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展示会案内   2016年


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●横浜市歴博で新指定文化財展開催〜松陰寺・小金銅仏阿弥陀如来像が出展(12/10〜1/9)(2016年12月17日‎)



横浜市都筑区の横浜市立歴史博物館で、「平成28年度横浜市指定・登録文化財展」が開催されています。
開催期間は、2016年12月10日(土) 〜2017年1月9日 (月)です。
詳しくは、
横浜市立博物館HP展覧会ページをご覧ください。

本展覧会の大注目は、「横浜市鶴見区・松陰寺の小金銅仏、阿弥陀如来坐像」が、出展されていることです。

この古代小金銅仏、松陰寺・阿弥陀如来像(像高25.1p)については、それなりに知られた金銅仏ですので、愛好者の方なら、ご存じの方も多いのではないかと思います。
昭和22年(1947)以来、東京国立博物館に寄託されており、たまに企画展などに出展されることがあります。

私がビックリしたのは、この小金銅仏が、これまで「全くの無指定」で、今年度、初めて「横浜市の指定文化財」に指定されたということでした。
私は、昔から重要文化財に指定されているものと思い込んでいましたので、本当に驚きでした。

この情報を知って、まずは行って見なければと、早速、横浜市歴博を訪ねました。

たまたま、会場にいらっしゃった学芸員の方の話では、この阿弥陀像には、「(旧)国宝と記されたラベル」が貼られていて、

「昭和22年に東博に寄託されるときに、旧国宝に指定されることになっていた筈が、戦後の混乱で、指定されずじまいになってしまったのではないかと思われる。」

という、興味深いお話を聞きました。

そして、平成28年度に至り、やっとのことで、横浜市指定文化財に指定されることになったということです。

新指定文化財のキャプションには、

「像の作風、彫像技法等からみて、飛鳥時代後期、8世紀初め頃に作られたと推測され・・・」

と、解説されていました。

私の記憶では、本像は、「奈良時代後期・末期ぐらいの制作」ではないかと思っていましたので、自宅に戻って確認すると、各書には、このように解説されていました。

 


ご覧の通り、これまでは奈良後期〜平安初期の制作という考え方が定説になっていたようです。
今回の新指定解説は、飛鳥後期・白鳳期としていますので、従来の考え方に、一石を投じるものといってよいのかもしれません。

    
松陰寺・阿弥陀如来坐像(東京国立博物館寄託)

私が実見した、素人考えからすると、全体の造形感覚、ねっとりとややクセのある衣文などから、奈良時代の中期を遡ることは無いのではなかろうかと、感じました。

これまで、驚きの無指定だったという、松陰寺・阿弥陀如来像、これから指定ランクがどんどんとランクアップしていくのではないかと思います。
制作年代の話も面白そうで、ご関心おありの方は、是非、お訪ね下さい。




●大分市歴史資料館で「ほとけの王国〜大分の仏像展」開催(10/21〜11/27)(2016年10月9日‎)



大分市の大分市歴史資料館で、特別展「ほとけの王国〜大分の仏像」が開催されます。

開催期間は、2016年10月21日(金)〜11月27日(日)です。

詳しくは、大分市HP・
特別展開催告知ページをご覧ください。


本展覧会は、郷土大分に伝わる多様な仏様の姿を振り返るもので、大分市を中心に県内の古仏等、約30躯が展示されます。
また、市内元町石仏、高瀬石仏などの写真パネル展示もされるようです。


出展仏像の中で、重要文化財指定となっているものは、柞原八幡宮・銅造如来立像(飛鳥)、大山寺・普賢菩薩坐像(平安前期)、大楽寺・四天王像(平安・鎌倉)です。
大山寺像、大楽寺像は、当地でも優作で、なかなか魅力あふれる仏像だと思います。


          
大山寺・普賢延命菩薩坐像(平安・重文)                         大楽寺・四天王像(平安・重文)          .


●滋賀県立近代美術館で「琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館展」開催(10/8〜11/23)(2016年9月30日‎)



滋賀県大津市瀬田の滋賀県立近代美術館で、企画展「つながる美・引き継ぐ心ー琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館」が開催されます。
開催期間は、2016年10月8日(土) 〜 2016年11月23日(水・祝)です。

大津市、琵琶湖畔の琵琶湖文化館は、仏像愛好者にとっては、大津を中心とした滋賀の古仏の優作が多数展示される必見の博物館でした。
残念なことに、現在は、建物の老朽化、入場者の減少等を理由に、平成20年度(2008)より休館中となっています。

琵琶湖文化館の収蔵品は、滋賀県立近代美術館を再整備して、平成32年(2020)3月に生まれ変わる予定の新たな美術館に引き継がれ、再び公開される方針となっています。
本展は、展覧会名にある通り、新美術館開館に先立ち、休館中の琵琶湖文化館の収蔵品、寄託品を中心に、当地の寺社の仏像、宝物等も加えて展観される企画展です。
詳しくは、
滋賀県立近代美術館HP展覧会ページをご覧ください。

全部で、63件の仏像、絵画、工芸品等が出展されますが、そのうち仏像の出展は20件程度となっています。
詳しくは、展覧会出品目録をご覧ください。

見処の仏像は、

大津〜若王寺・如来立像(平安・重文)、近江八幡〜東南寺・地蔵菩薩立像(平安・重文)、大津〜正法寺・帝釈天立像(平安・重文)、大津〜天満神社・天王立像(平安・重文)、近江八幡〜伊崎寺・不動明王坐像(平安・重文)

あたりではないでしょうか。
なお、伊崎寺・不動明王像は2006年に、天満神社・天王像は2013年に、新たに重要文化財指定を受けた注目の仏像です。

久しぶりに琵琶湖文化館の優作仏像などを観る良き機会かと思います。


          
若王寺・如来立像(平安・重文)        正法寺・帝釈天立像(平安・重文)       東南寺・地蔵菩薩立像(平安・重文)

         
天満神社・天王立像(平安・重文)                 伊崎寺・不動明王坐像(平安・重文)    .



