仏 像ホームページの 歩き方

   仏像のホームページで面白そうなものがあるが、たどり着くのが大変、初心者はどこから見始めればいいのかわからない、といったご意見があります。
  確かに、初めて来た人にとっては、当サイト自体も項目が多すぎて、どこに何があるのか開いてみないと判らないというのが実情かもしれません。

  現在、インターネット上のサイトは、約1億サイトあるそうですが、まさに玉石混交、自分の知りたいサイトを探し当てるのは、サハラ砂漠に落としたゴマを探 し出すよう な・・・、といったところです。また、そのゴマくらいしか実際には食べられるものがないというのも事実です。

  自分の調べたいサイト を探すために検索サイトなるものが数多く存在します。しかし、試しに、Yahoo!という検索サイトで「仏像」を検索してみると、245万サイトヒットし ます。
 サハラ砂漠が鳥取砂丘にはなりましたが、ゴマを探すのは絶望的という意味では事態はほとんど変わりません。

  「245万サイトもどないして探せっちゅうんじゃい!」

 このような声にお答えして、「仏像ホームページの 歩き方」コーナーを設けることにしました。
 想定質問を挙げ、該当しそうなサイトを中心に解説を行いました。
  あなたの見つけたいゴマが、白ゴマか黒ゴマか、はたまたゴマ塩なのかはわかりませんが、「ゴマらしきもの」を探すことは出来る・・・かな?。

  サイトとして「神奈川仏教文化研究所」があちこちに出て来て、我田引水ではと思われるでしょうが、決してそんなことは、あります。

  また、他にお勧めのサイトがあれば、是非お知らせ下さい。

 なるべく平易に書くつもりですが、用語が分からない 場合、あるいは一般的な基本用語の説明を知りたい方は、読者参加型の世界最大のフリー百科事典『ウィ キペディア(Wikipedia)』をご覧下さい。


想定質問

1.仏 像の基本を知りたい
2.とりあえず有名な仏像を見たい
3.私を仏像に連れてって
4.旅行先で時間があるので仏像を見たい、休みを利用してどこかに行きたい
5.仏像の展覧会どこかでやってない?
6.仏像に関するニュースを知りたい
7.これだけは見ておくべきという仏像は
8.あの仏像は拝観できる?
9.人があんまり見てない仏像を見てみたい
10.出掛けるのは億劫、パソコンで仏像を堪能したい
11.仏像の研究論文を知りたい
12.古文書をネットで読みたい
13.特殊な文字はどうやって表示するの
14.その他、仏像に関する雑学その他の知識を得たい
15.仏像について楽しく語り合いたい
16.石仏ってどんなものがあるの
17.仏像の古書を入手したい
18.仏像を拝観するのはどうやってお願いすればいいの
19.拝観料が志納の場合、いくらでいいの
20.仏像鑑賞の七つ道具
    ● 美術観賞用 双眼鏡又は単眼鏡
    ● 携帯用 懐中電灯
    ● カメラ
    ● 外部フラッシュ
    ● カメラ用一脚
    ● 封筒
    ● 歴史手帳
21.仏像の修理ってどこでやってるの

これらの想定質問に対する 回答を順次掲載していきますが、これ以外に、質問がありましたら、ご連絡下さい。

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1. 仏像の基本を知りたい

 仏像というのは、あの意味では学際の学問で、本屋さんや、図 書館に行っても、仏像の本は、歴史コーナーと美術コーナーの両方に置いておりますね。
  大学でも、大学によって文学部の中でも史 学科に所属する場合と哲学科に所属する場合があります。

 これは、仏像が本来仏教の礼拝の対象であると同時に、 歴史的、美術的観点から見ても優れた像が多いためで、仏像の見方としても大きく分けて二通りのアプローチの仕方があります。

  ひとつは、沢山ある仏像の違いを宗教的観点から学ぶことです。
 仏像には種類が沢山ありますが、どうやって見分けるのか、その違いは どこから来るのか、といったことを知るには宗教的背景を知らねばなりません。
 また、もっと身近な例として、自分の生まれ年から拝む 仏像を調べたり、どの仏像がどのようなご利益があるか調べたりするのも同じです。
 最近は、仏像ブームで、「仏像の見方」といった本 が沢山出ていますが、その多くが上記のような解説となっています。
 学問的にいえば、哲学−宗教学−仏教−仏像学にジャンル分けされ ます。

こ のよう な観点で、詳しい解説が見られるのは、次のようなサイトです。
古寺散策らくがき庵
  仏教の歴史、宗派の歴史、仏像の種類、見方が詳しく掲載されている。
仏像世界
  基本的な種類と分類、仏像一覧 かなりの分量で基本事項が整理されている
仏像鑑 賞のご案内
 市販の仏像本から、尊像別の見分け方を中心にわかりやすく纏められている。
仏教の勉強室
  仏像の種類の解説、お経の解説等
やさしい仏 教入門
 仏像の種類の解説、仏教用語の解説等
バー ステイツ コラム
  ステイツというバーのサイトだが、コラム「Virtual STATES symposion」の中で「曼陀羅のほとけたち」という歯ごたえのある解説が掲載されている(毎週いろんなジャンルのコラムがランダムに掲載されるた め、探すのが大変だが、検索で「曼陀羅の仏たち」と入力する)。


  次に、仏像を一種の美術品として、仏教美術の観点から学ぶこ とです。
 仏像は、本来美術品として作られたものではありませんが、その当時の最高の仏師たちが、最高の素材を使って作り上げたもの です。
 飛鳥時代、奈良時代には、当時の中国の最先端の技術が取り入れられ、平安時代には、朝廷や貴族がその財力のすべてを投じて耽 美の世界を作り上げるため競って造仏、造寺を行ない、また、鎌倉時代には運慶、快慶といった稀代の天才仏師が現れるなど、芸術品としても十分に見ごたえの あるものが多いといえます。
 日本美術という面でも、少なくとも飛鳥時代から、鎌倉時代までは、仏教美術一色になっており、日本の美 術の歴史は、仏教美術の歴史といっても過言ではありません。
 これらは、時の権力者の意向や中国など他国との関係が大きく反映します ので、時代ごとにその様式を学ぶ必要があります。
 学問的にいえば、史学−日本史−美術史−仏教美術史−仏像史にジャ ンル分けされま す。

