展示会案内2012

全国の美術館、博物館の展示会情報については、下記リンク先を参照ください。

--------------------------------------------------------------------------------

●静岡市美術館で「近江巡礼 祈りの至宝展」開催(2012年12月22日‎)

静岡市美術館で「近江巡礼 祈りの至宝展−滋賀県立琵琶湖文化館が守り伝える美−」が開催されます。
開催期間は、2013年1月2日(水)〜2月11日(月)です。


詳しくは、静岡市美術館HPを、ご覧ください。

ご存知のように、琵琶湖文化館は運営予算等の経済的理由もあり現在休館中ですが、その寄託・収蔵品を一挙に紹介する展覧会です。
琵琶湖文化館は、近江の寺々の仏像仏画などのすぐれた作品が多く寄託されており、仏像愛好家にはよく知られた館であったのですが、現在再開のめどは立っていないようです。
この機会に、一度は見ておきたい展覧会だと思います。

国宝2件、重要文化財28件、滋賀県指定文化財18件を含む81件の選りすぐりの琵琶湖文化館収蔵品が展示されるとのことです。
展示作品については静岡市美術館HP・展示目録をご覧ください。

聖衆来迎寺・金銅薬師如来立像(重文・奈良時代)、正法寺・帝釈天立像(重文・平安)、荘厳寺・聖観音像(重文・平安)、金勝寺・僧形八幡神像(県文・平安)、大日寺・薬師如来坐像(県文・平安)あたりが、仏像の見どころではないかと思います。

なお、この展覧会は、その後、仙台市博物館(2013年7月12日〜 8月25日)、島根県立古代出雲歴史博物館(2014年3月28日〜5月11日)にて、巡回開催される予定となっています。

      
聖衆来迎寺・金銅薬師如来立像                 荘厳寺・聖観音像               金勝寺・僧形八幡神像 .


●東京国立博物館で「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―展」開催(2012年12月22日‎)

東京国立博物館で「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―展」が開催されます。
開催期間は2013年1月12日(土)〜2013年4月7日(日)です。
詳しくは、東京国立博物館HPをご覧ください。

“円空仏の寺”として知られる飛騨・千光寺のほぼすべての円空仏61体を一挙に公開されます。
円空の名作として名高い両面宿儺坐像(りょうめんすくなざぞう)も出展されます。
この像が、千光寺を出て、博物館で展示されるのは、はじめてのことではないかと思います。

博物館HPによれば、
「現在知られている約5000体の円空仏のうち、1500体以上が岐阜県にありますが、飛騨高山には、とりわけ多彩な円空仏が残されています。「千手観音菩薩立像」(清峰寺)、「柿本人麿坐像」(東山神明神社)など、高山市内の14の寺社が所蔵する100体を東京で初めて一堂に紹介します。」
とのことです。

ご存知のように、円空仏が世に知られるようになったのは、昭和30年代になってからのことです。
昭和34年、民芸運動で著名な柳宗悦が主催発行する雑誌「民芸」9月号で円空特集が組まれ、昭和35年には、神奈川県立近代美術館で「円空上人彫刻展」が催されました。
このころから円空仏が世に知られるようになり、また本格的な芸術作品として評価を受けるようになったようです。
円空仏は、仏教美術・彫刻史の世界での評価というよりは、現代的アート感覚によって見出された、心を打つ迫力あふれる芸術作品と云えるのかもしれません。

      
千手観音像(清峰寺蔵)                 展覧会ポスター・両面宿難像(千光寺蔵)               立木・仁王像(千光寺蔵) .


