展示会案内 2014

全国の美術館、博物館の展示会情報については、下記リンク先を参照ください。

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●奈良国立博物館で仏像写真展「大和の仏たち」開催中(12/2〜3/31)(2014年12月20日‎)

奈良国立博物館では、仏像写真展「大和の仏たち〜奈良博写真技師の眼」」が開催されています。

開催期間は、2014年12月2日(火)〜2015年3月31日(木)で、奈良博の新館となら仏像館をつなぐ、地下回廊が展覧会場になっています。
詳しくは、奈良国立博物館HP・
展覧会開催ページをご覧ください。

HPの開催趣旨には
「文化財の写真撮影は博物館の大事な仕事です。
奈良国立博物館では研究員と写真技師が切磋琢磨し、資料として使いやすく、かつ魅力ある写真を撮影しています。
これまで撮影してきた中から厳選された仏像写真を迫力ある大型プリントで展示します。」
と案内されています。

展示される仏像写真は、奈良博専属カメラマンの専属カメラマン佐々木香輔氏の撮影によるものです。
佐々木氏は、仏像写真で著名な「飛鳥園」から、2009年に奈良博に勤務、研究の基礎資料などとして活用するため、所蔵品や寺社の文化財などを撮影しているとのことです。

仏像写真には、実物を観るのとはまた違った「仏像写真でないと引出せない、仏像の美しさ、魅力」があるように思います。
興味深い企画展だと思います。

嬉しいことに、図録「大和の仏たち-奈良博写真技師の眼-」(800円)が作られています。
これまた愉しみです。


     
.                展観写真と佐々木香輔氏                      図録「大和の仏たち-奈良博写真技師の眼-」


●古代出雲歴史博物館で「修験の聖地出雲国・浮浪山鰐淵寺展」開催中(10/10〜11/24)(2014年11月14日‎)

現在、島根県出雲市大社町の古代出雲歴史博物館で「修験の聖地 出雲国 浮浪山鰐淵寺展」で開催されています。

開催期間は、2014年10月10日(金)〜11月24日(月・祝)です。
詳しくは、古代出雲歴史博物館HP・
展覧会ページをご覧ください。

鰐淵寺は推古時代の開創と伝えられ、平安時代には修験の霊地として広く知られ、室町時代まで栄えた古刹です。
仏像愛好者には、壬辰年銘(持統6年・692)の小金銅仏・観音菩薩立像があることで知られていることと思います。

今回の展覧会では、壬辰年銘・観音菩薩立像をはじめ、鰐淵寺の寺宝、仏像、神像がこぞって展示されているようです。
展示品目録については、古代出雲歴史博物館HP・展示替えリストをご覧ください。

展覧会HPによれば、

「新発見・初公開・数十年ぶりの公開多数 」「貴重な仏像・絵画・工芸品が勢揃い 」ということで、

【新発見】 元三大師坐像、男神坐像、和多坊栄藝所蔵閼伽桶など
【初公開】 伝智春上人坐像、不動明王像など
【数十年ぶりの公開】 女神坐像、天台大師像、和多坊栄藝像、鏡像、鰐淵寺文書など

が、出展されることとなっています。

本展覧会の開催、もっと早くお知らせすればよかったのですが、私も開催されていることに気がつかず、ただいま知ったばかりで、紹介させていただきました。

充実した展覧会図録が刊行されているようです。(展覧会ページ・図録に掲載されています)
図録は1300円(税抜き)で、「来館できない場合は郵送申し込みを」と案内されています。
申込先:古代出雲歴史博物館内ミュージアムショップTEL 0853-53-7056

私は、出かけるのは難しそうなので、図録の購入で、ということにするつもりです。


     
壬辰年銘・観音菩薩立像(持統6年・重文)               鰐淵寺・本堂                      浮浪山鰐淵寺展・図録      .