 美術史の観点で詳しい解説が見られるのは、次のようなサイトです。

法隆寺ボランティアガイド
  奈良の名刹寺院の紹介・仏教文化財の解説など、奈良のお寺の歴史や仏像の時代別、素材別、尊蔵別解説がある。
日 本美術史ノート
 時代別彫刻、絵画の解説が詳しい。
小 原二郎先生の知識
  仏像の用材について古くから調査を行ってきた小原二郎氏の資料が満載。各地の仏像の用材の種類が、樹種別、県別に検索できる。
神 奈川仏教文 化研究所 仏像の基本 仏像 の種類 仏像の時代



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2.とりあえず有名な仏像 を見たい
  奈良や京都、滋賀、鎌倉などでは観光寺院が多く、観光ガイドを参考に回るのも良いですが、普段は非公開のところもあり下調べが必要です。
  最近は、京都や、奈良の観光課やJRなどで春・秋の特別公開やキャンペーンなどを行っていますので、それを利用して回るのが手っ取り早いです。
 50 歳以上の方は、JRが行っている「50 +(フィフティープラス)」で、特別公開などに合わせた京都、奈良、滋賀などの格安のツアーが計画されています(入 会料無料)。

 奈良や京都、鎌倉、滋賀などのお寺の情報が見られるのは次のサイトです。

 また、京都 や奈良、滋賀、鎌倉といっ た観光地では、タクシー会社が貸切でガイドしてくれるところも多ようです。湖北などでは、行きたいお寺を伝えれば、回る順序やお寺への連絡を全てお任せで お願いで、意外と便利です。


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3.私を仏像に連れてって
  観光寺院などは前項のサイトや旅行会社 で多種多様な、ツアーを企画しています。
 しかし、地方の場合は、拝観料を決めて窓口で拝観料を払ってなどというような、いわゆる観 光寺院はほとんど無く、事前に連絡してお伺いするというところが多いので、一般的なツアーも少なく、ぶらりと行っても拝観出来るとは限りません。御住職が 日中は別の勤めをされていたり、法事などで居られないことも多いのです。また、一人で訪ねる人を敬遠するお寺も間々あります。
 この ような場合は、仏像見学会などを企画している団体、サークル等を利用するのが一番です。

 代表的なサイトとして は、次のようなものがありますが、会によって会員のレベルや、興味の対象等が異なりますし、会員の募集を制限しているところもありますので、入会に際して はある程度自分の目的や対象を明確にして、相談されるのがよいと思います。
 また、代表者や世話人がボランティアで活動しているとこ ろも多く、旅行会社のツアー旅行のような気分で参加するとトラブルを引き起こすことにもなりかねないので注意しましょう。

美 術研究センター(東京) 見学会 
和 光大学の出身者などが中心となって組織した PLO 法人。講演会や見学会を積極的に行っている。
近畿文化会(奈良)
昭和6年に設立された古文化研究団体「大和國 史 會」を母体に、近鉄の文化事業を包含して昭和24年にが発足した。会報『近畿文化』は第600号を数える。毎月数回の日帰り探訪会を実施している。
史 迹美術同攷会(京都)
  日本石造美術研究のパイオニアである川勝政 太郎氏が 1930年に設立した研究会で、会報『史迹と美術』は、石造美術にかぎらず歴史・考古・美術史・建築史・庭園史など幅広い諸分野の論文を掲載した、知る人 ぞ知る研究論文集となっている。毎月一回の文化財の例会(見学会)と年一回の一泊例会が行われている。例会は近畿中心だが、東京例会も定期的に行われてい る。
日 本石仏協会(関東)
1977 年設立された会で、機関紙「日本の石仏」の発行(季刊)、毎月一回の公開講座、石仏見学会を行っている。「日本の石仏」には、頼富本宏、佐藤昭夫、杉山二 郎などの専門家も寄稿している。  
古美術探訪会(東京)(活動停止中?)
地元の主婦などを中心に、勉強会や旅行を 行っている。
神 奈川仏教文化研究所(東京寧楽会) 旅行案内 
毎年2〜3回、会員を中心に全国の仏像めぐり の旅 行を行っている。

 最近は、市町村の生涯学習課や各地の博物 館などで文化事業の一環として講演会、現地ツアーな どを企画しているところも増えているようですので、問い合わせてみるのもよいと思います。

 その他、カルチャー センターなどでも、仏像に関する講座、現地ツアーなどを行っています。


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4.旅行先で時間があるの で仏像を見 たい、休みを利用してどこ かに行きたい
 旅行先、出張先で時間があるので、近くに拝観できる仏像 はないかと調べるには、仏 像案内本や地域別に紹介されたサイトがあれば良いですね。
 ハンディータイプの仏像案内本としては、各県別に主要な仏像を紹介した 『仏像巡礼辞典』(山川出版)、B5判ながら、地域別に発行されている、仏像を旅するシリーズ(至文堂)などが便利です。
 各地の地 方仏についての案内については、丸山尚一氏の一連の著作(生きている仏像たち、地方仏の旅など)を参考にするのが便利です。

  休みに纏めて仏像を見たいという場合は、ある程度纏まって仏像がある場所がいいですね。
 この場合は、旅行記などが参考になります。
  サイトとしては、
仏 太の仏像の話 古寺巡礼記 旧巡礼記
国宝の力
 国宝の建物、仏像が中心だが、 丹 念に訪ねた記録が詳しい。
神 奈川仏教文化研究所 古仏礼賛 各地の道中記
 各地 の仏像を訪ねた記録を紹介する。

  もっと徹底的に調べたいという方は、各県、市町村の指定文化財を参考にするのが間違いありません。写真付の解説を公開しているところも多くなってきまし た。
 しかし、各県、市町村のそれぞれのサイトに行っても指定文化財のコーナーを探すのは簡単ではありません(○○データベースなど 別のサイトで紹介しているケースもあります)。
 各地の指定文化財を一元的にリンクしているサイトを調べるのが手っ取り早いです。
旧 古佛へのまなざし 邂逅
神 奈川仏教文化研究所 文化財リンク集 公共研究機関 各県市町村の文化財データへのリンク集


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5.仏像の展覧会どこかで やってな い?
  展示会を紹介したサイトは沢山ありますが、全国の博物館を対象としたサイトは、
博物館の特別展情報
 歴史、考古、仏像を中心として全国の美術 館、 博物館の特別展情報を掲載
アートカレンダー
 神戸大学美術史研究室の関西を中心とした展示会情報
横浜美術館 美術情報デー タベース
  横浜の展覧会 情報のほか、全国の美術館・画廊について検索できる
全 国ミュージアムデータベース
 全国の美術館博物館のサイト案内

