● 東大寺三月堂執金剛神立像

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 本像は、天平彫刻を代表する塑像の傑作である。東大寺法華堂(三月堂)の本尊不空羂索観音立像の背後にある厨子の中に北に向かって安置されている。

 同じく天平彫刻を代表する戒壇院の塑像四天王像と像容や大きさが近いため比較されるが、四天王像が抑揚を押さえた調和のとれた姿勢を示すのに対し、本像はやや誇張ぎみの姿勢と表情を持ち、全身に怒りをストレートに表わしている。

 『日本霊異記』によれば、東大寺の前身であった金鐘寺で金鷲行者がこの像を念持仏として安置し、ふくらはぎに縄を結んで引き、日夜修法を行っていたが、像から発する光が都に届いたことから金鷲行者は天皇に召されて得度し、像は法華堂に安置されるようになったという。このほか数々の伝説を持ち、古くから秘仏になっていたためか、塑像であるにも拘わらず保存状態が良く、鮮やかな唐草文様や雲繝彩色が驚くほど鮮明に残されている。

 現在も秘仏として普段は厨子の中に安置されており、12月16日のみ開扉される。

 


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