仏像を科学する

 

 仏像をはじめとする、文化財に対する調査、研究には、文献調査や、様式論など、人文学的なアプローチが行われてきたが、近年、科学技術の発達により文化財の科学的調査、分析が可能となり、人文学的調査を補強する意味でも、科学的な構造や材質、製造方法の解明が不可欠になってきている。

 戦後、東京国立文化財研究所の久野健らによって、X線透視方式(いわゆるレントゲン撮影)による仏像の調査が行われ、今まで分解修理しなければ分からなかった、仏像の構造、胎内納入品等の詳細が、仏像を分解することなく調査することが可能となった。

 また、素材の研究も、化学分析はもちろん、素材を採取せずに分析することが可能な、いわゆる非破壊検査の手法が開発され、多くの文化財の調査が可能となった。現在では、特に金属については、製作時代や、素材の産出地を特定できるようになった。

 この項では、科学的調査によって、調査された文化財、特に仏像の素材等に対する知見、及び調査方法についてまとめた。

 

素材        

銅造→→→→→→→→ 鍍金
      ↓
       →→→ 
ろう型鋳造

鉄造

木造→→→→→→→→ 顔料

塑像

漆、乾漆造

 

分析方法

X線透視法、赤外線鑑識

X線分析法

 

年代測定方法

年輪年代法

放射性炭素年代測定法

熱ルミネッセンス年代測定法

 

 

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