  仏像に関する展示会の案内サイトは、
 お勧めは「観仏三昧」。ここを調べて見たい展示会をマークし ておけば、一年先までの予定があっという間に埋ま ります。
 ただ、出展される仏像の詳細が無いため、各博物館・美術館のサイトに飛んで詳細を調べるか、展示会の名前で想像するしかあ りません(それもまた楽しい)。

 少し情報は遅れますが、神奈川仏教文化研究所の「展示会」コーナーでは、 主な出展品まで掲載されています。


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6.仏像に関するニュース を知りたい
  やはり、京都、奈良の地方紙に文化財や、仏像に関するニュースが多いです。
 地方紙を丹念に探すと意外な記事に出会うこともあります が、いちいち探すのは中々面倒です。
 有料ですが、自分でキーワードを登録しておくと、各地の地方紙の中から関連記事を配信してくれ るサービスがあります。
 これらの サービスは、キーワードが明確な場合は良いので すが、「仏像やお寺のできごと」をを知りたいという場合、「仏像」や「お寺」をキーワードにしても、ニュースのタイトルに出てくる言葉は「本尊」、「阿弥 陀如来」、「観音像」あるいは「○○寺」、「○○院」などであるケースが多く、ほとんどヒットしません。かといって「仏」、「像」、「寺」などというよう な一般的な言葉にすると大量のニュースが配信されて来てしまいます(料金は記事一件当たりにかかります)。
 逆に特殊なキーワードに したり、キーワードを組み合わせて検索すると、本当に必要な記事を落としてしまうかも知れません。

 最近、検索 サイトなどで同様の機能を無料で提供するところも出てきています。
 検索サイトのGoogleニュースでは、自分でカスタマイズし て、新聞社を含む600以上のニュースサイトから、自分の興味あるテーマのニュースを効率的に検索することが出来ます。
 セクション に「仏像|文化財|仏教美術」、「如来|観音|菩薩」などとキーワードを「|」でつないで入れておくと、次回からは、そのセクションをクリックするだけ で、何れかのキーワードに該当するニュースがリストアップされます(or検索)。
 これを「仏像 文化財 仏教美術」のようにスペー スで繋いでしまうと、全てのキーワードが入った記事しか探しません(and検索)。
 また、「仏像|文化財 盗難」などとして (andとorを組み合わせ)登録することも出来ます。

 上記のようにキーワードをうまく組み合わせて検索し、 そこから目当ての記事を見つけるのが一番いい方法です。


  新聞各社を調べる場合は、全国の新聞社360件を県別、50音別に検索できる「新 聞社リンク集」が便利です。
京都、奈良の地方紙のサイトとしては、

 自分でいちいち調べるの面倒だか ら、誰か調べて教えて、と いう人には、お寺、文化財、仏像に関するニュースを集めた下記のサイトが便利です。


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7.これだけは見ておくべ きという仏 像は
  これは個人の興味によって異なりますのでなんともいえません。
 文化庁が指定した国宝の仏像が、平成18年時点で126点(133 体)ありますが、国が推奨しているのですから「見ておくべき」といえるかも知れません。

 重要文化財となると、 数千体もありますので、一生かかっても見尽くすのは難しいですね。

 国宝指定仏像の一覧は、文化庁や下記のサイ トでご覧になれます。
 指定 文化財等データベース 文化庁
 国宝の力 国宝彫刻リスト

  但し、国宝の中には秘仏で拝観できない像や、開帳が決まっている像もあります。
 国宝の仏像のうち、普段は公開していないか、数年毎 の秘仏となっている像は次のとおりです(正確には個々に当たる必要があります)。

滋賀県  園城寺(三井寺) 智証大師坐像(御骨大師)
滋賀県  園城寺(三井寺) 新羅明神坐像
奈 良県 吉野水分神社 玉依姫命坐像
和歌山県 熊野速玉大社 熊野速玉大神坐像、夫須美大神坐像、家津美御子大神坐像、国常立命坐 像
京都府 六波羅蜜寺 十一面観音立像
京都府 教王護国寺(東寺) 僧形八幡神坐像、女神坐像  、不動明王坐像(御影堂安置)
和 歌山県 慈尊院 弥勒仏坐像

 毎年、又は季節を限って公開される像は、下記です
滋 賀県   園城寺(三井寺) 智証大師坐像(中尊大師)
京都府 教王護国寺(東寺) 兜跋毘沙門天立像
京 都府 清涼寺 毎月 ◎釈迦如来立像、像内納入品一切
京都府 清涼寺 阿弥陀如来及両脇侍
大阪府 観心 寺 如意輪観音坐像
大阪府 葛井寺 毎月 ◎千手観音坐像
大阪府 道明寺 毎月 ◎十一面観音立像
奈 良県 興福寺 弥勒如来坐像
奈良県 興福寺 無著菩薩、世親菩薩立像
奈良県 興福寺 四天王立像
奈 良県 興福寺 不空羂索観音坐像
奈良県 興福寺 法相六祖坐像
奈良県 興福寺 四天王立像
奈 良県 唐招提寺 鑑真和上坐像
奈良県 東大寺 僧形八幡神坐像
奈良県 東大寺 良弁僧正坐像
奈 良県 東大寺 俊乗上人坐像(重源上人)
奈良県 法華寺 十一面観音立像
奈良県 法隆寺 観音菩薩立像(救世観 音)
奈良県 法隆寺 聖徳太子、山背王、殖栗王、卒末呂王、恵慈法師坐像
奈良県 法隆寺 釈迦如来及両 脇侍坐像


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8.あの仏像は拝観でき る?
  秘仏の御開帳情報は、沢山ありますが、一口で秘仏といっても、色々なケースがあります。
 誰も拝観したことがない絶対秘仏、数十年間 開いていない秘仏、毎年又は毎月、春秋の一定期間のみ開く秘仏、事前に連絡すれば拝観できる秘仏、学術調査や、専門家にしか開かない秘仏、丁寧にお願いす れば開いてもらえる秘仏、面倒だから開けない秘仏、このところの盗難事件で開けないことにした秘仏、先代住職までは秘仏等々。
 ここ までくると秘仏といえるかどうか微妙ですが、実際問題、大寺の御開帳ともなれば祭事の費用もかかりますし、ご住職が高齢だと体力的にも難しいといったこと もあるようです。