●福井市立郷土歴史博物館で「福井の仏像展」開催(10/14〜11/23)(2016年9月11日‎)



福井市の福井市立郷土歴史博物館で、特別展「福井の仏像〜白山を仰ぐ人々と仏たち〜」が開催されます。

開催期間は2016年10月14日(金)〜11月23日(水・祝)です。
詳しくは、
福井市立郷土歴史博物館HP展覧会ページをご覧ください。

展覧会HPによると、
「泰澄大師が白山を開山したとされる養老元年(717)から平成29年で1300年になるのにあわせ、白山遥拝の地や文殊山・日野山など在地の信仰の山々に祀られる仏像を一堂に展示し、この地における人々の信仰の歴史を紹介していきます。」
とのことです。

福井県の仏像と云えば、小浜を中心とした「若狭」の仏像がよく知られていますが、「越前」にも多くの古仏が遺されています。
越前の仏像は、若狭・小浜の仏像ほどに世に知られていませんが、見どころのある古仏が多く残されています。
本展は、越前にのこる見どころある平安古仏のほとんどが出展され、一堂に会するという、注目の展覧会です。

展覧会には、34躯の仏像が出展されます。
出展仏像は、出品目録をご覧ください。

今回出展されない、大谷寺・三所権現本地仏像と二上観音堂・十一面観音像(厳重秘仏)を併せれば、越前の観るべき古仏はすべて網羅しているといってもよいのではないかと思います。

なかでも、越前市・大滝神宮堂・虚空蔵菩薩坐像(県指定・平安前期)、鯖江市・加多志波神社・聖観音立像(県指定・平安中期)、越前町・八坂神社・十一面女神像(県指定・平安末期)は、越前の仏像では必見、注目の古像ではないかと思います。

      
大滝神宮堂・虚空蔵菩薩像(県指定・平安前期)   加多志波神社・聖観音像(県指定・平安中期)     八坂神社・十一面女神像(県指定・平安末期)

これだけの越前の仏像を、一度に観ることが出来る機会は、まずめったにないことで、必見の展覧会かと思います。
私も、出かけてみるつもりです。




●岡山県立博物館で「カミとほとけの姿〜岡山の信仰文化とその背景〜展」開催(9/9〜10/16)(2016年8月14日‎)



岡山県立博物館で「「カミとほとけの姿〜岡山の信仰文化とその背景〜展」が開催されます。
開催期間は、9月9日(金)〜10月16日(日)です。

この展覧会は、岡山に伝わる神像と仏像をはじめとした宗教美術品を展示し、そこから垣間見える信仰文化を紹介する展覧会です。
詳しくは、
岡山県立博物館HP展覧会ページ及び、展覧会開催プレスリリース資料をご覧ください。

展覧会には、64件・147点(うち重要文化財6件)が出展されますが、主な展示品は、次のとおりです。





出展作品全件の目録は、まだ公開されていないようです。
主な展示仏像の解説は、プレスリリース資料・展示品解説をご覧ください。

今回出展仏像の、私の注目は、明王寺・観音菩薩立像と勇山寺・不動明王二童子像です。

明王寺・観音菩薩立像(岡山市竹原)は、10世紀前半は下らないといわれる平安前期の優作です。
カヤ材の一木彫で、蓮肉まで一木で彫り出されています。
明王寺を訪れ拝したことがありますが、なかなかの魅力的な像で、しっかりと記憶に残っています。
お顔と上半身は比較的穏やかさがあるのですが、下半身の衣の表現は、ダイナミックで躍動感あふれるものがあり、平安前期彫刻の魅力を発散させています。
また、胸には朱漆で盛上げられた乳首が表現されており、菩薩像では大変珍しい表現です。

              
明王寺・観音菩薩立像(重要文化財・平安前期)

勇山寺・不動明王二童子像(岡山県真庭市鹿田)は、不動坐像の像高が183pもある巨像で、平安時代、10世紀の制作とされています。
不動像はヒノキ材で、体幹部を前後矧ぎ、内刳りが施されています。
量感ある堂々とした体躯であるが、穏やかな表現で、全体としてユーモラスで鄙びた印象を与える不動三尊像と云われています。

 
勇山寺・不動明王二童子像(重要文化財・平安時代)




●東京国立博物館で「平安の秘仏〜滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち展」開催(9/13〜1/9)(2016年8月6日‎)


当初、12月11日(日)までの 開催予定でしたが、会期延長が決定し、2016年1月9日(月・祝)迄開催されることになりました。



東京国立博物館で、特別展「平安の秘仏〜滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち展」が開催されます。

