(鎌倉時代・市指定文化財)と、成願寺大坊(若桜町)の阿弥陀如来坐像、聖観音立像(共に鎌倉時代・町指定文化財)
です。
〜いずれも秘仏めぐりバスツアーのみで拝観可能〜

特別公開の仏像、公開日などは、
福井県HP(平成28年度 みほとけの里 若狭の秘仏 特別公開)、及び特別公開パンフレットに詳しく出ていますので、ご参照ください。

各寺院の公開日や公開時間の詳細が掲載されています。
寺院によって、公開日や公開時間が異なっているようですし、「特別公開ツアーバスのみ」公開の仏像もあるようですので、ご注意ください。




平泉・中尊寺の秘仏・一字金輪像が特別開帳(6/29〜11/6)(2016年5月28日)

 

中尊寺・一字金輪像
岩手県平泉町の中尊寺の秘仏・一字金輪坐像が特別開帳されます。
今回の御開帳は、「平泉」世界文化遺産登録5周年記念行事の一環として、特別開帳されるものです。

御開帳期間は、2016年6月29日(水)・平泉世界遺産の日〜11月6日(日)です。
詳しくは、
中尊寺HP平泉世界文化遺産登録5周年記念行事ページをご覧ください。

前回の特別開帳は、世界遺産登録記念と東日本大震災復興祈念して2012年の7〜11月(この時は12年ぶりの開帳)でしたので、4年ぶりの特別開帳になります。

一字金輪像(重要文化財・像高76p)は、肉身部に施された彩色のなまめかしきから、「人肌の大日」という名で親しまれています。
ご存じのとおり半肉彫りという珍しい像で、カツラ材の寄木造りで、玉眼が嵌入されています。
頭体幹部は8材を上下に積み重ねるように木寄せするという構造になっています。
当初から半肉彫りであったという説と、丸彫り像を後世に後半部を削り落としたとする説があるようですが、当初から半肉彫り像とみる考えが有力なようです。
12世紀の半ば〜後半の制作とみられているようですが、玉眼像の制作年判明最古例である長岳寺・阿弥陀三尊像(保元2年・1157)に近い時期の制作となり、玉眼技法がいち早く平泉までももたらされていたといえるのでしょう。


なお、このご開帳期間中に、天台寺「桂泉観音」像が、中尊寺において出開帳されます。
天台寺「桂泉観音」は、鉈彫りの聖観音像の名像として知られ、像高・117.2p、平安時代の制作で、重要文化財に指定されています。
出開帳期間は、2016年7月30日(土)〜9月11日(日)です。
詳しくは、平泉世界文化遺産登録5周年記念行事ページをご覧ください。

       
岩手天台寺・鉈彫り聖観音立像



尾道・浄土寺の秘仏・十一面観音像がご開帳(5/1〜6/19)(2016年4月10日)


広島県尾道市東久保町の浄土寺の本尊、秘仏・十一面観音立像(重要文化財)が、ご開帳となります。

       
.                                          浄土寺・本堂(国宝・鎌倉時代)

浄土寺本尊・十一面観音像は、33年に一度の開扉の厳重秘仏で、近年のご開帳は、平成13年(2001)4月13日〜15日でした。

今回は、浄土寺・平成の大修理の完了落慶、並びに開創1400年を記念して、特別に、春秋2期間、ご開帳されることになりました。

春のご開帳期間は、2016年5月1日(日)〜6月19日(日)
秋のご開帳期間は、2016年9月18日(日)〜11月20日(日)です。

詳しくは、
浄土寺HP秘仏御開帳ページをご覧ください。

浄土寺本堂に祀られる、本尊十一面観音像は、嘉元4年(1306)浄土寺伽藍再興の際の、定証起請文に記される「本尊聖徳太子御作等身皆金色十一面観音像」に比定されています。

            
浄土寺・秘仏本尊・十一面観音立像(平安時代・重要文化財)                         秘仏本尊が祀られる本堂内厨子

重要文化財で、平安後期の作と云われており、漆箔金色に仕上げられています。
像高170.3p、構造は、「仏像集成」(学生社刊)では一木造り、「国宝重要文化財・仏教美術」(奈良博・小学館刊)では寄木造りとされており、はっきりしません。

制作年代については、多くの書が藤原和様のおだやかさと示すとして平安後期としていますが、広島県教育委員会HP解説では、9世紀の作として、
「面相は豊満で,体躯は肥大充実し,刀法も鋭く,全身を金色の寂光に包まれた端厳な尊容の像である。
平安時代も初期に近い頃(9世紀)のすぐれた作である。」
と、述べられています。
平安後期が穏当のように思えますが、皆さんは、どのように感じられるでしょうか?