 秘仏御開帳情報は下記のサイトにありますが、上記のようなものも含まれていますので、どうし ても拝観したい場合は、個々に当たるのがよいと思います。
秘仏の扉  頻繁に更新されて おり、読者からの最新情報も反映されています。
旧 古佛へのまなざし 付表 秘仏一覧表
仏 太の仏像の話 秘仏開扉情報
神 奈川仏教文 化研究所 アラカルト 秘仏一 覧

 秘仏の歴史などについて解説があるのは、下記のサイトです。
善光寺鏡善坊  本尊御開帳 秘仏
神 奈川仏教文化研究所 アラカルト 秘仏 秘仏の歴史についても記載されて います。


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9.人があんまり見てない 仏像を見て みたい
  ある程度仏像を見て回ると、自分の興味の範疇で普通の人が見ていないような仏像を拝観したくなりますが、こうなってくると仏像中毒も末期症状です。 
  この場合やはり、奈良京都などの中央を離れた地方の仏像が対象となってきます。
 地方仏を訪ね歩いて多くの著作を出されている丸山尚 一氏の一連の著作が参考になります。

 余り人に知られていない仏像を紹介しているサイトとしては、
inoue's website神と仏の世界
 世界中の仏像、仏教遺 跡の写真を撮られている プロの写真家の作品です。日本の仏像は、特に地方仏が多く掲載されています。
神 奈川仏教文 化研究所 ぶらり文化 財散歩「謎を秘めた仏たち」、古仏礼賛「貞観の息吹き」

  全国の地方仏に関する出版物を網羅的に紹介した情報として、神奈川仏教文化研究所の「埃まみれの本棚から」があり、地方仏に興味のある方は是非ご覧下さ い。
 これをご覧になって中毒が悪化しても責任は取れません。自己責任でどうぞ。


10.出掛けるのは億劫、 パソコンで 仏像を堪能したい。
 今 までに挙げたサイトには、仏像の写真も多く掲載されていますが、豊富な写真が見られるサイトとしては、
国 立博物館(東京、京都、奈良)の所蔵品を紹 介するサイトで、検索すると、拡大写真を見ることが出来る。
文 化遺産オンライン (試験公開版)
文化庁などが中心となって、全国の博物館・美 術館・ 関係団体等が所有する 美術品などを横断的に検索できるシステムで、平成16年4月から一般公開された。

 写真中心の仏像サイトとしては
東 京藝術大学美術館
東 京国立博物館 館蔵品 ギャラリー
奈 良国立博物館 名品紹介、所蔵写真検索システム
京 都国立博物館 収蔵品、館蔵品データベース
九 州国立博物館 収蔵品ギャラリー
鳳 凰堂の阿弥陀如来坐像等の超極細写真を公開 している。専用ソフト(無料) をインストールする と、阿弥陀如来像の眼だけをパソコンの画面一杯に拡大しても鑑賞に堪えうる画像が見られる。
inoue's website神と仏の世界
旅 紀行ジャパン
傑 作仏像写真館 ちょっとイケてるサイト。私にはついて行けない
コー ビス
 その昔、インターネットのはしりのころに、マイクロソフトのビルゲイツが、これからは美術品を美 術館・博物館でなくインターネットで見る時代になるとして、主要美術品、美術写真等のインターネットの独占的掲載権を獲得する計画を立てたことがあったそ うで、日本では仏像写真で著名な坂本万七研究所にコンタクトしたという話がありました。
 結局完成形には至らなかったようですが、その 先見性に感心すると同時に恐ろしさを感じた記憶があります。
 その計画が完全に実施されていたら、多くのサイトは掲載権料で閉鎖に追い 込まれていたでしょう。
 その一部が公開されており、多くの美術品の写真とともにいくつかの日本の仏像も掲載されていま す



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11.仏像の研究論文を知 りたい
  国立の文化財研究機関(現在は独立法人)としては、文化財研究所(東京文化財研究所、奈良文化財研究所)があり、調査報告書、古代寺院資料の情報を見るこ とが出来ます。

 国立博物館としては、東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館があ り、それぞれが発行する、博物館ニュース、報告書等の情報を見ることが出来ます。

東京文化 財研究所  出版&デジタルアーカイヴ
奈 良文化 財研究所 調査と研究 刊行物
東 京国立博物館 博物館ニュース
奈 良国立博物館 情報検 索サービス 『鹿園雜集』奈良国立博物館研究紀要
京 都国立博物館 刊行 案内 学叢ホームページ編
九 州国立博物館 季 刊情報誌Asiage
(財) 元興寺文化財研究所

  その他、多くの博物館、美術館等のミュージアムショップなどでも展示会の図録や研究紀要の情報を提供しているところがあります。

  公立機関のサイトについては、紹介しているのは下記のサイトです。
神奈川仏教文化研究所の文化財リンク集 公立研究機関が充実しています。
旧古仏へのまなざし 邂逅

  その他、美術史等に関するリンク集としては下記のようなものがあります。
美 学美術史 に関するリンク集です。仏教美術史を含めた美術史研究全般に関する情報は、まずここで探しましょう。

  東京国立博物館の東洋日本美術一覧も便利です。
東京文化財研 究所 定期刊行物所載文献目録 東洋古美術 '94 '95 '96 ] 出版&デジタルアーカイブ
春秋堂文庫
 大正時代から昭和初期にかけて発刊された著 名な仏教美術論文集の目次が 掲載されています。
また、美術全集、論文集、彫刻調査報告書、各地方自治体発行の文化財図録、展覧会図録、彫刻銘記集等の目次を収録 した「地域別彫刻所載文献目録」も貴重です。
 調べたい対象が明確である場合は、どの雑誌や論文集に掲載されているか、たちどこ ろにわかります。


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12.古文書をネットで読 みたい
 古文書類は、今までは印刷物として出版されている本などを調べるしか ありませんでしたが、最近は、大学や研究機関などで、古文書、文献等を画像として保存したり、打ち込んでテキストファイルなどで公開しているサイトも増え てきています。
 印刷物に比べると、検索などが容易で、非常に便利です。
 ほとんどのサイトが、研究用やボラン ティアで入力されているので、その努力に感謝して使用し、本文を引用する場合の規定などがあれば、必ずそれに従いましょう。