開催期間は、2016年9月13日(火) 〜 12月11日(日)です。
詳しくは、
東京国立博物館HP展覧会ページをご覧ください。

滋賀県甲賀市甲賀町にある櫟野寺には、ご本尊・十一面観音坐像をはじめ、平安古仏像20躯が残されており、全躯が重要文化財に指定されていますが、これらすべての仏像が、この展覧会に出展されます。
出展仏像については、出展目録をご参照ください。

櫟野寺では、平成30年(2018)10月に、ご本尊十一面観音の33年に一度の大開帳を迎えることとなり、この大開帳への事業として、本堂・文化財収蔵庫の大改修が行われることになりました。
この機会に、櫟野寺の全て平安古仏像が出展される、特別展が開催されることとなったものです。

ご本尊・十一面観音坐像は、像高が3mもある巨像ですが、堂々たる造形の見事な像です。
10世紀後半の制作とみられますが、この時代の仏像としては、傑出した優作だと思います。
櫟野寺のある甲賀の地が、比叡山延暦寺の杣山の重要拠点で、最澄開基と伝えられる寺院の本尊だけのことはあると、納得の像です。
また、この像は、不思議な造り方がされています。
ヒノキの一木造りなのですが、頭体部の丸太状の原木の周りに、十数枚の薄板を桶状に矧ぎつけ、体部の太さを増すようにしているのです。 必要な巨木がなかったというのではなく、何らかの由緒ある霊木のヒノキ丸太を用い、その霊木を活かしてつくり上げるために、こんな異色の木寄せを行なわざるを得なかったのであろうといわれています。

       
櫟野寺・十一面観音坐像(重文・平安)と、ご本尊が安置される櫟野寺・本堂

ご本尊・十一面観音坐像は、櫟野寺で何度か拝したことがあるのですが、お厨子の中に安置されており、側面背面からは拝することが出来ません。
展覧会では、堂々たる体躯の造形が、ぐるりとじっくり観ることが出来るものと、愉しみです。

なお、丸山士郎氏による記念講演会「滋賀・櫟野寺の仏像をめぐって」が、開催されます。
開催日時は、2016年10月15日(土)  13:30〜15:00 です。
詳しくは、東博記念講演会ページをご覧ください。




●三井記念美術館で「松島瑞巌寺と伊達政宗展」開催(9/10〜11/13)(2016年7月30日‎)


秘仏〜五大堂「五大明王像」が特別出展


東京・中央区日本橋の三井記念美術館で「松島瑞巌寺と伊達政宗展」が開催されます。

開催期間は、2016年9月10日(土)〜11月13日(日)です。
詳しくは、
三井記念美術館HP展覧会ページをご覧ください。

本展覧会は、東日本大震災復興祈念および瑞巌寺国宝「本堂」平成大修理完成、伊達政宗生誕450年を記念して開催されるものです。
瑞巌寺、伊達政宗ゆかりの文化財が多数出展されますが、なんといっても最大の注目は、瑞巌寺・五大堂の秘仏「五大明王像」が、今回出展されることです。

五大堂の「五大明王像」は、厳重な秘仏として守られており、33年に一度の御開帳とされています。
前回の御開帳は2006年でしたので、次回御開帳は2039年ということになるのですが、本展覧会に、はじめて特別出展されることになりました。

五大堂・五大明王像は、伝承では、慈覚大師が、天長5年(828)に、現瑞巌寺(延福寺)を開基したとき、造立安置したと伝えられます。
厳重秘仏として守られ、従来ほとんど知られていませんでしたが、近年調査が行われた結果、平安時代前〜中期の制作像であることが判明しました。
宮城県指定文化財解説HPでは、10世紀末から11世紀初め頃と考えられるとしています。

       
.         瑞巌寺・五大堂                          五大堂・不動明王像(重文・平安)


瑞巌寺・五大堂〜五大明王像(重文・平安)

像高は64.1〜92.1p、欅を用いた一木造りで、その材質とやや粗い表面仕上げ、簡略な色彩などの表現から、この地方で製作されたと思われます。
東北古代彫刻史上の重要な資料であり、完存する五大明王像の古例としても、価値が高いものと云われています。
5躯共に、平成7年(1995)に、重要文化財に指定されています。

必見の瑞巌寺、五大堂・五大明王像と思います。
是非お出かけください。




●奈良国立博物館で「忍性〜救済にささげた生涯〜展」開催(7/23〜9/19)(2016年7月16日‎)



奈良国立博物館で、忍性生誕800年記念特別展「忍性〜救済にささげた生涯〜展」が開催されます。

開催期間は7月23日(土)〜9月19日(月・祝)です。
詳しくは、
奈良国立博物館HP展覧会ページをご覧ください。

ご存じのとおり、忍性は西大寺の叡尊をした、真言律宗の高僧で、貧民やハンセン病患者など社会的弱者の救済に尽力したことで知られています。
来年2017年が忍性の生誕800年にあたることから、忍性ゆかりの寺院に伝わる名宝や文化財を一堂に集め、奈良生まれの名僧の熱い人生とその偉業を偲ぶ特別展が開催されるというものです。