●福島県立博物館で「みちのくの観音さま展」開催(11/1〜12/14)(2014年10月18日‎)

福島県会津若松市の福島県立博物館で、東日本大震災復興祈念「みちのくの観音さま〜人に寄り添うみほとけ展」が開催されます。
開催期間は、2014年11月1日(土)〜12月14日(日)です。
詳しくは、
福島県立博物館HP・展覧会ページをご覧ください。

この展覧会は、福島県立博物館と東北歴史博物館とが共同して開催される展覧会です。
開催趣旨については、展覧会HPでは、次のように記されています。

「観音菩薩は、さまざまな苦しみに悩む人々を救うために現れるとされ、人に寄り添う最も身近なみほとけとして、東北地方でも古くから信仰を集めてきました。
そのことをふりかえるために、東北各地の観音像、観音に捧げられた奉納品、観音ゆかりの多彩な文化財を幅広く集めて展示公開いたします。
・・・・・・・・・
本展が、東北の地に伝えられた貴重な文化財や豊かな精神文化を再発見する場となり、東日本大震災で被災した方々にひと時の安らぎを与え、復興への思いを新たにする機会になることを願っています。」

展示される仏像は、出展リストによると次の通りです。

  


小沼神社・十一面観音立像(平安)、常春寺・聖観音立像(鎌倉)あたりが、私の注目仏像です。

常春寺・聖観音立像は、網地浜にある潮音堂にまつられている像ですが、定期船に約60分乗り、島に渡らないと行けません。
私も、訪ねたことはありません。
この機会が、拝することが出来るチャンスかもしれません。

なお、この展覧会は、東北歴史博物館(宮城県多賀城市)でも巡回開催されます。
東北歴史博物館での開催期間は、2015年1月24日(土)〜3月12日(木)の予定となっています。


             
小沼神社・十一面観音立像(平安)                 常春寺・聖観音立像(鎌倉)



【福島県立博物館「みちのくの観音さま展」出展仏像の続報です】(2014年11月8日‎)

本HPの読者の方より、出展仏像の一覧についてのリスト情報をいただきました。

福島県立博物館・展覧会HPには、出展目録が掲載されておりませんので、ご紹介した以外には、どのような仏像が出展されるのかと思っていたのですが、いただいた情報によりますと、ご覧の通りに仏像が出展されているそうです。

  


思いの外に、数多く出展されています。
県指定クラスの、興味深い像ばかりで、個別に訪れるのは相当に大変なことだと思います。
来年3月まで、福島県立博物館(会津若松)と東北歴史博物館(仙台)の巡回展となります。
出かけてみる価値は、十分にありそうです。



●多摩美術大学美術館で「祈りの道へ〜四国遍路と土佐のほとけ展」開催(11/22〜1/18)(2014年10月12日‎)

東京都多摩市の多摩美術大学美術館で「祈りの道へ〜四国遍路と土佐のほとけ展」が開催されます。

開催期間は、2014年11月22日(土)〜平成27年1月18日(日)です。
詳しくは、
多摩美術大学美術館HP・展覧会ページをご覧ください。

この展覧会は、高知県の四国遍路に関わる仏像・ 仏画・考古遺物・民俗資料などを展示するものです。

HPの開催趣旨には、以下のように述べられています。

「ことし、四国遍路は開創1200年を迎えました。
讃岐(香川県)に生まれた空海は、42歳のときに故郷・四国を巡錫したと伝えられ、今日までその古蹟を巡る道は「遍路道」として多くの人々を迎えてきました。
本展では、特に空海ゆかりの地である土佐(高知県)の「遍路」、そして「祈りの道」をテーマとして、その原風景を体験していただきたいと思います。
・・・・・・・
空海の時代に遡る「せん仏」(野田廃寺出土)、 近年発見された東洋町・ 名留川(なるかわ)観音堂の古仏群、大豊町・定福寺六地蔵(笑い地蔵)、須崎市・笹野大日堂大日如来像(いずれもNHKにっぽん心の仏像 100選)をはじめとして、土佐を代表する仏像・ 仏画・考古遺物・民俗資料、120点あまりが一堂に会します。
四国の遍路道はまさに《祈りの道》。古き時代の歴史・信仰そして多くの文化遺産と対話するひとときを、お過ごしいただければと思います。」

なんといっても、私の注目は、須崎市・笹野大日堂大日如来像の出展です。

笹野大日堂大日如来坐像は、近年、湛慶もしくは湛慶工房の制作であろうといわれている仏像です。

像高49.3pの漆箔像で、須崎市指定文化財となっています。
この像は、昭和61年(1986)には市指定文化財となっていましたが、鎌倉末〜南北朝時代の制作とされ、さほど注目はされていませんでした。
平成18年(2006)に、高知県地域文化遺産共同調査・活用事業プロジェクトにより、青木淳氏(現多摩美術大学美術学部准教授)をはじめとする文化財調査が行われた際、湛慶もしくはその工房作品と考えられる鎌倉中期の優作であるとの所見が発表され、一躍注目を浴びた像です。