  古文書、文献等を画像として保存公開しているサイトとしては下記があります。

東 京大学 東洋文化研究所 アジア古籍電子図書館
三才図会データベース(画像)検索可能
平安京都名所図会データベース
国際日本文化研究センターが所蔵する江戸時代から明治期にかけての平安・ 京都を描いた下記の「名所図会」の高精細画像データベース。
都名所図会、拾遺都名所図会、都林泉名勝図会、花洛名勝図会、花洛細見 図、都名所画譜、京都名所順覧記、京都名所撮影
東 洋文庫所蔵 図像史料マルチメディアデータベース
(ディジタル・シルクロード・プロジェクト)東洋学研究の基礎的文献史料 として価値の高い、海外のシルクロード関連の貴重書53冊を対象としたディジタルアーカイブ。
史記、前漢書 などの画像データもある。
蓮 實重康博士旧蔵美術史資料
奈良国立博物館学芸課長、京都大学文学部美術史教授であった、蓮實重康氏 (1904〜1979)が永年の美術史研究で収集した画像資料など、総点数約1500点を公開する。


 古文書類のテキストを公開しているサイトとしては、次のようなサイトがあります。


    古事記、日本書紀、古語拾遺、舊事本紀、漢書、後漢書、三国志、晋書、宋書、梁書、隋書

養 老令、日本後紀、藤氏家伝上、上宮聖徳法王帝説、公卿補任等
(日本古代史ホームページは現在閉鎖されていますので、上記リンクは、サー バー上のキャッシュの場所です。
いずれ消えてしまいます。)

   大鏡、今昔物語
『日 本古典文学大系』全作品(100巻560作品)
日本後紀、日本霊異記、出雲国風土記、豊後国風土記、肥前国風土記、常陸国風土記、播 磨国風土記、風土記逸文、宇治拾遺物語、大鏡、二十一代集等
東大寺文書、石清水八幡宮文 書、九暦、小右 記、平安遺 文、御堂関白記(検索のみ)
平 家物語、大鏡増鏡、十七条憲法、神皇正統記、古事記、日本書紀、続日本紀、和漢朗詠集
万葉集、古今和歌集 、東関紀行
日本霊異記、十訓抄、大鏡(一部作成中)
吾妻鏡、奥州後三年記、続左丞抄、陸奥話 記[一名陸奥物語]
大 和名所記:和州旧跡幽考
古事記、日本書紀、万葉集(訓読)、大伴家持 全集、養 老令、日本後紀、藤氏家伝上、上宮聖徳法王帝説、公卿補任、土佐日記、源氏物語、大鏡、梁塵秘抄、今昔物語集、中納言物語、宇治拾遺物語、方丈記、平家物 語、東関紀行、海道記、太平記、
古事記、万葉 集、古今和歌集、二十一代集、土佐日記、源氏物語、東関紀行、十六夜日記、今昔物語集、宇治拾遺物語、方丈記、正法眼蔵、正法眼蔵随聞記
古代史料本文データ
律 令、延喜式、古事記、続日本紀、万葉集、風土記、東大寺要録、六国史


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13.特殊な文字はどう やって表示する の
 仏教用語、仏像用語などは特殊文字が多く、インターネッ トでは表示できない文字が間々あります。また、OSによっては、文字化けする特殊文字もあります。
 インターネット上で表示できない漢字
例: 阿シュク如来の「シュク」、足ホゾの「ホ ゾ」、菩提薩タの「タ」、セン仏の「セン」など。

 OSによっては、文字化けする特殊文字
l 城寺(奈良市西紀寺町)の 「レン」
Windowsを使用している方は読めますが、Macの場合は、文字化け します。

 こ の不具合を解消するために、特殊文字をサーバー上に画像として保存しておき、個々に呼び出して表示するなど、外字の自動表示システムを試みているサイトが あります。
 外字の自動表示システムとしては、下記のサイトが取組んでいます。

 GT 漢字 東京大学多国語処理研究会
 e漢字 島根県立大学メディ アセンター

  また、下記のサイトでは、外字を独自の方法で表示する工夫を提唱している。
     外字セットを提供 (日本古代史ホームページは現在閉鎖されていますので、上記リンクは、サー バー上のキャッシュの場所です。
いずれ消えてしまいます。)      漢字を部品に分解した形でテキストファイルとして添付

 ちなみに、当サイトでは、上記のように特殊漢字を画像 として表示しています。
 


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14.その他、仏像に関す る雑学その 他の知識を得たい
  密教に関する情報は、次のサイトが総合的に纏めておられます。

空海と 弘法大師、真言宗と密教、密教の芸術−絵画・彫刻・建築、仏教音楽−声明、そして高野山への旅のヒント

  石仏、金銅仏光背などや、金石文、畫像石などの拓本のデータベースが、下記のサイトで公開されています。

早稲田大学會津博士紀念東洋美術陳列室に寄贈された加藤諄氏収集の 1000点に及ぶ拓本集
上代から近現代の及び、金銅仏の銘文や光背などの拓本がデータベース化されている。
Plug -inをインストールすると、拡大等が可能となるが、現在Plug-inが入手困難となっている。
漢から元代までの文字拓本および中国各地の畫像石拓本のデータベース。
Plug -inをインストールすることにより拡大等が可能となる。

 近年の測定機器や測定技 術、コンピュータの発達により、仏像などを三次元的に測定し、コンピューターグラフィック(CG)として表示することが容易に出来るようになってきまし た。

 仏像関係のCGは下記のサイトで見ることが出来ます
鎌倉大仏、新薬師寺十二神将像(伐折羅)、酒船石遺跡などをCGで再現し ている。

 その他、下記も参考にして下さい。
神奈川仏教文化研究所 アラカルト 仏像 を科学する
仏像の雑学、材質・造像法 等の科学的側面からの解説等がある。



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15.仏像について楽しく 語り合いた い
  多くのサイトが掲示板を開いています。今までに挙げたサイトなどに掲示板のコーナーがありますので覗いてみて下さい。掲示板を開いて今までの書き込みや会 話を見ていると、管理人、参加者の興味、雰囲気がわかりますので、自分にあったところに参加するのが良いでしょう。
 また、掲示板に よっては、初めての方に対し抵抗や警戒意識があるところがありますので、余り自分の意見を押しつけたり、出しゃばらず、「最初は処女のごとく、終わり は・・・」の気持ちで書き込みましょう。

 仏像についての議論書き込みの多い掲示板はとして、強いて挙げるとする と、
夢 紫五色 掲示板 
古 くから仏像についての掲 示板を開いており、管理人のほのぼのとした人柄に惹かれて、活発に仏像についての語らいが行われています。
仏 太の仏像の話 掲示板 
皆さんの仏像探訪の報告 や、感想などが書き込まれ、参考になります
運 慶をめぐる冒険
運慶についての蘊蓄が語られています。
神奈川仏教文化研究所 訪れ帖 
仏像についてのご質問や感想など に管理人などが親切に(?)応対してくれます。