●京都国立博物館で「国宝十二天像と密教法会の世界展」開催(2012年12月22日‎)

京都国立博物館で「国宝十二天像と密教法会の世界展」が開催されます。
開催期間は、平成25年1月8日(火)〜2月11日(月・祝)です。
詳しくは、京都国立博物館HPをご覧ください。

国宝十二天像は、もと東寺に伝来し、大治2年(1127)に宮中真言院後七日御修法のために新調された由緒の正しい作品です。
この仏画は、パステル調の豊麗な彩りに、5種類以上の截金模様をちりばめ、きらびやかな院政期貴族の美意識を映し出した作品です。
この十二天像とセットで作られた国宝 五大尊像(東寺蔵)の一部を展示されます。
仏像彫刻の展覧会ではないのですが、たまにしか展示されない平安仏画の優作ですので、一度は観ておきたい仏画だと思います。

なお、この国宝十二天像は、昭和40年代後半、東寺が洛南高校をつくる資金を得るために売りに出され、一幅3千万円で国が買い上げ、現在、京都国立博物館の所蔵となっているものです。
この頃、東寺が、昭和34年頃から国宝・重文を含む50件の寺宝を文化庁(国宝十二天像)、天理図書館(国宝類聚名義抄など)、世界救世教(重文童子経曼荼羅など)、その他に経済的理由から売却していたことが明らかになり、国外への流出もあったことから、随分と物議をかもしました。

      
十二天像・水天像(京博蔵)                       展覧会ポスター                     五大尊像・軍荼利明王像(東寺蔵) .


●大津市歴史博物館で「阿弥陀さま-極楽浄土への誓い-展」開催中(2012年11月7日‎)
〜新発見、行快作・浄信寺阿弥陀如来立像が出展〜
 
大津市歴史博物館で法然上人没後800年記念・親鸞聖人没後750年記念企画展「阿弥陀さま-極楽浄土への誓い-」が開催されています。
開催期間は、10月13日(土)〜11月25日(日)です。
詳しくは大津市歴史博物館HPをご覧ください。
阿弥陀さま-極楽浄土への誓い-展図録

大津市所在の阿弥陀如来の仏像、画像を中心に100点以上が一堂に展示されています。
仏像は約60躯出品されていますが、そのほとんどが未指定の仏像で、普段はなかなか見ることができない仏像ばかりのようです。

博物館のHPには
「大津市にはまたまだ専門家が目にしていない優品がたくさん埋もれており、そのように文化財的に眠っている宝物にスポットを当て、紹介するのが当館の役目だからです。今回展示する宝物のうち、約4割が初出陳です。」
との学芸員・寺島典人氏のコメントがありました。

私は、行けそうにないので、図録(1500円)を取り寄せましたが、阿弥陀像ばかり、よくこれだけ集まったものという興味深いもので、図録の内容も併せて充実したものでした。

なかでも、大注目は、新発見の行快作・浄信寺阿弥陀如来立像が出展されていることです。

浄信寺は長浜市木之本町に在り、「木之本地蔵」として有名で、阿弥陀如来像の存在は今までも知られていましたが、今春の大津市歴史博物館の調査によって、行快作と考えられるようになったものです。
左足ホゾに「■■法橋行」と墨書銘があり、当初は「巧匠 法橋行快」と書いてあったとみられています。
作風も、切れ長で涼やかな目の理知的な表情や耳の形に、行快の初期の特徴が表れており、行快が法橋だった1216〜27年ごろの制作とみられています。
快慶の高弟であった行快は、京都・大報恩寺(千本釈迦堂)の釈迦如来坐像(承久3年・1221)で知られていますが、2010年には河内金剛寺の不動明王像が、2011年には近江西教寺の観音菩薩像が、墨書銘の発見で行快作であることが判明し、近時、行快作の発見が続いています。

                 
浄信寺阿弥陀如来立像          大報恩寺釈迦如来坐像                     金剛寺不動明王      .


●福井県立歴史博物館で「泰澄ゆかりの神仏展」開催中(2012年11月7日‎)

  福井県立歴史博物館で「泰澄ゆかりの神仏展〜泰澄寺・蕗野寺・朝日観音の秘仏」」が開催されています。
開催期間は、10月27日(土)〜11月25日(日)です。
詳しくは福井県立歴史博物館HPをご覧ください。