        
笹野大日堂大日如来坐像(鎌倉時代)               大日如来像・湛慶工房作を報じる高知新聞


私は、今春(2014.5)、高知・須崎市を訪ねて、笹野大日堂大日如来像を拝してきましたが、さすがになかなか出来の良い素晴らしい像で、慶派直系の作品であろうという考えは、そのとおりと感じました。

本展覧会は、青木淳准教授の企画により実現したのだろうと思いますが、再び、東京で、この大日如来像を見ることが出来るチャンスに恵まれるとは思ってもいませんでした。
是非、もう一度じっくりと観てきたいと思っています。

同時に出展される、椎名観音堂・十一面観音立像(平安時代)、名留川観音堂・菩薩形像(平安時代)も、なかなか魅力のある興味深い仏像のようです。


             
椎名観音堂・十一面観音立像(平安時代)                    名留川観音堂・菩薩形像(平安時代)



●渋谷区・松濤美術館で「御法に守られし醍醐寺展」開催(10/7〜11/24)(2014年10月12日‎)

東京都渋谷区の松濤美術館では、「御法(みのり)に守られし 醍醐寺展」が開催されています。
開催期間は、2014年10月7日(火)〜11月24日(月・祝)です。

詳しくは、
松濤美術館HP・展覧会ページをご覧ください。

松濤美術館は白井晟一氏設計によるモダンな建築の美術館で、ユニークでシャレた展覧会が催されることで親しまれていましたが、しばらくリニューアル休館中でした。
2014年1月リニューアルオープンしましたが、本展覧会はリニューアル記念展の一環として開催されたものです。

醍醐寺の展覧会は、本年(2014)7〜9月に、奈良国立博物館で「国宝・醍醐寺のすべて展」という大規模展が、開催されたばかりですが、
松濤美術館開催の本展では、奈良博・醍醐寺展には出品されなかった、

国宝・過去現在絵因果経(奈良時代・8C)や
重文・不動明王像(平安時代・10C)

などが、出展されています。

国宝・過去現在絵因果経は、全長15m36pに及ぶ巻物ですが、その全場面が期間限定でいっきに初めて公開されます。

また、重文・不動明王像は、元中院安置とされる五大明王像の中尊です。
この五大明王像は、昭和32年(1957)に三宝院の土蔵内から見出されましたが、関係資料から元中院安置の像であることが判明し、中院を建立した聖宝の弟子・観賢の没年である延長3年(925)までに造立されたとみられています。

大規模な展覧会ではありませんが、なかなか見所と味のある展覧会かと思いますので、お出かけください。


        
国宝・過去現在絵因果経(奈良時代・8C)の展示風景                重文・不動明王像(平安時代・10C)



●金沢文庫の「日向薬師・秘仏鉈彫本尊開帳展」が開催延期(2014年10月4日‎)

先に「日向薬師・秘仏鉈彫本尊開帳展」(10/3〜12/7)の開催情報をお伝えしていましたが、残念ながら開催延期になりました。

金沢文庫の発表によれば、館内収蔵庫の一部にカビが発生し、緊急に燻蒸(くんじょう)作業を行う必要が生じたそうです。

収蔵庫内の燻蒸と館内の環境整備を行うため、9月29日(月曜日)から当分の間、臨時休館ということになりました。
今後の「日向薬師・秘仏鉈彫本尊開帳展」の開催は、未定ということのようです。



●大津市歴史博物館で「三井寺・仏像の美展」開催(10/11〜11/24)(2014年9月27日‎)

滋賀県大津市御陵町の大津市歴史博物館では、三井寺園城寺「宗祖・智証大師生誕1200年慶讃大法会」の開催に合わせて、「智証大師円珍生誕1200年記念企画展〜三井寺・仏像の美展」が、開催されます。