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16.石仏ってどんなもの があるの
 日本では木造の仏像が圧倒的に多いのですが、石仏も奈良、京都周辺を 中心に、大分県臼杵石仏、栃木県大谷石仏など、奈良、平安時代の遺品も多く見られます。
 石仏は、屋外で写真なども撮りやすいことも あってか、写真を掲載した多くのサイトがありますが、道祖神や近世のものも混在して扱っているところも多いようです。この中でも歴史的な価値も含めて全国 の石仏を取り上げたサイトとして下記のようなサイトがあります。

日 本石仏協会 1977年設立で、機関紙「日本の石仏」 を発行している。
石仏の世界   石仏関連のサイトの中でもヒューマンな雰囲気を持つサイト。
石の仏 豊富な写真 と解説で、 地域別に整理されたサイト。 
石 仏フォトギャラリー 「石の仏」のサブサイトです。
石仏の世界   石仏関連のサイトの中でもヒューマンな雰囲気を持つサイト。
磨崖仏を訪ねて  日本全国の磨崖仏の紹介、所在地リストなどが詳しい。
石仏ライブラリ
     神奈川県を中心とした石仏、論文の紹介や日本石仏協会の機関誌「日本の石仏」の総目次を掲載している。



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17.仏像の古書
 新 刊本については、各出版社や書店のサイトがあります。有名どころでは、

  しかしながら、参考文献等で調べて書籍を入手したいと思っても、仏像関係の本は発行部数も少なく、入手不可能なケースが多いので、この場合は古書店を当た らねばなりません。
 仏像に興味のある人の多くは、古書店で関連本を見つけるのも結構楽しみだったりしますが、望みの本を手に入れる には根気と時間が必要です。

 仏像についての書籍を知りたい場合は、各出版物や論文の参考文献を調べるのが良い のですが、まさに打ってつけのサイトがあります。神奈川仏教文化研究所の古仏礼賛コーナーの「埃まみれの書棚から〜古寺・古佛の本」に尽きます。
 古寺・古佛に関する膨大な蔵書を元に、興味あるテーマに従ってこぼれ話を含めて古寺・古佛関連本の紹介をしています。特に地方仏シリーズは、地元の出版社によるものが多いため、貴重な情報源となっています。

 こ こで調べた本をすぐに入手するには、古書店のサイトで調べるのが一番ですが、この種のサイトは沢山あって、どこで調べたらいいか判らない、一々サイトに 入って調べるのが面倒という方に、書名等を入力すると、全国の古書サイトを一網打尽に調べてくれるという、超便利な古書検索サイトがあります。

 詳細条件を元 に調べたいときは、大手の古書検索サイトが便利です。



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18.仏像を見るのはどう やってお願 いすればいいの
  仏像を自分で拝観し始める人の第一の関門はここですね。
 観光寺院の場合は別ですが、昔はお寺の連絡先や管理者を調べるのが一苦労で、県や市町村の教育委員 会に手紙を書き、主旨を伝えて連絡先を教えてもらい、改めてお寺に拝観のお願いの手紙を出すといったことをしていました。
 しかし、 昨今は、インター ネットタウンページ等で、県市名とお寺の名前を入れると、たちどころに電話番号と地図が出てくる とい う便利な世の中になりました。
 しかし、どなたも経験あるように、突然見知らぬ人から電話があれば警戒するのが普通で、ましてや訪ね たいと言われれば、ひょっとして盗みの下見ではと疑われても文句は言えません。
 身元を明確にするという意味も含め、やはり手紙を出 してお願いするのが本来と思います。
 時間がない場合はやむを得ず電話等でお願いすることになりますが、身分と拝観の主旨を明確に述 べることが必要です。この場合、質問を受けるのは、「どういう身分か」、「どうしてこのお寺(仏像)を知ったか」、「何人で来るのか」などですが、個人で 一人の場合は渋るところも多いですので、情熱を持ってお願いすることが肝心です。

 よく、「仏像を見たい」とい うとだめで、「仏様を拝観したい」といえばよいなどといわれますが、お寺や信者にとっては仏像はあくまで「拝む」対象であり、「見(観)る」対象ではない ので、言葉の問題ではなく気持ちの問題だと思います。
 個人の家に他人が入り込んで、本来礼拝の対象である仏様をジロジロ眺めるわけ ですから、逆の立場にたって、謙虚に丁寧にお願いすることを心がけましょう。

 あるお寺で、お寺の由緒の説明が あった後、「それでは仏像を見たい人は手を挙げて」と言われ、手を挙げると、「見たいなどとはとんでもない!今手を上げた人はすぐに帰ってください」とい うお坊さんがおられるという話を聞きますが、それもちょっと違うのではないかと思います。



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19.拝観料が志納の場 合、いくらでい いの
  手紙や電話でお願いするようなところは、拝観料に決めが無く、お伺いしてもお志で結構ですといわれるところがほとんどです。
 まさに 志納ですので、これはご自身で判断されるほか無いのですが、数人の場合は、一般的な観光寺院の拝観料の人数分を目安に切のいい数字に、というのが目安にな るでしょうか。また、一人で伺った場合も、先方の手間は多人数の場合と同じですし、檀家総代など多くの方が揃って迎えて頂いたり、時間を割いて丁寧に説明 頂いたりした場合はそれなりに、ということになります。
 志納の場合は封筒や紙に包んで仏様にお供えするか、お寺の方にお渡しするの が礼儀です。



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20.仏像鑑賞の七つ道具 は
仏像鑑賞のための七つ道具を挙げるとすると、
● 美術観賞用 双眼鏡又は単 眼鏡
 博物館や美術館では近くで見ることの出来る仏像も、安置の状況によっては肉眼で見ることが難しい場合もあります。
 この場合には、双眼鏡や単眼鏡があればより詳しく拝観することが出来ます。
 肉眼で確認できる場合でも、これらを使用することにより、文様や截金など細かい部分を鮮やかに観察することも出来ます。
 いわゆるオペラブラス(倍率3〜4)でも十分ですが、10倍位の倍率のものがあればより効果的です。これ以上の倍率では、三脚でも使わない限りぶれてし ま い、却って使いにくいようです。
 また、単眼鏡の方が携帯性に優れています。

