秘仏御開帳2013

 全国の秘仏御開帳情報は、下記サイトの「仏像の公開情報」に詳しいので、そちらもご覧下さい。

観仏 三昧 ─仏像と文化財の情報ページ─
展覧会情報、仏像の公開情報、講演会・シンポジウム情報、文化財トピックス等の情報を詳細に紹介している
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●    京都・勝林寺の毘沙門天胎内仏が250年ぶりにご開帳(11/15〜12/8)(2013年11月22日)

京都市東山区の東福寺塔頭、毘沙門堂・勝林寺で本尊・毘沙門天立像の「胎内仏3体」が、初めて公開されています。
250年前に胎内仏の厨子が造られ、そこに収められて以来のご開帳ということです。
公開期間は、秋の特別拝観、11月15日(金)〜12月8日(日)です。
詳しくは、勝林寺HPをご覧ください。

本尊・毘沙門天像は、像高145.7p、平安時代の作と云われ、普段は非公開ですが、これまでも正月・春・秋には公開されています。
今回、はじめて開帳されたのは、この毘沙門天像の胎内、厨子の中に収められていた毘沙門天像と両脇侍です。
250年前、江戸時代の京都の大仏師・清水隆慶が、毘沙門天の脇侍として吉祥天・善膩師童子を付け加え、深紅の厨子に納められて以来、封印されてきた「秘仏中の秘仏」われているものだそうです。
毘沙門天像は、像高16.7p、平安時代の制作と云われています。

                     
.        勝林寺・特別拝観ポスター                 胎内仏・秘仏〜毘沙門天像               毘沙門天像が納められている厨子


●    京都・浄福寺の釈迦如来立像が、100年ぶりにご開帳(11/1〜10)(2013年11月2日)

2013.10.30 日本経済新聞掲載記事
京都市上京区の浄土宗浄福寺で、秘仏「栴檀瑞像釈迦牟尼仏(せんだんずいぞうしゃかむにぶつ)」が約100年ぶりに開帳されます。
10月29日、新聞各紙は、一斉にこの100年ぶりの秘仏御開帳を報道しました。
開帳期間は2013年11月1日(金)〜10日(日)です。

この仏像は、嵯峨野にある清凉寺・釈迦如来像(国宝・宋時代)を鎌倉時代にも刻したと云われる像で、いわゆる清凉寺式釈迦如来像です。
浄福寺によると、江戸期には毎月開帳していたが、約100年前から公開の記録がないということです。
文化財指定はされていないと思われます。
安置するお堂の改修が完了したことを祝い開帳されるもので、恒例の京都古文化保存協会による「秋の非公開文化財特別公開」の一環として公開されることになったものです。
「非公開文化財特別公開」の内容については、京都古文化保存協会HPをご覧ください。

               
浄福寺本堂                              浄福寺・釈迦如来立像                   本堂厨子に安置されている釈迦如来像

なお、今回の京都「秋の非公開文化財特別公開」で、初公開となる仏像は、ほかには次のとおりです。

 



●    丹波市・常勝寺の千手観音・薬師如来像がご開帳(11/22〜24)(2013年10月5日)


兵庫県丹波市山南町の竹林山常勝寺のご本尊・千手観音立像と薬師堂本尊・薬師如来坐像が、2013年11月22日(金)〜24日(日)に御開帳されます。

ご本尊・千手観音像は33年に一度のご開帳とされており、今回のご開帳は35年ぶりになります。
また、薬師堂の本尊薬師如来像も秘仏とされています。
前回御開帳は1日のみのご開帳でしたが、今回は本堂再建三百年慶讃事業として3日間ご開帳されるということです。
詳しくは、常勝寺HPをご覧ください。

千手観音立像、薬師如来坐像共に、重要文化財に指定されています。
千手観音立像は、像高58.0pの金銅仏で、鎌倉時代の製作とされており、兵庫県下では珍しい鎌倉時代の金銅仏です。
薬師如来坐像は、像高77.2pで、ヒノキの寄木造、玉眼を嵌入した仏像です。
堂々と量感に富む体躯、広い膝張りで、平安後期の様式を残した鎌倉時代の製作とされています。


               
常勝寺本堂                              千手観音立像                   薬師如来坐像


●    平成25年度・みほとけの里〜若狭の秘仏特別公開(9/14〜10/14)(2013年8月17日)