開催期間は2014年10月11日(土)〜11月24日(月・祝)です。
詳しくは、
大津市歴史博物館HP「三井寺・仏像の美展」ページをご覧ください。

この期間、三井寺内で開扉される5躯の秘仏以外の、三井寺の仏像が多数出展されます。
三井寺の仏像の全貌を知ることが出来る展覧会です。


大津市歴史博物館HPの展覧会概要には、次のように記されています。

「平成26年(2014)の本年は、弘仁5年(814)年に生まれた智証大師円珍の生誕1200年の節目の年にあたります。
それを記念して大津市歴史博物館では、大津が育んだ重要な文化の一つである三井寺の仏教文化について紹介します。
三井寺とその周辺に伝来する優れた仏像や仏画に触れていただき、我が国屈指の仏教文化の聖地としての大津の魅力を感じていただけましたら幸いです。
なお、期間内には三井寺においても慶讃大法会として秘仏公開がなされています。
三井寺と当館をあわせて訪問することで、三井寺の仏像の全容を知ることができるでしょう。」

出展仏像の目録については、大津市歴史博物館「三井寺・仏像の美展」展示作品一覧ページをご覧ください。

約50点の三井寺とその周辺の仏像が、出展されます。

今回出展の三井寺の仏像は、過去の特別展、
「智証大師1100年御遠忌記念・三井寺秘宝展」1990年、名古屋市博物館・京博・東博で開催 「智証大師帰朝1150年・国宝三井寺展」2008〜9年、大阪市立美術館・サントリー美術館・福岡市博物館で開催
で出展されたものがほとんどで、新出展はないかもしれません。

私の注目は、三井寺周辺の仏像として出展される、
大津市・北保町自治会蔵の木造菩薩立像(奈良〜平安時代・市指定文化財)です。

大津歴博の解説によると、

「腰がくびれ背筋が豊かに現れる背中の表現や、ゆったりと天衣が両肩に懸かるさまは8世紀後半の趣を感じさせます。
さらに豊かな髻の表し方や後頭部の襟足を膨らませる表現などは、長岡京時代の作という考えがある京都・宝菩提院菩薩半跏像に通じるものがあります。
天衣の一端を背面にまわす所も8世紀後半から9世紀前半の像によくみられることからも、その頃の造像と考えられます。
円珍が入寺する前の三井寺の仏像である可能性があり、大変貴重な作例といえます。」

とあり、大変興味深い8〜9世紀の古仏です。
じっくり、観てみたいと思っています。

8〜9世紀の三井寺の古仏としては、
金堂蔵・木造阿弥陀如来坐像(奈良〜平安時代)
如意寺伝来・木造千手観音立像(平安時代前期)
が出展されますが、
これらの像よりも、古様かもしれません。

三井寺とその周辺の仏像の全貌を、一堂に観ることが出来る機会です。
是非、お出かけになられることを、お薦めしましす。


                
北保町自治会蔵・木造菩薩立像(奈良〜平安)      金堂蔵・木造阿弥陀如来坐像(奈良〜平安)      如意寺伝来・木造千手観音立像(平安前期)



●和歌山県立博物館で「熊野・聖地への旅展」開催(10/18〜12/7)(2014年9月27日‎)

和歌山市吹上の和歌山県立博物館で、世界遺産登録10周年記念特別展「熊野〜聖地への旅〜」が開催されます。

開催期間は、2014年10月18日(土)〜12月7日(日)です。
詳しくは、
和歌山県立博物館HPをご覧ください。

本展覧会は、熊野参詣と熊野三山への信仰に関わる文化財の数々を展示するものです。

和歌山県立博物館HPによると、本展覧会について

「世界遺産登録10周年の節目に際し、この特別展では、近年の新たな調査成果を踏まえながら、熊野三山や熊野参詣道沿いに伝わる多様な文化財を通じて熊野の歴史を紹介します。
この展示が、現地の展示とともに、熊野の魅力の源泉を見つめ直す機会となりましたら幸いです。」