 お勧め:Kenko単眼鏡(7×18)、Kenko単眼鏡(6〜15×21)
1000〜2000円位です。

● 携 帯用 懐中電灯
 これは、お寺ではもちろん、博物館などでも重宝します。
 博物館によっては、陰影を意識しすぎた照明を行っているところもあり、陰の部分が見づらくなっていることも多いようです。特に背面などが全く照明が無く 真っ暗というケースもあります。
 また、細かい文様や、截金など、ライトを当てて初めて浮き上がってくるという場合もあります。
 ライトとしては、単三電池4本を使うタイプのライトが小型でかつ明るくて良いのですが、焦点が一カ所に集まりすぎると全体が見えにくくなるので、出来れば焦点を調 節 出来るものが良いようです。安いものでは100円ショップで売っています。
 最近は、LEDライトというコンパクトで長寿命のライトが出てきていますが、光の色が白っぽくて暖かみに欠けます。

 電池は、最近は、コンビニがどこにでもあるようになりましたので、さほど困らないようになってきましたが、拝観中にライトが切れると、流石に困ります。 予 備の電池を準備しておきましょう。
 電池は、なるべく新品を使う方が明るいのですが、仏像を見に行くたびに新品に取り替えると電池代も馬鹿になりません。取替え頻度の多い方は、最近は、 ニッケル-水素(Ni-MH)タイプの大容量の充電電池が出ていますので、これを使って毎回充電しておくと経済的です。
 但し、充 電電池は電圧が通常のアルカリ電池に比べて低いので、ライトの場合はやや暗くなります(電球をそれ用に換えるという手もありますが・・・)。
 充電電池はLEDライトやフラッシュ、カメラにも使用できる場合がありますので、マニュアルを見てみましょう。

 ライトを点灯する場合は許可をもらって、他の人に迷惑にならない範囲で使用しましょう。
 最近、博物館などでは、ライトを禁止しているところが多いようです。

 お勧め:100円ショップのもので十分です(下手なLEDよりはよっぽと明るい)。
LEDライトは明るいものはまだまだ高価です が、どうしてもLEDという場合は、GENTOS SUPERFIRE JUPINA SJ-D3A(1.5W)が、コスト、明るさ、携帯性等を考えてお勧めです。
これはLEDには珍しく、普通のライトに近い昼光色で、一定の範囲を平均的な明るさで照らすことが出来ます(白色光もある)。2000〜3000円位で す。
お金に余裕のある方は、3W、8W、10W、12W・・・といった明るいものも出てきています。

●  カメラ
 カメラは、デジカメ(デジタルカメラ)がいいですね。撮影してすぐに確認できますし、インターネットに取り込んだり、整理するのも楽です。第一にいくら撮っても現像にお金 が かからないというのが嬉しいですね(但しプリントする場合はフィルムタイプよりも高いです)。
 特にお堂の中での撮影は暗いので、ブレることが多く、その場で仕上がりを確認でき、消したり取り直したりが容易に出来ます。
 もちろんフラッシュを焚けばブレも少なくなりますが、フラッシュが禁止されている場合がありますし、第一に陰影が無くなり写真が平面的になってしまいます。
 ブレを防ぐには、三脚を使うのが理想的ですが、ちょっと大袈裟になってしまいますね。一脚を使うだけでもかなり効果があります。
 また、最近のデジカメはブレ防止機能のついたものがあり、ある程度の効果が期待できます。
  さらに、カメラのISO感度を上げることもブレ防止には効果があります。かつての銀塩カメラの場合はフィルムでISO感度が決まってしまいました(フィル ムの外箱に書いてある100とか400とかいう数字ですね)が、最近のデジカメはカメラ側でISO感度をAUTO/100/200/400/800などと 切り替えられる 様になっています。感度を上げると少ない明かりでも写りますのでその分シャッタースピードを速くでき、ブレ防止には効果があります。
 ただし、デジカメによっては感度を上げると画質が落ちる(特に暗めの所に細かい色むら出てしまう)ことがありますので、自分のカメラで実際に撮影してみて、限界を確認しておきましょう。

 しかし、いくら良い物を使っても、撮る姿勢が不安定では全く意味がありません。
 両 足を開いて踏ん張り、カメラを両手で構え、両肘を体に押し付けて、シャッターを押すときは、押す力でカメラが動かないよう注意して(意外とこのときのブレ が大きいのです)、息を止めた状態で撮影しましょう(ある意味命がけですね)。
 余りに暗いとシャッタースピードが遅くなりますの で、シャッターが完全に切れるまで動かさないことが肝心です。撮っていてシャッタースピードが遅くなったのがわかる(1/5、0.2秒位−カシャからカッシャと聞こえる程度)になった らフラッシュを焚か ざるを得ませんね。

 この他、フラッシュを使ったバウンス撮影や、前ピン後ピン、フラッシュのTTLモードの使い方など細かいテクニックは色々あるのですが、いろいろなサイ ト で紹介されていますので参考にしてください。
 寺によっては、写真撮影禁止のところも多くなってきています。当然のことですが、「撮影禁止」の張り紙がない場合でも、許可をもらってから撮影しましょ う。

 お勧め:沢山ありすぎて紹介し切れません。
最 低必要な機能を挙げるとすると、
画素数 300〜500万画素
 パソコンで見たり、A4程度にしかプリントしないのであればこれで十分、これ以上は、メモリーの無駄使い。
光学ズーム 3〜10倍
 最近のコンパクトデジカメはほとんどが3倍ですが、顔や手のドアップを撮影するのでなければそれで十分。
手ぶれ補正ブレ防止機能(ブレ軽減モードではありません)
レンズの絞り(F値)2.8以下
  F値の小さい(明るい)レンズはシャッタースピードも早くなるのでブレも小さくなります。最近はやりのデジタル一眼レフを買うような高級志向の方は、標準 セットのレンズ(F値が3.5位が多い)ではなく、どうせならもう一踏ん張りして、F値の小さいレンズを買うことをお勧めします(カメラより高かったりし ますが・・・)。
フラッシュ内臓
 内蔵していないカメラを探すほうが難しい?
焦点距離広角側 28mm(35mmフィルム換算)程度
 お堂や仏像の全体を撮影するのには、この程度の広角が欲しいところです。

