時代の特徴 日本の彫刻の歴史は、原始時代の土偶や埴輪を始めとして、仏像、神像、仮面、肖像、欄間彫刻、根付、牙彫、人形、及び、明治時代以降の銅像など多くのジャンルにわたっている。しかしながら、飛鳥時代から鎌倉室町時代まではそのほとんどが仏教彫刻で占められており、日本の彫刻の歴史は、仏教彫刻の歴史といっても過言ではない。
仏教は、飛鳥時代に日本に伝来し、仏教美術の華を咲かせるが、時代と共に変貌し、日本独自の文化として発達を遂げた。
また、世界中の多くの国で戦乱、外国からの侵略等により、遺品が散逸しているのに対し、日本では、造られた当初からあるがままの姿で人から人に伝えられてきた、いわゆる伝世品が多いのは、特筆すべき事柄である。
日本彫刻の流れを、仏教美術を中心として、飛鳥時代、白鳳時代、天平時代、平安時代初期、藤原時代、鎌倉時代、室町時代、桃山・江戸時代、明治以降に分けて概説する。