出展目録をみると、仏像関係では、

鎌倉・極楽寺の諸像〜忍性菩薩坐像、釈迦如来立像、釈迦如来坐像、十大弟子像(いずれも鎌倉・重文)
額安寺旧蔵・文化庁所蔵の虚空蔵菩薩像(奈良・重文)、文殊菩薩像(平安・重文)

等、忍性ゆかりの仏像が出展されます。




●京都国立博物館で「丹後の仏教美術展」開催(7/26〜9/11)(2016年6月25日‎)


秘仏〜縁城寺・千手観音立像が特別出展


京都国立博物館で、特集陳列「丹後の仏教美術展」が開催されます。
開催期間は、2016年7月26日 (火)〜 9月11日(日)です。

詳しくは、
京都国立博物館HP展覧会ページをご覧ください。

この特集陳列の最大の目玉は、京丹後市峰山町の縁城寺の秘仏・千手観音立像(重要文化財)が、出展されることです。

博物館展覧会ページにもこのように記されています。
「京丹後市縁城寺の本尊千手観音立像(平安時代・10世紀)を特別公開します。
秘仏なのでお寺でも通常拝観できません。
今回、初の出開帳がかないました。この機会にぜひご観覧ください。」

縁城寺・千手観音像は、大変興味深い平安時代の一木彫像なのですが、33年に一度の御開帳の厳重秘仏で、拝することが出来ません。
平成28〜9年には、「縁城寺創建1300年の節目に当たることからご開帳となる」という情報を入手していましたので、ご開帳日が決まれば、辺鄙なところですが、無理をしてでも丹後峰山まで出かけなければと思っていました。
ところが、京都国立博物館での出開帳となり、「丹後の仏教美術展」が開催されるということとなったのです。
このチャンスを、見逃すことはできません。

縁城寺・千手観音像は、像高151.5p、素木の一木彫像で、頭上に十一面を表さない四十二臂形式の千手観音です。
平安初期一木彫像の特徴を受け継いだ古様な像ですが、浅く刻まれた衣文や穏やかな面相などから、一般的には10〜11世紀頃の制作とみられています。
一方、古密教彫像研究で知られる井上正氏は、この像を、代用檀像による化現仏とみて、奈良時代、8世紀の制作に遡る可能性を指摘しています。(井上正著「続古佛 古密教彫像巡礼」2012年刊)
如何なる古像なのか、この機会に、是非とも眼近にじっくり観てみたいと思っています。

     
.             縁城寺・千手観音立像(平安時代・重文)                金剛心院・如来立像(平安前期・重文)

また本展には、丹後屈指の古像として知られる、金剛心院・如来形立像も出展されます。
9世紀の制作とみられる一木彫像で、像高95.5p、戦後発見され、重要文化財に指定されています。
Y字状衣文の塊量性あふれる造形は、堂々たる迫力で、惹きつけられる像です。
井上正氏は、この像も8世紀後半の制作と主張しています。

丹後地方、注目の平安古仏2躯をじっくり観ることのできる、絶好の機会かと思います。

仏像の出展予定目録は、次のとおりです。






●岩手・一関市博物館で「松川二十五菩薩像の全貌展」開催(7/2〜8/14)(2016年6月18日‎)



岩手県一関市の一関市博物館で「松川二十五菩薩像の全貌〜平泉文化の余光〜展」が開催されます。

開催期間は、7月2日(土)〜8月14日(日)です。
詳しくは、
一関市博物館HP展覧会ページをご覧ください。

松川二十五菩薩堂の阿弥陀如来像と二十五菩薩像(破損仏)は、平安後期の制作で、県指定文化財に指定されています。

これらの諸像は、通常は、一関市東山町松川にある松川二十五菩薩堂収蔵庫に祀られていますが、この収蔵庫の修理のため一関市博物館で保管され、本年5月まで、その一部が博物館で常設展示されていました。
収蔵庫の修理完成を控え、企画展として「松川二十五菩薩像の全貌〜平泉文化の余光〜展」が開催されるものです。

この二十五菩薩像は、かつて村人が大雨の翌日、川に流されていたのを丁寧に拾い集め、二十五菩薩堂(江戸末期再建)に収めたとも伝えられます。
二十五菩薩は破損、朽損し、全て頭部を失い、断片化したものもありますが、藤原期の優美でしなやかな造形表現は、観る者の心をとらえる素晴らしいものです。
藤原盛期の本格的な造像であることから見て、都から来た一流の仏師によって制作されたことは間違いなく、奥州藤原氏関連の像ではないかともみられています。

       
松川二十五菩薩堂(江戸末期)と二十五菩薩像(平安後期・県指定)


当HP・「辺境の仏たち岩手・松川二十五菩薩堂の藤原仏」でも、ご紹介していますので、ご覧ください。

今回の企画展では、破損断片化した諸像を、可能な限り当初のかたちに、復元した形につなぎ合せて、立体的に展示されるということで、素晴らしさを一層偲ぶことが出来そうです。

平泉・中尊寺の秘仏・一字金輪像のご開帳(6/29〜11/6)の拝観にお出かけの方は、是非少し足を延ばしてみられては如何でしょうか。




●和歌山県立博物館で「粉河寺の千手観音立像」初公開(6/11〜7/10)(2016年6月13日‎)