 プロの写真家は、仏像一体を撮影するのに膨大な機材と時間をかけます。まる一日かかって一体などということもざらです。
 幾ら高価なカメラを買いテクニックを駆使しても、プロと同じものは撮れませんし、写真は時にはうそをつきますので、カメラに頼らず、自分の目でじっくりと観察することを優先し、写真はあくまで拝観の記録と割り切ることも重要です(って自分に向かって言っているの?)。
● 外 部フラッシュ
 フラッシュを使う場合、カメラ内臓のフラッシュや、カメラシューに取り付けた外部フラッシュを使うと、特に仏像の写真の場合、目鼻立ちや衣文の凹凸が消 え てしまい、写真が平面的になります。
 三 脚等を使って自然光で撮るのが一番ですが、そんな余裕のない場合は、外部フラッシュを斜め前に置いて、スレーブ発光(フラッシュの閃光を感知して、外部フ ラッシュを発光させる)させると、立体感を出すことも出来ます。スレーブ発光出来るフラッシュとしては、一眼レフ用の高級フラッシュや、ヒカリ小町、リ モートライトなどがあります。しかし、何人かで撮影する場合は、みんなのフラッシュを感知して電池を消耗し、肝心の自分の撮影の時に光らないなんてことに もなりかねません。
 仲間がいれば、同調用の長いコードを用意して、斜め前に構えてもらうというのも手ですね。

 カメラ雑誌などで、壁や天井などに向けてフラッシュを焚く、バウンス撮影などのテクニックが紹介されていますが、お堂の場合、天井が高く、煤けている場 合 が多いので、余り効果が無いことが多いようです。
 プロですと、レフ板といった光を反射させる大きな板を使って光を横からも反射させるなどということを行いますが、仲間がいれば、横に大きな白い紙を置いてバウンスさせるだけでも写真の印象は随分変わります。

 また、最近は、プレ発光させて、背景の明るさに応じて発光量を自動的に抑える機構を持ったフラッシュが多くなっていますが、仏像の場合、背後が金箔の光 背 だったり白壁であることが多いので、自動に設定すると逆効果になることもありますので、注意が必要です。
 露出などは自動で合わせて くれますが、フッラシュの場合は距離や背景等により上手く適正露出にならないこともあります。最近のデジカメでは、露出を三段階程度変えて自動的に何枚か 撮影する機能がついたものもありますので、不要なものをすぐ消せるというデジカメの利点を生かして、沢山撮ることも有用です。

●  カメラ用一脚
 暗いところでの撮影や、高いところの撮影の際威力を発揮します。
 もちろん三脚を使うのに超したことはありませんが、堂内の撮影では、邪魔になりますし、機動性に欠けます。
 仏像の場合、縦位置での構図が多くなりますので、一脚の先端に90度倒せるような雲台やカメラがワンタッチで脱着できるクイックシューが付いているものが便利で す が、雲台やシューを別途購入することも出来ます。

 仏像が高い位置に安置されている場合は、下からあおるようなアングルになってしまい、仏像の顔の印象が随分変わってしまいます。
 この場合、一脚にカメラを固定して上に上げた状態で撮影すると、坐像の膝の部分の衣文なども明確に見えるようになります。構図は液晶画面で確認し、専用 の レリーズでシャッターを押すか、セルフタイマーを利用して撮影します。
 但し、カメラや一脚を仏像や装飾品に当てることのないよう十分に注意してください。

 お 勧め:これも凝り出すとキリが無く、一脚や雲台だけで、カメラの値段を超えるようなものもあります。
カメラの安売り屋さんで売っているような一脚(2000〜3000円位)に一番安い90度回転雲台とクイックシュー(2000〜3000円位)の組み合わせで十分です(雲台とクイックシュー付の一脚があれば ベスト)。
Kenko MONOPOD ST-55(自由雲台付き 1500円位)など。

● 封筒
 拝観料の規定が無いところでは、志を封筒に入れてお渡しするか、仏様に供えるのが礼儀です。
 白い封筒を用意しておくのがよいですが、ない場合は紙に包んでお渡しします。
 志納を断られるところも間々ありますが、仏様にお供しますといって仏前にお供えするのが良いと思います。

●  歴史手帳
 拝観に行って仏像の胎内銘を見るなどということはほとんどないでしょうが、内部の写真や、古文書などで「年記」があった場合、時代や西暦を調べるため に、 年号表があると便利です。石仏や石碑などでは、造立された年号が表面に彫ってあることが多いので特に役立ちます。
年号表、年表付の手帳などがありますので、手帳代わりに持っていると意外と便利です。
歴史手帳 吉 川弘文館
古美術骨董ハンドブック(旧古美術手帳) 里文出版
歴史散歩便利帳 山 川出版社

 最近は、電子手帳等(PDA)、電子辞書、モバイルパソコン等も発達していますので、それにデータを取り込んでおくと、検索等が容易に出来ます。古文書 や石仏の年号の下の一字だけ読めるのだが、該当する年号は何があるか、などという場合は、紙の年表ではお手上げです。
 私は、PalmというPDAに、中国、韓国、日本の年号表、全国の仏像の一覧表(約10000体)、仏師、人名辞書、展示会の予定表等を入れて持ち歩い ていま す。



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21.仏像の修理ってどこ でやってる の
 日本では、国宝、重要文化財の修理はそのほとんどが、財 団法人美術院・国宝修理所が行っています。現在、京都に事務所があり、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館の中で修理作業を行っています。
 それ以外の仏像については、大学や民間でも行われています。
 技術者は、芸術大学の保存修理学の卒業生や、国宝修理所で技術を学ぶ技術者が多いようですが、民間の場合は、国宝修理所の経験者が独立するケースもあり ます。
 民間の修理所としては、楽浪文化財修理所や吉備文化財修復所、東北古典彫刻修復研究所、明古堂などかあります。
楽 浪文化財修理所
  美術院に所属していた技術者が、独立して設 立した民間の修理所。国指定以外の多くの文化財の修理を国指定文化財と同様の技術を用いた修理を行うことを目 的に設立された。

 その他の仏像修復関係のサイトとしては、
仏像文化財修復工房

仏像の修復について
数ある仏像修復関係のサイトの代 表的存在。深 い考察による仏像論も展開されている。
仏 像net
仏 像修復に携わられているtukiou toshiさんのサイト。仏像修復という専門的なお仕事について、分かりやすく解説されている。仏像をめぐるユーモラスな「小話」、修復家を目指す方への アドバイス・情報などもある。

 これ以外にも多くの民間の修理所がありますが、防犯上、所在を公表していない所も多いようです。



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