特選情報2012
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●国重文の金山寺本堂火災、県文の阿弥陀如来坐像も焼失(2012年12月29日)

金山寺・阿弥陀如来坐像
  12月24日夜、岡山市北区金山寺(かなやまじ)の天台宗寺院「金山寺」の本堂が、火災により焼失しました。

本堂は桁行5間、梁行6間の入り母屋造りで、桃山時代の豪華な様式を残しており、昭和25年に国の重文に指定されています。
県教委文化財課によると、本堂に安置されていたとみられる6体の仏像も全て焼け、焼け跡には像のかけらが散らばっていたということです。

県重文の阿弥陀如来坐像(高さ約85センチ)は、平安時代末期の作と推定される檜の寄木造りです。
普段は護摩堂に安置されていましたが、同堂修理のため本堂に移されており、火災により焼失したとみられています。

●新指定文化財(国宝・重要文化財)答申、国宝2件重文41件指定(2012年4月21日)

 2012年新指定文化財(国宝・重要文化財)が答申され、
国宝には、
清浄華院蔵:絹本著色阿弥陀三尊像、山形県西ノ前遺跡出土:土偶(山形県立博物館保管)の2件指定されます。
重要文化財には、
絵画3件、彫刻14件、工芸品4件、書籍典籍5件、古文書6件、考古資料8件、歴史資料6件の計41件が指定されます。

仏像・神像などの彫刻は、次のとおり14件の大量指定となりました。
@ 木造天王立像【文化庁保管】
A 木造不動明王坐像【明王院】(神奈川県鎌倉市十二所32)
B 木造蘭溪道隆坐像【建長寺】(神奈川県鎌倉市山之内8)
C 木造十二神将立像【曹源寺】(神奈川県横須賀市公郷町3−23)
D木造神像(男神・女神坐像【箱根神社】東京国立博物館寄託(神奈川県足柄下郡箱根町元箱根80−1)
E 木造千手観音坐像【海門寺】(石川県七尾市大田町5−74)
F 木造千手観音立像【高成寺】(福井県小浜市青井1−11−1)
G 木造愛染明王坐像【甚目寺】(愛知県あま市甚目寺東門前24)
H 木造獅子【教王護国寺】(京都府京都市南区九条町1)
I木造弥勒仏坐像【弥勒寺】奈良国立博物館寄託(奈良県大和高田市土庫2−8−13)
J 木造天神坐像【與喜天満神社】奈良国立博物館寄託(奈良県桜井市初瀬1)
K 木造執金剛神立像・木造深沙大将立像【金剛峯寺】(和歌山県伊都郡高野町高野山132)
L 木造足利尊氏坐像【安国寺】(大分県国東市国東町安国寺2245)
M 銅造観音菩薩立像【長谷寺】中津市歴史民俗資料館寄託(大分県中津市三光西秣1893)


新指定重要文化財展が、東京国立博物館で2012年4月28日(土)〜2012年5月13日(日)に開催されます。 出品される重要文化財のリストが、まだ公開されていないようです。 追ってお知らせします。

 
今回の新指定仏像の中で、特に私が注目している仏像は、
木造千手観音立像【高成寺】(福井県小浜市)と、木造弥勒仏坐像【弥勒寺】(奈良県大和高田市)の2躯です。
共に、一気に重要文化財までスピード出世した仏像です。
昨年の大賀島寺・千手観音像(岡山)と千手院・千手観音像(滋賀)も、一気に重要文化財指定となった平安前期の魅力ある仏像でしたが、この2躯もなかなか魅力ある仏像のようです。


■高成寺の千手観音立像は、
2009年に福井県指定文化財になったばかりでしたが、重要文化財指定となりました。
「像高181.0pで、胸や腰に十分な厚みをもたせ、下腹を張り出すことや、天衣や裳には彫りの深い幅広の波と小波を交互に刻み、衣端に旋転文が見られる。構造は、やや右に曲った木芯を含む桧の縦材から全身を彫り出し、内刳りを全く施さないなど極めて古風な造りである。
平安初期(9世紀半ば〜後半)の特色を示す。
若狭姫神社伝来と伝えられ、神仏習合にかかわる造像。」
と解説されています。

  ■弥勒寺の弥勒如来坐像は、

平成21年(2009)奈良県教育委員会による調査で、見出された仏像です。
昨年、お堂の修理に際し、奈良国立博物館に展示され、注目を浴びました。
像高147pの大きな像であるのに、従来は上塗りのためか、近世の作と思われていたようです。
「一木彫像で、太造りであるが彫口は穏やかで、表情もやさしい。
10〜11世紀の奈良地方造像の典型的特色を示し、造東大寺所所属工人の系譜を引く工房の手になると思われる。
両足部まで共木で彫出する豪快な構造をみせる」
と解説されています。



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