和歌山県立博物館で、特別陳列「初公開・粉河寺の千手観音立像―粉河の名宝とともに―」と題して、粉河寺・千手観音立像が展示されます。

特別陳列期間は、2016年6月11日(土)〜7月10日(日)です。
詳しくは、
和歌山県立博物館HP展覧会ページをご覧ください。

今回の特別陳列主旨について、博物館HPにはこのように記されています。

「奈良時代、宝亀元年(770)開創の古刹・粉河寺は、西国三十三所霊場第三番札所として、またわが国屈指の絵巻の名宝である粉河寺縁起絵巻が伝わることで著名です。
このたび、粉河寺本堂(重要文化財)の小規模な修理に伴い、これまで公に知られていなかった後戸安置の千手観音立像を遷座し、初めて公開します。
平安時代後期の等身大の作例であり、粉河寺の歴史を考える上で極めて貴重な新資料となるものです。
・・・・・・・・・
粉河地域の名宝とともに、初公開の千手観音立像の優美な姿を、ぜひ間近にご覧下さい。」

なお、粉河寺の本尊・千手観音菩薩像は、絶対の秘仏とされ、これまで公開された記録はありません。
今回、特別陳列されるのは、後戸安置の千手観音立像です。
等身大の千手観音立像で、穏和な表情や、抑揚の控えめな肉身表現など、平安時代後期、12世紀ごろの特徴を示しています。




●東京藝大美術館で「観音の里の祈りとくらし展U」開催(7/5〜8/7)(2016年6月4日‎)



上野の東京藝術大学美術館で「観音の里の祈りとくらし展U〜びわ湖・長浜のホトケたち」が開催されます。

開催期間は、2016年7月5日(火)〜 8月7日(日)です。
詳しくは、東京藝術大学美術館HP・
展覧会ページ及び、観音の里・長浜HP展覧会予告ページをご覧ください。

この展覧会は、2014年3~4月に東京芸大美術館で開催された、「観音の里の祈りとくらし展」の第2弾として開催されるものです。
今回は、41件の湖北の仏像が出展される予定となっています。
前回展では、約20件の仏像出展でしたから、倍増の出展となります。
出展予定の仏像の目録については、展覧会予告ページに出陳リストが掲載されていますので、ご覧ください。


私の注目仏像は、黒田観音寺・伝千手観音立像(重文)、来現寺・聖観音立像(重文)、舎那院・薬師如来坐像(県指定)です。

何といっても、黒田観音寺・伝千手観音立像の出展は、本展覧会の大目玉、大注目です。
この像は千手観音として伝えられていますが、准胝観音の古例と考えられており、9世紀制作の一木彫像です。
私は、この観音像は、「湖北屈指の優作」ではないかと思っています。
男らしさを感じる緊張感あふれる見事な出来の一木彫像で、湖北では、渡岸寺・十一面観音像に次ぐ名像ではないかと、惚れ込んでいます。

実は、これまで、この観音像が、お堂を出たことはありませんでした。
美術館に展示されるのは、今回が初めてのことです。
お堂では厨子の中に祀られており、真正面からしか拝することが出来ません。
この美術館展示で、側面、背面など、360度ビューで、素晴らしい観音像を観ることが出来るのではないかと、期待感で一杯です。

     
黒田観音寺・伝千手観音立像と安置されているお堂の厨子


来現寺・聖観音像は、量感ある堂々とした造形で、ちょっと異国的な大きな目鼻だちが印象的な、平安前期の一木彫像です。
普段は拝することが出来ない仏像で、この前は、2006年に東博で開催された一木彫展「仏像・一木に込められた祈り展」に出展されたことがあります。
久しぶりに観ることが出来ます。

舎那院・薬師如来坐像は、近年の研究により、播磨・書写山円教寺から移されたことが明らかになり、注目されている像です。
10世紀末から11世紀初の制作とみられています。
この薬師像、円教寺伝来の寺伝はありましたが、近年、津田徹英氏の調査により、元享3年(1323)の修理銘が存在することが明らかになり、銘文と関係資料から、そのことが立証されました。
豊臣秀吉が播磨攻めをした際、本陣とした書写山円教寺から持ち帰り、長浜の地に遺されたとみられています。
私は、この薬師如来像は未見で、本展で初めて観ることが出来るのが愉しみです。

     
.   来現寺・聖観音像(平安前期・重文)             舎那院・薬師如来像(10末〜11C初・県指定)

お詫び:来現寺・聖観音像の写真を間違えて掲出しており、差し替えさせていただきました。(野洲市来迎寺・聖観音像と取り違えておりました)申し訳ありませんでした。(2016.06.23)



●東京国立博物館で「ほほえみの御仏〜二つの半跏思惟像展」開催(6/21〜7/10)(2016年5月28日‎)



東京国立博物館で、国宝・中宮寺半跏思惟像と韓国国宝78号・韓国国立中央博物館蔵・半跏思惟像の2躯が同時に展示される「ほほえみの御仏〜二つの半跏思惟像展」が、開催されます。
2016年6月21日(火) 〜 2016年7月10日(日)です。

この展覧会は、日韓国交正常化50周年を記念して、日韓共同開催で実施されるものです。
日本・東博展に先立ち、ソウルの韓国国立中央博物館にて特別展「韓日国宝半跏思惟像の出会い」(2016年5月24日〜6月12日)が、開催されています。