昨年に惹き続き、今年も「みほとけの里〜若狭の秘仏特別公開」が実施されます。
特別公開期間は、平成25年9月14日(土)〜10月14日(月・祝)、です。

昨年始められた企画ですが、大変好評で、多くの方がこの期間に拝観に訪れたとのことです。
今年は、普段は一般公開していない、17ヶ寺の古仏像が拝観できるようです。

特別公開の諸寺と仏像、公開日などは、福井県HP(歴史文化街並み)をご参照ください。
各寺院の公開日や公開時間の詳細が掲載されています。
寺院によって、公開日や公開時間が異なっているようですし、特別公開ツアーバスのみ公開の仏像もあるようですので、ご注意ください。

ご参考に、重要文化財・県指定文化財の特別公開仏像を、一覧表にしましたので、ご覧ください。


 


●    山梨・大善寺の薬師三尊像が10月ご開帳(10/1〜8)(2013年7月20日)

山梨県甲州市勝沼町の柏尾山大善寺の御本尊・薬師三尊像が2013年10月1日(火)から10月8日(火)に、御開帳されます。
大善寺・本堂

この薬師三尊像は、5年に一度の御開帳で、前回の御開帳は平成20年(2008)でした。
詳しくは、大善寺HPをご覧ください。

大善寺は「ぶどう寺」として親しまれており、寺伝では奈良時代に行基の開創を伝えられていますが、古代豪族三枝氏の氏寺として発展した寺院です。
現在の本堂(薬師堂)は、何度かの火災を経て、正応3年(1190)に造立されたたもので国宝に指定されています。

この薬師三尊像(像高〜如来像:88p、脇侍像:102p)は、平安時代、10世紀頃の制作と考えられ重要文化財に指定されています。
本堂・内陣厨子
わりと知られた平安仏ですので、皆さんよくご存じのことと思います。
三尊共にサクラ材の一木彫で、内刳りはありません。
おおらかで明るい雰囲気で、頭部が大きいのが特徴です。
地方的な独特の表現ですが、平安中期一木彫に相応しい量感豊かな仏像です。

薬師三尊像は、展覧会には折々出展されることもあり、私は直近では、平成18年10月に山梨県立博物館で開催された「祈りのかたち〜甲斐の信仰〜展」に出展された時に観ることが出来ました。

国宝の本堂では、中央壇上の大きな厨子に薬師三尊像が安置されていますが、その両脇には鎌倉時代制作の日光・月光菩薩像、十二神将像(共に重要文化財)が安置されています。
お堂の厨子内に祀られた薬師三尊像の姿を拝するのも、また味わい深いものと思います。

               
月光菩薩像                 大善寺・薬師如来像                   日光菩薩像


●    高知・竹林寺文殊菩薩像が50年ぶりに御開帳(2014.4/25〜5/25)(2013年6月30日)


高知県高知市の五台山竹林寺の御本尊・文殊菩薩坐像が、来年春、2014年4月25日(金)から5月25日(日)に御開帳されます。

この文殊菩薩像(国指定重要文化財)は、50年に一度の御開帳で、普段は厳重秘仏として本堂厨子内に安置されています。
来年(平成26年)は、前回開帳からちょうど50年目に当たります。
詳しくは、竹林寺HPをご覧ください。

竹林寺は、神亀元年(724)、聖武天皇の勅願を奉じた行基上人が、文殊菩薩の霊場として名高い大唐五台山になぞらえ開創されたにはじまると、寺伝に伝える古刹です。
数多くの古仏を伝えており、重要文化財に指定されている仏像は14件19躯にのぼり、高知県内で重文指定されている仏像の約3分の1にもなります。
竹林寺・本堂
ご本尊・文殊菩薩像以外の仏像は、宝物館に展示されていますので、いつでも拝観することができます。

秘仏・文殊菩薩坐像は騎獅像で、侍者4躯とで一具で遺されています。
(騎獅と侍者4躯は、宝物館に展示されており、いつでも拝観可能です。)
文殊騎獅像は、唐様と宋様の二系統がありますが、竹林寺像は上半身裸形に近く結跏趺坐する唐様の系統を伝えるもので、現存最古に遺品といわれています。
(宋様は、全身に衣を着て半跏趺坐〜中尊寺・文殊騎獅像がその典型)
平安時代後期の制作で、像高60.4p、クス材の一木造りの彩色像です。
頭部が大きく、厚みのある膝組み、太造りの体部を示すとのことです。

この文殊菩薩像は、重要文化財に指定されていますが、これまでも50年に一度のご開帳のほかには、公開されたり開帳されたりしたことはないようです。
今回の御開帳は必見かも知れません。