と、開催趣旨が記されています。

今回の出展は、縁起絵や熊野曼荼羅、古文書類の出展が多く、仏像の出展はほとんどありませんが、皆さんご存知の、熊野速玉神社の国宝神像が出展されます。

熊野速玉大神坐像、夫須美大神坐像、国常立命坐像、家津御子大神坐像

の、4躯が出展されます。

出展作品については、展覧会・展示資料目録をご参照ください。

また、大河内智之氏による「熊野地域と参詣道沿いの仏像・神像」と題する講演会も開催されます。
日時: 11月22日(土)  13:30〜15:00


      
向かって左から    熊野速玉神社  熊野速玉大神坐像、  夫須美大神坐像、  国常立命坐像、  家津御子大神坐像



●東京国立博物館で「日本国宝展」開催(10/15〜12/7)(2014年9月20日‎)

東京国立博物館では、特別展「日本国宝展」が開催されます。

  


開催期間は、2014年10月15日(水) 〜2014年12月7日(日)です。
詳しくは、
東京国立博物館HP・日本国宝展を、ご覧ください。

東博での「日本国宝展」の開催は、平成に入ってからは、今回で3回目となるそうです。
約120点の国宝が、展示されるということです。

東博HPの展覧会開催趣旨には、このように記されています。

「日本には、美術的、歴史的に貴重な意義を有する文化財が数多くあり、中でも世界文化の見地から、高い価値をもつものを、類い稀な国の宝として、「国宝」に指定しています。

本展覧会は、これら国宝の中で、人々の篤い信仰心が結実した文化的遺産を集め、日本文化形成の精神を見つめ直すことを試みた壮大な展覧会です。
祈りをテーマに、仏や神と、人の心をつなぐ役割を担ってきた絵画・彫刻・工芸・典籍・考古資料などを展示し、日本文化の粋の結集をご覧いただきます。
人々の祈り、信じる力が、どのような形を結び今に伝わるのか、国宝と私たちとの、時空を超えた対話が始まります。」

仏像の出展は、あまり多くないようですが、次のような国宝仏像が出展されます。

・京都市・三千院・阿弥陀三尊像のうち両脇侍坐像(平安・久安4年・1148)

・桜井市・阿倍文殊院・文殊菩薩および侍者のうち善財童子立像(鎌倉時代・建仁3年・1203〜承久2年・1220、快慶作)



●福岡市博物館で特別展「九州仏〜1300年の祈りとかたち」開催(10/12〜11/30)(2014年9月15日‎)

福岡市早良区百道浜の福岡市博物館で特別展「九州仏〜1300年の祈りとかたち」が開催されます。

開催期間は、2014年10月12日(日)〜11月30日(日)です。
詳しくは、
福岡市博物館HPならびに開催概要ページをご覧ください。

この展覧会は、九州の古仏像、約100体が一堂に会するという、大展覧会です。

福岡市博物館・開催概要によれば、

展覧会の三つの特色として、
・九州の仏像が一堂に集う、約半世紀ぶりの展覧会
・秘仏、新発見(初公開)の仏像を多数展示
・奈良京都にはない九州独自の仏像を紹介
とあり、
「九州の仏像の特色に注目し、普段は非公開とされる『秘仏』や、最近の調査で確認された新発見の仏像など約100点を公開します。
九州全体を対象とした仏像展としては、約半世紀ぶりの開催となり、これを機に奈良や京都の仏像とは違った魅力を持つ『九州仏』の魅力を紹介します。」
との説明がなされています。

出展仏像の詳細については、九州仏展出品リストをご覧ください。

出品リストを見ると、注目仏像をピックアップするのが困ってしまうほど、興味深い仏像が目白押しです。

平安前中期以前の注目像を、あえて挙げると、

大分・天福寺奥院の菩薩形立像(奈良〜平安時代)、福岡・謹念寺の菩薩形立像(奈良〜平安時代)
福岡・浮嶽神社の地蔵菩薩立像(平安前期)、福岡・荘厳寺の聖観音菩薩立像(平安前期)
福岡・長谷寺の十一面観音菩薩立像(平安前期)、長崎・法清寺観音堂の如来立像(平安前期)

といったところでしょうか。

                
.  天福寺奥院・菩薩形立像(奈良〜平安)           謹念寺・菩薩形立像(奈良〜平安)      浮嶽神社・地蔵菩薩立像(平安前期).


                    
.荘厳寺・聖観音菩薩立像(平安前期)         長谷寺・十一面観音菩薩立像(平安前期)      法清寺観音堂の・如来立像(平安前期).