詳しくは、
東京国立博物館HP展覧会ページをご覧ください。


いずれの半跏像も、日韓両国を代表する半跏思惟像の名像として、よくご存じのことと思います。
中宮寺像は、クスノキ材木彫で7世紀の制作、韓国国宝78号像は、金銅仏で6世紀の制作ですが、両像が、並んで展示され観ることが出来るというのは、なかなか得難い機会かと思います。

昨年には、ソウルの国立中央博物館で「古代仏教彫刻大展」が開催され、日本からも法隆寺献納宝物48体仏などが出展されるなど仏像展示の交流がありましたが、これからもこのような展覧会が開催されるのは、大変嬉しいことです。
広隆寺宝冠弥勒像と、これとそっくりな韓国国宝83号・韓国国立中央博物館蔵が並んで展示されるというようなことがあれば、これこそ驚きのビッグニュースになるのでしょうが、この実現はちょっと難しそうですね。




●東京国立博物館で「平成28年新指定国宝・重要文化財展」開催(4/19〜5/8)(2016年3月31日‎)


毎年恒例で、東京国立博物館で開催される「新指定国宝・重要文化財展」ですが、今年・平成28年も、ゴールデンウィーク周辺の期間で開催されます。
開催期間は、2016年4月19日(火) 〜 2016年5月8日(日)です。
詳しくは、
東京国立博物館HP展覧会ページをご覧ください。

今回展示される、新指定国宝・重要文化財の仏像は、ご覧のとおりです。
新指定となった仏像、すべてが展示されます。




浄山寺・地蔵菩薩像
今回の国宝・重要文化財になった仏像については、先に特選情報・平成28年新指定・国宝重要文化財答申〜彫刻は11件(3/12)で、ご紹介していますので、そちらをご覧ください。

また、今年、重要文化財追加指定となった仏像も、併せて展示されます。

東門院・不動明王及二童子像は、不動明王像だけが重文指定となっていましたが、脇侍二童子像も重文指定となりました。

泉穴師神社・木像神像80躯は、これまで8躯が重文指定でしたが、残りの72躯も重文追加指定となったものです。
泉穴師神社・神像は、ほとんどが12〜13世紀(平安時代後期から鎌倉時代)につくられたもので、これだけ大量の神像群が残され重要文化財指定されているのは、他には大将軍八神社(京都市上京区)の神像群しかありません。


今回展示仏像のうち、私の注目は、なんといっても浄山寺(埼玉県越谷市)・地蔵菩薩立像です。

この浄山寺・地蔵像は、重文指定される直前の、今年2月のご開帳に拝してきました。
「9世紀半ばの一木彫で、地蔵菩薩の最古例の一つ」と解説されています。
お寺の厨子に祀られている像を拝したとき、私の直感的印象では「9世紀半ばの制作か?もう少し時代が下った制作か?」よく判らず迷ってしまいました。
この新指定文化財展で、改めて眼近にじっくりとその姿に目を凝らしてみたいと思っています。
観仏日々帖「古仏探訪〜埼玉・浄山寺の地蔵菩薩像〜重要文化財に新指定」に、観仏探訪記を掲載させていただいていますので、ご覧ください。




●静嘉堂美術館で、運慶作?十二神将展示「よみがえる仏の美展」開催(4/23〜6/5)(2016年3月31日‎)


静嘉堂文庫・十二神将像(卯)
東京都世田谷区の静嘉堂美術館で、特別展「よみがえる仏の美〜修理完成披露に寄せて」が開催されます。

開催期間は、2016年4月23日(土)〜6月5日(日)です。
詳しくは、
静嘉堂文庫美術館HP展覧会ページをご覧ください。

本展最大の注目は、「運慶作か?と、話題の仏像・木造十二神将立像のうち4躯」が、展示されることです。




この十二神将像は、京都・浄瑠璃寺に伝わった鎌倉時代の仏像で、明治時代に寺を離れ、現在、静嘉堂文庫に7躯、東京国立博物館に5躯が、分蔵されています。
静嘉堂像7躯は現在修理中ですが、そのうちの4躯の修理が完成し、今回展示されるものです。


今回、美術院国宝修理所による修理を終え展示される十二神将像4躯

この十二神将像は、昭和20年代までに(別々の時期にですが)、全躯が旧国宝・重要文化財に指定されており、鎌倉初期の運慶様式を守った仏師の造った作とみられていました。
この像が、運慶本人の作である可能性があるとして、大きくクローズアップされたのは、なんと今から4年前、2012年のことでした。

法政大学国際日本学研究センター・客員研究員である神野祐太氏が、明治35年(1902)の毎日新聞に、
「いずれかの像の腹内に『大仏師運慶』の墨書銘がある」
ということを報じた記事があるのを発見したのでした。
そんな記事があったことは、今日では、全く忘れ去られていたもので、驚きの新発見ともいってよいものでした。

このことを明らかにした、神野氏の論文は、
「東京国立博物館・静嘉堂文庫美術館分蔵十二神将像の伝来と作者〜京都浄瑠璃寺からの流出と運慶銘発見記事」
(ミューゼアム640号・2012.10)
というものです。