            
.           竹林寺本尊・文殊菩薩坐像                                    騎獅・侍者4躯(宝物館に安置)


●    長崎・五島市の明星院の本尊と金銅仏が6月ご開帳(6/8〜12/31)(2013年5月6日)


長崎県五島市、福江島の明星院の秘仏が6月8日(土)〜12月31日(水)に御開帳されます。
本尊・虚空蔵菩薩像は100年に一度のご開帳。
銅造・如来立像(重要文化財)は50年に一度の御開帳です。

今年、6月7日に晋山式(しんざんしき:新たな住職が就任する儀式)が行われます。
これに合わせて秘仏の御開帳が行われるとのことです。
開帳期間は6ヶ月間ありますが、毎月1日、28日及び毎週月曜日は休館・拝観不可ということで、拝観のときには予約が必要ということです。
予約問合せ先:明星院(電話0959-72-2218)
詳しくは、五島市公式サイトをご覧ください。

御本尊の虚空蔵菩薩像は、どのような仏像なのかよく判りません。
いろいろな文化財資料にも全く掲載せれていませんので、時代が下るものなのかもしれません。
銅造如来立像は、像高26.6pの小金銅仏で、7世紀半ばの制作と考えられ、重要文化財に指定されています。
この小金銅仏は、S62年に東京国立博物館で開催された「金銅仏展」に出展され、私はこの時に観た記憶があります。
その後も展覧会に出展されたことが何度かあるのかもしれません。
明星院には、このほかに県指定文化財の阿弥陀如来立像(像高98.0p)があり、平安時代後期の典型的な藤原仏です。

                  
.               明星院 本堂                           金銅・如来立像          阿弥陀如来立像


●    松島・瑞巌寺五大堂の降三世明王像が特別展示(3/21〜7/28)(2013年4月26日)

宮城県松島・瑞巌寺五大堂の秘仏・五大明王像のうち降三世明王像が特別展示されています。
瑞巌寺では、「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(DC)」を盛り上げる特別企画として、特別展「本堂解体修理展」を開催しており、この特別展に秘仏・降三世明王像を展示することになったものだそうです。
特別展「本堂解体修理展」の開催期間は、2013年3月21日(木)〜7月28日(日)です。
詳しくは、瑞巌寺HPをご覧ください。

瑞巌寺五大堂の五大明王像は、33年に一度ご開帳の厳重秘仏で、最近では平成18年(2006年)に御開帳されました。
この像は、厳重秘仏のため、従来ほとんど知られていませんでしたが、近年ようやく本格的調査が行われ、東北古代彫刻を考える上で重要な古像で、完存する五大明王像の古例としても価値が高いものであることが判明しました。
平安時代10世紀末から11世紀初めの制作と考えられています。
平成7年(1995年)、重要文化財に指定されました。

            
.         松島 瑞巌寺・五大堂                           五大堂・五大明王像のうち降三世明王像


●    山形・立石寺 薬師如来像が5月御開帳(4/27〜5/31)(2013年2月23日)

立石寺・ご開帳パンフレット
山形県山形市の山寺・立石寺の秘仏、薬師如来坐像(重要文化財)が、4月27日(土)から5月31日(金)までご開帳されます。
50年に一度のご開帳で、それ以外に開帳されたことはなく、厳重に秘仏として守られています。
詳しくは、山寺観光協会HPをご覧ください。

山寺立石寺は、貞観2年、慈覚大師円仁が開山したと伝える山岳寺院で、峨々たる山壁に諸堂が展開しています。
芭蕉がここで「閑さや 巖にしみ入る 蝉の声」の句を詠んだことでも知られています。

薬師如来坐像は、根本中堂の御本尊で、平安時代後期の制作とされています。
この像は、古来秘仏として容易に拝観することができず、それを垣間見た研究家たちが室町頃の像と推定していました。
昭和36年(1961)に、根本中堂の解体修理のため山下の宝蔵に仮安置された際に、久野健氏等によって調査が行われました。
立石寺景観
像高130p、カツラの一木彫、彩色を施さない素木の像で、男性的な堂々たる体躯の仏像です。
膝部裏側に、元久2年(1205)の修理墨書銘が残されています。
定朝様成立以前の古様な表現ですが、12世紀前半ごろに制作された、古様を踏襲した在地仏師の力作ではないかと考えられています。

なお、この薬師如来像の両脇侍、日光・月光両菩薩像と眷属十二神将像は、元禄11年(1698)、幕府の命により江戸の東叡山寛永寺に移されています。
現在も、上野の寛永寺に安置されています。