また、記念講座・講演会として、
10/25:「九州仏とは何か」末吉武史氏(福岡市博物館学芸員)
11/9:「九州仏像様式の形成について」奥健夫氏(文化庁主任文化財調査官)
10/26「見仏記〜九州仏」みうらじゅん・いとうせいこうトークショウ
が予定されています。


8年前の平成18年(2006)に、同じ福岡市博物館で開催された、「空海と九州のみほとけ展」も、九州の大仏像展でしたが、
九州を代表するこれだけの古仏像を、一度に観ることが出来る仏像展の開催は、まず、当分機会のないことかと思います。

私も、なんとか九州まで出かけたいと思っておりますが、皆さんも、是非お出かけになられることをお薦めします。



●福岡・九州歴史資料館で「福岡の神仏の世界展」開催(10/10〜11/30)(2014年9月15日‎)

福岡県小郡市三沢の九州歴史資料館で、特別展「福岡の神仏の世界〜九州北部に華開いた信仰と造形〜」が、開催されます。

開催期間は、2014年10月10日(金)〜11月30日(日)です。
詳しくは、
九州歴史資料館HPをご覧ください。

この展覧会は、「福岡の神仏の世界」という展覧会名のとおり、福岡県に在る神像、仏像が展示されるものです。

展覧会の案内には、
「本展は、国指定文化財、福岡県指定文化財を主とする福岡県の仏像と、通常は拝観困難な神像までが一堂に会する貴重な機会です。
本展会場にて、福岡の神仏の世界の魅力と、千年以上の長きにわたって神仏が共生してきた、日本の信仰の原風景を体感していただければと思います。」
との、開催趣旨が記されています。


展示品目録がまだ掲載されていませんので、出展される神像・仏像の詳細は判りませんが、パンフレットによれば、次のような像が出展されるようです。

  


私の注目は、浮嶽神社・如来形坐像、個人蔵・男神立像(平安時代)と八所宮・十一面観音立像の平安古像です。
なかでも、個人蔵・男神立像は、未だ拝したことが無く、写真で見るとなかなか魅力的な姿です。

            
.    浮嶽神社・如来形坐像                個人蔵・男神立像         八所宮・十一面観音立像.

また、今年7月に発刊された「福岡県の仏像」の総説を執筆されている八尋和泉氏の講演会も会期中開催されます。

11月1日(土)  13時30分〜15時  演題:「福岡県の仏像」

福岡県では、ほぼ同時期に、特別展「九州仏〜1300年の祈りとかたち」(10/12〜11/30)が、福岡市博物館で開催されます。
こちらは、九州の仏像、約100点が展示される大展覧会です。

この機会に、「九州仏展」と併せて、出かけて見られれば如何でしょうか。



●サントリー美術館で「高野山の名宝展」開催(10/11〜12/7)(2014年9月15日‎)

東京都港区のサントリー美術館で「高野山開創1200年記念〜高野山の名宝展」が開催されます。
開催期間は、2014年10月11日(土)〜12月7日(日)です。
詳しくは、
サントリー美術館HPならびに開催概要ページをご覧ください。

この展覧会は、高野山開創1200年を記念して開催されるもので、高野山に遺されている有名仏像が勢揃いして出展される展覧会となっています。


サントリー美術館HPには、展覧会開催概要が、次のように記されています。

「本展は、高野山が平成27年(2015)に開創1200年の節目を迎えることを記念して、高野山に伝わる至宝の数々を公開するものです。
開創にかかわる空海ゆかりの宝物から、豊麗な密教美術の原点ともいえる請来の品、真言密教の教理に基づく仏像、仏画など、普段は山上にあって重厚な信仰の歴史を物語るこれらを一堂に展示します。
特に、鎌倉時代、仏教彫刻界に新風を吹き込んだ仏師・運慶による国宝《八大童子像(はちだいどうじぞう)》を全躯そろって存分に鑑賞できる貴重な機会となります。
空海の精神と壮大な歴史に育まれた日本文化の精髄をご堪能ください。」

出品仏像については、展覧会・展示構成ページをご参照ください。

運慶作と考えられる八大童子像(国宝)全躯のほか、快慶作の孔雀明王坐像(重文)・執金剛神立像(重文)・四天王像(重文)が、一堂に観ることが出来ます。
他にも、諸尊仏龕〜枕本尊(唐時代・国宝)、大日如来坐像(平安・重文)、五大力菩薩画像〜金剛吼菩薩画像(平安・国宝)も展示されます。

高野山金剛峰寺の有数仏像を、一度に勢揃いして、東京で観ることのできる機会は、余りないことと思います。

お薦めの展覧会です。

    
運慶作と考えられる八大童子像(国宝)                     快慶作の孔雀明王坐像(重文)・執金剛神立像(重文) .