本論文によると、
十二神将像は、明治10年(1877)頃に5躯、明治16〜7年(1883〜4)頃に7躯が、浄瑠璃寺から買い取られる形で流出し、その後いろいろな所蔵者の手を経ながら、最終的に、静嘉堂文庫と東京国立博物館に分蔵され、12躯全躯が現存しているのです。
毎日新聞の記事は、2回目に流出した7躯のいずれかに運慶銘が残されていると、報じています。
「運慶の十二神将」と題する記事で、
佐野常民の命をうけた加納鉄哉が十二神将像7体を見いだして購入し、東京に一戻って塵を払い欠損を補い、あらためて7体を確かめた処、
「其腹内に『上坊別当執筆、大仏師運慶』の銘さへあるとを発見したり」
と記されているというのです。


「運慶の十二神将」と題する、明治35年(1902)11月22日付け毎日新聞の記事
文中に「運慶銘」があることを発見したとの記載がある


この時の7躯は、現在、5躯が静嘉堂、2躯が東博の所蔵となっています。

本当に新聞記事どおりに運慶銘があったのかどうか、真実は謎なのですが、今回静嘉堂文庫美術館で展示される4躯については、美術院での修理の際、墨書銘等は発見されませんでした。
これから修理される3躯の中から、果たして、運慶銘が発見されるのでしょうか?
興味津々といったところです。

東京国立博物館所蔵の5躯も、折々、平常展に出展されており、現在も3躯が、本館1階11室(彫刻)に、展示されています。(4/17まで)

    
東京国立博物館に展示されている、浄瑠璃寺伝来十二神将像3躯


本展覧会の記念講演会が開催されます。

運慶研究の第一人者として著名な、山本勉氏(清泉女子大学教授)の講演で、大変興味深い講演会だと思います。
演題・スケジュール等は、次の通りです。

山本勉氏執筆論考
「東京人」2015年12月号掲載

開催日時:2016年4月30日 午後1時30分より
講師:山本勉氏(清泉女子大学教授)
題目:「十二神将像のひみつ―浄瑠璃寺伝来の一具と運慶」
地下講堂にて 先着120名様(開館時より整理券配布予定)

山本勉氏は、本十二神将像は、運慶本人作の可能性が高いとしています。
これまで本像が、美術書等に、「運慶作の可能性ある作品」として採り上げ掲載されることは無かったのですが、山本氏編集の最新刊「日本美術全集7巻・鎌倉南北朝時代T・運慶快慶と中世寺院」(2013.12・小学館刊)では、「運慶作と考えられる作品」として掲載されています。
本書では、運慶作品&運慶作と考えられる作品として、14件・47体が挙げられていますが、そのうちの1件・12体は本十二神将像です。

また、山本氏は、月刊誌「東京人」2015年12月号に、「浄瑠璃寺伝来の木造十二神将像と運慶」と題する8ページの記事を執筆しています。
浄瑠璃寺伝来の十二神将像ついての、神野氏論文による「運慶銘新聞記事発見」の話、明治の流出から所蔵者を転々とし現在の所蔵となる経緯、本像が運慶作の可能性が高いと考えられる作風から見た事由などが、大変わかりやすく読みやすくまとめられています。

ご一読、是非お勧めします。




●香川県立ミュージアムで聖通寺・千手観音像を特別公開(3/15〜5/8)(2016年3月19日‎)


香川県高松市の香川県立ミュージアムで、聖通寺の千手観音立像(平安時代・重要文化財)が特別公開されます。
特別公開期間は、3月15日(火)〜5月8日(日)です。
詳しくは、
香川県立ミュージアムHP特別公開ページをご覧ください。

今回の展示は、特別展等の中での出展ではなく、聖通寺千手観音立像・1躯だけが特別公開されるようです。
本像は、普段は公開されておらず拝観できませんが、近年では、2011年7月に東京国立博物館で開催された「空海と密教美術展」に出展され注目されましたので、ご記憶の方も多いのではないかと思います。

ミュージアム・特別公開ページには、
「香川県宇多津町聖通寺山の中腹に位置する聖通寺の千手観音立像。
頭から足下までの体幹部分を、ひとかたまりの木から彫り出した 香川県の平安時代彫刻を代表する千手観音立像です。
像の高さが185.4センチメートルにもなる存在感のある雄渾な姿に対して、身にまとう優美な衣の質感がみどころです。
千手観音像の正面からの姿だけではなく、側面、背面の美しい姿をぜひ間近でご覧ください。」
との説明がされています。

聖通寺・千手観音像は、香川の平安彫刻の優品ですが、その制作年代をどう見るかで、注目されている仏像です。
ヒノキの一木彫像ですが、堂々たる体躯の古様さと、面部の穏やかな造形を思わせる新様が混在をしている像です。
肉どりや衣文の彫が浅めで、穏やか上品な顔貌をとらえて、平安後期の制作とされてきたようですが、近年は、10世紀以前の制作に遡らせる見方もされてきます。

「空海と密教美術展」(2011年7月)の図録解説では、9世紀末を中心とした時期の造像と考えられるとしています。
また、安藤佳香氏は、9〜10世紀の和様化プロセス作例との比較考証により、9世紀後半の制作と考え、貞観10年(868)聖宝の開基と伝える聖通寺の、創建当初本尊である可能性に言及しています。(美術史125号・1989年)