この薬師如来像の写真は、昭和36年調査当時の、モノクロ写真しか残されていないようです。
今回のご開帳で、その実際のお姿を拝することができることになり、5月が楽しみです。
この機会を逃すことなく、山寺立石寺を訪ねられることをお勧めします。

                
立石寺 薬師如来坐像                                                         寛永寺 日光月光菩薩像


●    福知山市・長安寺 薬師如来像が4月御開帳(4/18〜5/8)(2013年2月23日)

長安寺・ご開帳パンフレット
京都府福知山市奥野部の長安寺の秘仏・薬師如来像が、4月18日(木)〜5月8日(水)に御開帳されます。
33年に一度のご開帳です。
詳しくは、長安寺のHPをご覧ください。

長安寺は飛鳥時代の開基と伝えられますが、お寺のHPによれば、薬師如来像の来歴について、このように記されています。

「平安初期になると、薬師如来を本尊とする真言宗鎮護道場として金剛山善行寺が創建され、その後、長安寺と改名された。
25カ寺の坊を有し、三重塔などを備え、広く諸国に知られ栄えた寺であったが、火災でことごとく焼失。変遷をたどり天文13年(1544)、福知山初代城主、杉原家次公(豊太閤の正妻寧子の方の伯父)によって再建された。
度重なる火災にも薬師如来は安泰で、本堂とは別に堂を建立安置した。現在の諸堂は天明4年(1784)に建立されたものである。」

薬師如来立像は福知山市指定文化財で、像高41.5p、蓮肉までカヤ材と思われる一木彫で内刳りはなく、現在全身に蘇芳色が塗られています。
平安前期の制作と思われ、写真で見ると、なかなか魅力的で迫力ある仏像です。
長安寺
福知山市の文化財HPに、このように解説されています。

「像はあくまで太造りで、躰部の奥行きは像の幅とほぼ同じ大きさで、これに鎬(しのぎ)立たせて力強い衣文(えもん)を刻んでいる。
大腿部中央のX字状のひだや脛前の曲線文は9世紀一木造(いちぼくづくり)像の形を踏襲している。
大粒の螺髪(らほつ)を刻む頭髪は額に目深く迫り、眼鼻立ちも雄偉で胸のくびれも強く彫り込み、堂々たる肉付きをあらわす。
その森厳な風貌と量感豊かな体躯は地方作ながら、大阪.勝尾寺の薬師三尊像(重文)に1脈通じるもので、制作は9世紀末ないし10世紀初頭と思われる。」

この像は、現在、薬師堂厨子の中に祀られていますが、長らく、その前立としいて安置されている、市指定文化財の薬師如来坐像(像高102p、平安時代後期)の胎内仏として納められていたとのことです。

この長安寺には、何年か前に同好の方と丹波を訪れた時、「もし拝観できれば」と寄ってみたことがありますが、その時応対頂いたご住職の奥様も、「厳重な秘仏にしているので、私も未だ拝したことがない」というお話で、拝観が叶わなかった思い出があります。

               
長安寺 秘仏・薬師如来立像                                              前立ち・薬師如来坐像


●    尾道市・千光寺 本尊千手観音菩薩像が3月御開帳(3/1〜12/9)(2013年1月26日)

広島県尾道市の千光寺の本尊・千手観音菩薩像が3月1日(金)〜12月8日(日)に、御開帳されます。
33年に一度の御開帳です。
千光寺・ご開帳パンフレット
詳しくは、千光寺HPをご覧ください。

千光寺のHPによれば、由緒・ご本尊については、次のように記されています。

「大宝山権現院千光寺は、大同元年(806年)、弘法大師の開基で、中興は多田満仲公と伝えられています。
本尊千手観世音菩薩は聖徳太子の御作と伝えられ、三十三年に一度開帳の秘仏。昔から「火伏せの観音」と称せられ、火難除けに霊験あらたかで、今は諸願成就の観音様としてお詣りが絶えません」

千光寺の仏像で文化財指定を受けているのは、阿弥陀如来坐像(鎌倉時代)と地蔵菩薩坐像(室町時代)の2体で、共に尾道市の指定文化財となっています。
33年ぶりに御開帳される本尊・千手観音菩薩像は無指定です。

御本尊について記した資料等が見当たらず、尾道市教育委員会にお聞きしたところ、現在尾道市の仏像の悉皆調査の結果をまとめている処とのことで、
その調査によれば、「室町時代の制作とみられる」とのことです。



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