いずれにせよ、この十一面観音像は厳重な秘仏で、次の開扉は平成46年(2034)となる計算なので、私は、もう拝することは難しいかと思っていました。
今年、幸いにも春秋、結構長い期間開帳されることになり、是非とも拝しに出かけたいと思っています。

なお、浄土寺には、本像の他にも、重要文化財、県指定の仏像が8躯残されており、中でも聖徳太子三像(南無太子像、孝養像、摂政像)は、南北朝時代の造像年墨書銘があり、重要文化財に指定されています。
これらの諸像も、宝物館で拝観することが出来ます。

          
浄土寺・聖徳太子三像(南北朝時代・重文)左から、南無太子像、孝養像、摂政像



大阪市・三津寺の古仏像群が特別公開(3/10〜15)(2016年2月19日)


大阪市中央区の三津寺に遺る古仏像群が、特別公開されます。
特別公開期間は、2016年3月10日(木)〜3月15日(火)、午後1時〜4時です。
詳しくは、大阪市HP・【大阪の歴史再発見】
非公開の市指定文化財「三津寺仏像群」の特別公開についてページをご覧ください。

三津寺には、平安時代から江戸時代に至る古仏像群が残されており、12躯が平成26年(2015)に大阪市の指定文化財に指定されました。
この仏像群は、普段は公開されていませんが、大阪市教育委員会が主催する【大阪の歴史再発見】と題する文化財見学会・講演会企画により、初公開されるものです。

仏像の概要については、大阪市HP・大阪市指定文化財(平成26年度)三津寺仏像群をご参照ください。

三津寺は、大阪ミナミの飲食店が密集する繁華街のど真ん中にあります。
「みってら」と訓みますが、大阪ミナミにお馴染みの方には、聞き慣れた名前だと思います。
この三津寺に、平安時代にさかのぼる古仏が遺されていたなどとは、全く知りませんでしたし、ちょっと驚きです。

特別公開HPには、
「御堂筋沿いの賑やかな町中に寺地を構える三津寺は、奈良時代の建立と伝えられる市内有数の密教寺院です。度重なる火災を逃れて、平安時代、900年代後半に製作がさかのぼる、木造地蔵菩薩立像をはじめ、中世から近世に造像された古仏を、まとまって伝えています。」
と、記されています。

特別公開の各日、午後2時30分より、大阪市教育委員会学芸員による解説があるということです。
市指定の文化財ですが、関西在住の方々は、訪ねてみてはいかがでしょうか。


    
三津寺外観                                          三津寺・毘沙門天像



京都・法界寺の秘仏薬師如来像が51年ぶりに特別公開(4/29〜5/8)(2016年1月30日)

秘仏本尊が祀られる法界寺薬師堂
京都市伏見区の法界寺の秘仏本尊・薬師如来立像が、特別公開となります。
特別公開期間は、2016年4月29日(金)〜5月8日(日)です。

日野法界寺は、国宝の丈六阿弥陀如来坐像で良く知られていますが、日野薬師と呼ばれるように、ご本尊は薬師如来像です。
この薬師如来像(平安時代・重文)は、古来秘仏として厳重に守られており、何年に一度のご開帳という決まりもなく、拝することが難しい仏像でした。

今回、特別公開されるという情報を知り、本当にびっくりしました。

春夏秋冬恒例で開催されている「京都非公開文化財特別公開」事業において、春の特別公開として開帳されるとのことです。
新聞報道によると、京都古文化保存協会による「非公開文化財特別公開」の第1回が実施された時(1965年)に、この法界寺薬師如来像が特別公開されているそうで、今回が、その時以来の51年ぶりの公開となるそうです。

特別公開の詳細などについては、
京都古文化保存協会HP「平成28年度・春期京都非公開文化財特別公開開催要領」ページをご覧ください。
公開要領は、現在の処はこの「開催要領」以上のことは判りませんが、今後、同HPなどで、細かな要領などが掲出されるのではないかと思います。