今回の展示では、
泰澄の生家を寺院に改めたと伝えられる「泰澄寺」
泰澄が刻んだとされる十一面観音像を祀る「猿田彦神社(旧蕗野寺)」
泰澄が立木から彫り出したといわれる正観音像を祀る「朝日観音福通寺」
朝日観音の別当福通寺の旧仏とされる仏像群が伝わる「日吉神社」
の4社寺を中心に、寺外初公開の仏像・神像が展示されています。

福井まではとても行けないので、図録(1000円)を取り寄せましたが、猿田彦神社の十一面観音立像や日吉神社の大日如来坐像などは、地方色が色濃く出た平安仏で、一度見てみたい興味深い仏像のように思えました。

                 
泰澄ゆかりの神仏展図録          猿田彦神社十一面観音立像                     日吉神社大日如来坐像


●岐阜県博物館で「飛騨・美濃の信仰と造形展」開催(2012年10月6日‎)

  岐阜県関市小屋名の岐阜県博物館では、「飛騨・美濃の信仰と造形〜古代・中世の遺産〜展」を開催中です。
開催期間は、平成24年9月21日(金)から10月28日(日)です。
展覧会概要、主な出展仏像などは、岐阜県HP岐阜県博物館HPをご覧ください。

岐阜県内の仏像が数多く出品されているようですが、私の注目の出展仏像は、関市・常楽寺の2躯の菩薩坐像です。
この像は、2010年に新たに重要文化財に指定された菩薩像で、平安前期の製作といわれています。
小像ですが、なかなかボリューム感もあり魅力的な像のようです。(私は、この像をまだ見たことがありません)

そのほかには、富加町・清水寺の十一面観音坐像(平安中期)、大垣市・明星輪寺の地蔵菩薩坐像、御嵩町・願興寺の阿弥陀如来坐像(鎌倉時代)、中津川市・東円寺の薬師如来坐像(平安時代)、下呂市・森水無八幡神社の神像群(平安〜鎌倉時代)などが出展されています。

            
展覧会ポスター                                 関市・常楽寺の2躯の菩薩坐像          .


●三重・パラミタミュージアムで「南都大安寺と観音さま展」開催(2012年9月4日‎)
〜三重・和歌山の平安古仏数多く出展〜

三重県三重郡菰野町のパラミタミュージアムでは「南都大安寺と観音さま展」開催されています。
開催期間は、H24.8.30(木)〜10.10(水)です。
詳しくは、パラミタミュージアムHPをご覧ください。

この展覧会は、開館10年記念展覧会として開催されています。
奈良・大安寺の馬頭観音、楊柳観音、不空羂索観音の三像をはじめ、大安寺古瓦などが出展されています。
注目は、このほかに三重、和歌山を中心とした観音像の平安古仏が、多く出展されていることです。



出展目録 を見ると、興味深い仏像の名が、ずらりと並んでいます。

愛知県の平勝寺・十一面観音坐像、奈良県の置恩寺・十一面観音立像
三重県の平安古仏では、
瀬古区・十一面観音立像、宝厳寺・十一面観音立像、和具観音堂・十一面観音立像、建福寺・十一面観音立像
和歌山県の平安古仏では、
円満寺・十一面観音立像、薬王寺・十一面観音立像、法音寺・十一面観音立像
などが出展されています。

いづれも、平安前期から中期と考えられる、個性あふれる平安古仏です。

普段はちょっと行きにくい場所にあるパラミタミュージアムですが、この機会にぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。


●三井記念美術館で「近江路の神と仏 名宝展」開催(2012年8月25日‎)

  東京日本橋の三井記念美術館では、「琵琶湖を巡る 近江路の神と仏 名宝展」が開催されます。


開催期間は、2012年9月8日(土)〜11月25日(日)です。
詳しくは、
三井記念美術館HPを、ご覧ください。

美術館の案内によれば、

 「琵琶湖を巡る近江の古社寺に伝えられた秘仏、名宝を一堂に展示する、東京で開催される初めての大展覧会です。
42の古社寺から、仏像、神像、仏画、垂迹画、絵巻物、経巻、工芸品など、国宝6点、重要文化財56点、滋賀県指定文化財21点を含む約100点の名宝が出品されます。」