興味深い平安古仏の聖通寺・千手観音像を、360度ビューでじっくり観ることのできるなかなかない機会かと思います。

    
聖通寺・千手観音立像(平安時代・重要文化財)〜堂々たる体躯の古様さと穏やか上品な顔貌が混在〜




●奈良国立博物館で「伊豆山神社の歴史と美術展」開催(2/6〜3/14)(2016年1月16日‎)


奈良国立博物館で、特別陳列・銅造伊豆山権現像修理記念「伊豆山神社の歴史と美展」が開催されます。
開催期間は、2016年2月6日(土)〜平成28年3月14日(月)です。
詳しくは、
奈良国立博物館HP展覧会ページをご覧ください。

この展覧会は、伊豆山神社蔵の銅像・伊豆山権現立像の修理完成記念として開催されるものです。

奈良博HP・展覧会ページによりますと、
「この像は、鎌倉時代にさかのぼる伊豆山権現像の優品でありながら、全身に広がる腐蝕がいちじるしく、とりわけ面相部を覆う分厚い錆が像容の正確な把握を困難にしておりました。
このたび、奈良文化財研究所の協力のもと保存修理を実施し、像表面の錆落としを行ったところ、下層から造立当初の威厳ある顔立ちが現れ、またまばゆい輝きを放つ鍍金が多く残存していることが判明するなど、特筆すべき成果を得ることができました。
本展では、面目を一新した伊豆山権現像の姿を修理後初公開し、あわせて伊豆山神社伝来の貴重な宝物の数々を関西で初めて一堂に展観いたします。」
とのことです。

まだ、展示品目録が掲載されていませんが、銅像・伊豆山権現立像の他に、木造・男神立像が出展されるようです。
この男神立像は、長らく伊豆山神社の本殿深く扉を閉ざし、秘かに奉安されてきた神像で、昭和53年(1978)に、初めて人々の前にその姿を現した像です。
像高212p、平安後期の制作で、重要文化財に指定されています。
カツラの一木彫の大型像で、渡来神を思わせる服制で、何とも不思議なお顔をしています。
近年、たまに展覧会に出展されることがありましたが、本展は、じっくり観ることが出来るめったにないチャンスだと思います。

         
銅像・伊豆山権現立像                木造・男神立像                その他の出展品




●アベノハルカス美術館で、「長谷寺の名宝と十一面観音の信仰展」開催(2/6〜3/27)(2016年1月16日‎)

大阪市阿倍野区のアベノハルカス美術館では、「長谷寺の名宝と十一面観音の信仰展」が、開催されます。
開催期間は、2016年 2月6日(土) 〜 3月27日(日)です。
詳しくは、
アベノハルカス美術館HP展覧会ページをご覧ください。

展覧会HPによれば、

「長谷寺は、白鳳時代の創建と伝えられ、奈良時代から観音の聖地として発展します。
本展では、これまでお寺を出て公開されたことのなかった本尊の両脇侍像をはじめ、長い歴史の中で形作られた長谷寺の豊かな美術や、観音の美術、また長谷寺とかかわり深い豊山派寺院の名宝、長谷寺信仰の広がりを示す長谷寺式十一面観音像の作例などを紹介します。」

とのことです。
まだ、出展リストが掲載されていませんので、展示品についての詳しい内容は判りませんが、長谷寺ゆかりの諸仏像が、出展されるのではないかと思います。

              
「長谷寺の名宝と十一面観音の信仰展」ポスターと長谷寺式十一面観音像




●香雪美術館で所蔵仏像が展示される「所蔵品展2016」開催(1/23〜3/3)(2016年1月8日‎)


神戸市東灘区御影の香雪美術館では、特別展「所蔵品展2016」が開催されます。
開催期間は、2016年1月23日(土)〜3月3日(木)です。
詳しくは、
香雪美術館HP展覧会ページをご覧ください。

香雪美術館は、朝日新聞社を創業した村山龍平が蒐集した日本・東洋の古美術品などを収蔵する美術館です。
主要な所蔵品は、絵画、書跡、茶道具などですが、見どころのある仏像もいくつか所蔵されています。
今回の特別展では、普段展示されていない仏像が、ほとんど展示されるとのことです。
展示品目録はまだ掲載されていませんが、美術館に伺ったところ、主要な展示仏像は次の通りです。

木造薬師如来立像(重文・平安前期)、木造阿弥陀如来立像(未指定・鎌倉時代)、石造釈迦三尊坐像(重美・北魏時代)、石造 釈迦三尊立像(重美・北魏時代)、木造観音・勢至菩薩立像(重美・南宋・金代)

私の注目像は、木造薬師如来立像(重文・平安前期)です。
この薬師如来像は、9世紀前半を降らない平安前期彫刻の優品として知られています。
像高129pの漆箔彩色像で、頭頂から蓮肉まで木心を込めた一材から彫り出され、内刳りはありません。
最澄が比叡山根本中堂に安置した「朱衣金体」の薬師像の伝統をひく像ではないかと云われています。
堂々たる重量感ある肉躰に豊満感ある面相で、迫力を感じる像です。
また、眼鼻や耳、衣文などは特異で個性的な造形です。
この像の展示は、2013年秋以来のことではないかと思います。

私は、未見なので、この機会に観にいきたいと思っています。

         
木造薬師如来立像(重文・平安前期)





【過去の展示会情報】

2000年上半期

2000年下半期

2001年上半期

2001年下半期

2002年

2003年

2004年

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

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