法界寺は、永承6年(1051年)、日野資業が、薬師如来を安置する堂を建てたのが、その始まりとされています。
薬師如来像の胎内には、日野家に代々伝わる、伝教大師最澄自作の三寸の薬師像を納入したと伝えられていますが、その薬師如来像が、現本尊の薬師如来像そのもので、永承6年(1051年)頃の制作と考えられています。

薬師如来像は、像高88.8p、サクラ材の素木像で、重要文化財に指定されています。
この像は、伝承通りのサヤ仏として造られており、頭部と体部を別材にして、深く内刳りをして頭部を首ホゾ差しにするなど、複雑に木を寄せる、小像には珍しい構造になっています。
これは、胎内に小薬師像を籠めるための、造形上の工夫であったと思われます。
調査によって、胎内仏が納められていることが確認されましたが、この胎内仏は近世のものとみられ、当初の胎内納入薬師像は、何らかの事情で取り出されたか失われたものとみられています。

像容は、温和な藤原風の像ですが、この像の見どころは木地に施された、見事な截金文様です。
当時の、第一級品の仏像であったことがうかがわれます。
衣全体に13種の截金文様が、超絶技巧で見事に施されており、その美しさは繊細華麗そのものだそうです。

   
.       法界寺・秘仏本尊薬師如来像                        薬師如来像の衣に施された繊細華麗な截金文様

今回のご開帳で、薬師像の見事な截金文様を、どこまで眼近に見ることが出来るのかはわかりませんが、この薬師像を直接拝することが出来る二度とない機会かもしれません。
必見の御開帳です。
私も、なんとしても出かけたいと思っています。


なお、今回の「平成28年度・春期京都非公開文化財特別公開」では、法界寺の近くにある、善願寺・地蔵菩薩像(平安後期・重要文化財)、恵福寺の2躯の地蔵菩薩像(平安後期と鎌倉時代)も特別公開されますので、法界寺へ出かけられると併せて訪れてみてはいかがでしょうか。


       
善願寺・地蔵菩薩像                           恵福寺・地蔵菩薩像(平安後期)



大津市石山寺の本尊如意輪観音菩薩像が特別ご開帳(3/18〜12/4)(2016年1月30日)


滋賀県大津市の石山寺の秘仏本尊・如意輪観音菩薩像が特別ご開帳されます。
ご開帳期間は、2016年3月18日(金)〜12月14日(日)です。
詳しくは、
石山寺HP秘仏本尊御開扉ページをご覧ください。

石山寺の秘仏本尊・如意輪観音像は、勅封秘仏とされ、33年に一度と天皇即位後に、ご開帳されることになっています。
今回のご開帳は、33年に一度のご開帳の年にあたります。
近年では、1961年、1991年、2002年、2009年にそれぞれ開基1250年記念などの事由で開帳されており、今回開帳は7年ぶりのご開帳となります。

如意輪観音像(重要文化財)は、像高293p、寄木造の巨像で、温和な定朝様がうかがえる平安後期の制作です。
六臂で右膝を立てる通例と異なり、二臂で左脚を踏み下げ自然石の岩盤の上に坐す姿としています。
石山寺の本尊は、天平宝字6年(732)に丈六の塑像が造立されましたが、承暦2年に本堂とともに焼失します。
その本堂が再建された永長元年(1096)頃に、現在の本尊が制作されたのではと考えられています。

2002年の開帳時に、文化財保存状況の調査が行われ、背中の蓋板の中の内刳りに、小型の厨子が安置され、その中に4躯の小金銅仏と水晶製五輪塔が納められているのが発見されました。
金銅仏像は、当初の塑像本尊の体内に納められていたものと考えられています。
この胎内金銅仏4躯も、併せて特別公開されます。

そのほか、本尊安置の宮殿内から採集された約90個の塑像片が保存されていますが、この中には、当初塑像の断片も含まれているとみられています。
当初像左足先かと思われる断片も特別公開されるようです。


   
.       石山寺・如意輪観音菩薩像                本尊胎内金銅仏4躯(飛鳥〜天平時代)               当初像左足先かと思われる塑像断片



神戸市・須磨寺の秘仏本尊・聖観音坐像がご開帳(2/18〜24)(2016年1月5日)

秘仏・聖観音像が祀られる須磨寺本堂
兵庫県神戸市須磨区の須磨寺の秘仏本尊・木造聖観音坐像がご開帳となります。
ご開帳期間は、2016年2月18日(木)〜2月24日(水)です。
詳しくは、
須磨寺HPご開帳お知らせページをご覧ください。