とのことです。

仏像の出品予定は、以下のとおりです。




特別の秘仏などの出展はないようですが、個人では拝観が難しい仏像や、それぞれの寺々を訪ねるのは大変といった仏像が、数多く出展されます。
是非、訪れてみたい展覧会だと思います。

なお、この展覧会は、三井記念美術館のみでの開催で、他の美術館での巡回展はないそうです。


●京都国立博物館で「大出雲展」開催〜華蔵寺・薬師如来坐像が出展(2012年7月29日‎)

京都国立博物館では、「古事記1300年 出雲大社大遷宮 大出雲展」が開催されています。
開催期間は、H24.7.28(土)〜9.9(日)です。
詳しくは、
京都国立博物館HPをご覧ください。

出雲地方の仏像、神像も出品されています。 主な出品は、以下のとおりです。

華蔵寺 薬師如来坐像
・島根・仏谷寺 観音菩薩立像 平安時代 10世紀
・島根・華蔵寺 薬師如来坐像 平安時代 12世紀
・島根・赤穴八幡宮 八幡神坐像 鎌倉時代 嘉暦元年(1326)
・島根・成相寺 男神坐像・女神坐像・僧形坐像 平安時代 12世紀
・島根・万福寺 薬師如来坐像 平安時代 10世紀
  ・島根・鰐淵寺 観音菩薩立像 飛鳥時代 7世紀
・島根・鰐淵寺 男神坐像 平安時代 10〜11世紀
・島根・鰐淵寺 男神坐像 平安時代 12世紀
・島根・鰐淵寺 童形神立像 平安時代 12世紀
・滋賀・上野神社 素盞男尊坐像 平安時代 10〜11世紀

注目は、華蔵寺 薬師如来坐像です。
この仏像は、普段は秘仏として拝観できない像で、50年に一度の開帳です。
直近は、2001年5月に開帳されました。
展覧会への出展されるのは、今回が初めてではないかと思います。


●佛教大学宗教文化ミュージアムで「愛宕信仰のひろがり−諸霊山とのネットワーク−展」開催中(2012年6月15日‎)



 昨年開催された特別展「愛宕山をめぐる神と仏」に引き続き、「愛宕信仰のひろがり−諸霊山とのネットワーク−展」が、佛教大学宗教文化ミュージアムで開催されています。
開催期間は2012年5月26日(土曜)〜2012年6月24日(日曜)です。
展示仏像など詳細は、
宗教文化ミュージアムHPを参照ください。

注目される展示仏像は、木造十一面観音立像(京都・般若寺)です。
昭和58年の文化財調査で、その存在が判明した仏像で、9世紀・平安前期の作と考えられる注目像です。
般若寺は、愛宕五山の中で最も高い地蔵山の西麓の、嵯峨樒原の村落に在り、この地はかつて亀岡方面からの愛宕詣での道にあたったそうです。


また、前回特別展「愛宕山をめぐる神と仏」の図録報告書(115P)が、本年 (2012)4月に刊行されました。
ミュージアム・近藤様より、希望者には一人一冊に限り、送料負担のみで配布頂けるとのご案内がありました。
 
ご希望の方は、下記までご連絡ください。
佛教大学宗教文化ミュージアム
 〒616−8306 京都市右京区嵯峨広沢西裏町5-26
 Tel:075-873-3115 Fax:075-873-3121


● 東博〜平成24年 新指定 国宝・重要文化財展示(2012年4月25日‎)

 東京国立博物館で、特選情報でお知らせした、新指定国宝・重要文化財のうち、44件(写真パネル展示2件含む)が展示されます。
展示期間は、2012年4月28日(土) 〜 2012年5月13日(日)です。
私が、注目の仏像として紹介した、高成寺・千手観音立像、弥勒寺・弥勒仏坐像も出陳されます。
明王院・不動明王像を除いて、新指定の仏像(彫刻)は、すべて出陳されます。
詳しくは、
東博HPをご覧ください。


過去の展示会情報

2000年上半期

2000年下半期

2001年上半期

2001年下半期

2002年

2003年

2004年

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

inserted by FC2 system