須磨寺の秘仏本尊・木造聖観音坐像は、33年に一度のご開帳とされている厳重秘仏です。
須磨寺は、平安時代の初め、漁師が和田岬の沖で引き上げた聖観音像を、886年(仁和2年)に聞鏡上人が現在の地に移したのが始まりとされています。
本尊・聖観音坐像は、無指定で解説資料等も見当たらないようです。
寺伝のご本尊だとすると平安前期の像ということになるのでしょうが、どのような仏像なのかは全く情報がありません。

また、ご開帳関連の展覧会として、神戸市立博物館で「須磨の歴史と文化展−受け継がれる記憶」が開催されますが、この展覧会に、須磨寺の十一面観音立像(鎌倉時代・重文)が出展されます。
展覧会開催期間は、2016年2月6日(土)〜3月21日(月)です。
詳しくは、神戸市立博物館HP展覧会ページをご覧ください。


         
須磨寺の十一面観音立像(鎌倉時代・重文)     「須磨の歴史と文化展−受け継がれる記憶」ポスター



姫路市・円教寺で摩尼殿四天王像など特別開帳(1/9〜3/31)(2016年1月5日)


兵庫県姫路市の書写山円教寺では、普段非公開の摩尼殿・四天王像(重文・平安)、開山堂・性空証人像(重文・鎌倉)などが、特別に公開されることになりました。

JR西日本が行っている「ちょこっと関西歴史たび」キャンペーンの対象が、2015年度冬季は兵庫県姫路市の「書寫山圓教寺」に決まりました。
期間中、様々な企画が実施されますが、普段非公開の仏像の特別公開も行われることになったものです。

キャンペーン期間は、2016年1月9日(土)から3月31日(木)までで、仏像の特別公開予定は、次のようになっています。




詳しくは、JR西日本HP「
ちょこっと関西歴史たび 書寫山 圓教寺開催について」をご覧ください。

摩尼殿安置の本尊・如意輪観音像(1933年、石本暁海作)と四天王立像は、通常は、1年に1度、修正会の1月18日に限りご開帳されているものです。
四天王像(4躯・像高130p前後)は、かつては講堂釈迦三尊像の周囲に置かれていた像で、足下の邪鬼も含めて内刳りのないヒノキの一木彫像です。
釈迦三尊像と同時期の10世紀の制作とみられる、見どころある興味深い像です。

    
.              円教寺摩尼殿・四天王像(重文・10C)                    持国天像(右)

なお、摩尼殿には、2006年に小厨子から発見された、鎌倉前期制作の如意輪観音坐像(像高20p・県指定文化財)も安置されていますが、この像は、今回開帳されません。


開山堂安置・性空証人坐像(丸い壺に遺骨らしき陰影が見えるX線写真)
開山堂安置の性空証人坐像は、毎年、性空上人忌(旧暦3月10日、新暦4月10日)の二日限りでご開帳されているものです。
本像は弘安9年(1286年)に焼失した旧像に代わり、正応元年(1288年)に慶快が造ったものです。
旧像の像内にあった瑠璃壺に納められた性空の遺骨が焼け残ったので、新像にあらためて納入されたという伝えがありましたが、2008年奈良国立博物館によるエックス線撮影調査により、本像の頭部内には、所伝どおり遺骨が納入された瑠璃壺が納められていることが判明して、話題を呼びました。

円教寺には、今回特別公開される仏像のほかに、講堂・釈迦三尊像(重文)、常行堂・阿弥陀如来坐像(重文)が、よく知られています。
釈迦三尊像は、永延元年(987年)の造立、阿弥陀如来坐像は寛弘2年(1005年)頃に造立されたとみられ、平安中期の優作です。
この二尊の仏像の拝観は、事前にお願いをし、拝観予約をすれば拝観可能ですが、特別公開期間も同様の対応となっているようです。

円教寺は、姫路駅からバスで30分、そこからロープウェーで書写山山上に上って徒歩と、訪れるには少々不便なところにありますが、円教寺に遺る平安古仏の優作をすべて拝観できる良いチャンスではないかと思います。


なお、JR西日本「ちょこっと関西歴史たび」キャンペーンは、3月末で終了しますが、仏像の特別拝観は、引き続き5月上旬まで行われるようです。
不確実情報ですので、詳細は円教寺にご確認ください。







【過去の秘仏御開帳情報】

2002年〜2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

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