●京都国立博物館に新展示館「平成知新館」9/13オープン(2014年9月15日‎)

建て替えのため、長らく閉鎖されていた京都国立博物館・本館の新築が完成し、「平成知新館」として、2014年9月13日(土)、オープンしました。

旧京博本館(平常展示館)は、昭和41年(1966)に建築されましたが、その建替・新築が計画され5年がかりで完成、1年の乾燥期間をおいて、9月13日にグランドオープンをすることになりました。

京博の平常陳列は、見どころのある古仏像が多数展示され、時間の余裕がある時の必見仏像展示博物館であったのですが、建替閉鎖で残念ながら長らく観ることが出来ない状況でした。
この度の「平成知新館」グランドオープンにより、再び京博所蔵、寄託の仏像を観ることが出来るようになりました。

「平成知新館」グランドオープンを記念して、「京(みやこ)へのいざない展」が開催されています。
開催期間は2014年9月13日(土)〜11月16日(日)です。
詳しくは、京都国立博物館HP・
京へのいざない展概要をご覧ください。

この展覧期間中、仏像については、「京都の平安・鎌倉彫刻」と題した、展示が行われます。
展示品リストについては、京博HP・名品ギャラリー彫刻を参照ください。

西住寺・宝誌和尚像(平安・重文)、光明寺・千手観音立像(奈良〜平安・重文)などの、京博おなじみの仏像のほか、大阪・天野山金剛寺の本尊、巨大な大日如来坐像と脇侍の不動明王坐像などが出展されます。

久方ぶりに、京博展示の名品仏像を観ることが出来る機会です。
期間中に、是非、訪れたいものです。

            
.   西住寺・宝誌和尚像(平安・重文)        光明寺・千手観音立像(奈良〜平安・重文)       金剛寺・大日如来坐像(平安・重文).


●京都・龍谷ミュージアムで「二楽荘と大谷探検隊展」開催(10/4〜11/30)(2014年8月29日‎)

京都市下京区の龍谷ミュージアムでは、「二楽荘と大谷探検隊〜シルクロード研究の原点と隊員たちの思い」と題する特別展が開催されます。
開催期間は、2014年10月4日(土)〜11月30日(日)です。
詳しくは、
龍谷ミュージアムHPをご覧ください。

      
.          展覧会ポスター                           シルクロードを往く大谷探検隊

大谷探検隊は、大谷光瑞がロンドンに留学中ヘディンやスタインの探検成果に刺激され組織したもので、仏教東漸の遺跡を調査することが目的として、1902年(明治35年)に結成したものです。
大谷光瑞

大谷光瑞は、浄土真宗本願寺派の22代宗主となった人で、
「歴代門主の中でも、とりわけ気宇壮大で並外れた才覚の持ち主であった」
といわれる傑物であったといわれています。
その、大谷光瑞が六甲山麓に別邸として建設した「二楽荘」に、探検隊の収集品が保管されていたとのことです。
現在、探検隊の収集品の一部が、東京国立博物館東洋館に展示されていますので、ご覧になった方も多いのではないかと思います。

大谷探検隊については、「埃まみれの書棚から」69回70回に、採り上げたことがありますので、ご覧ください。

この展覧会は、「二楽荘と大谷探検隊展」にスポットを当てたもので、開催趣旨は次のように記されています。



「探検の世紀」と「阪神モダニズム」を回顧できるのではないかと思います。
私にとっては、大変に興味津々の展覧会で、ぜひとも訪れたいと思っております。

        
大谷探検隊収集の菩薩頭部と仏頭(東京国立博物館東洋館で展示)                       焼失前の二楽荘             .




●神奈川県立金沢文庫で「日向薬師・秘仏鉈彫本尊開帳展」開催(10/3〜12/7)(2014年8月29日‎)


横浜市金沢区の神奈川県立金沢文庫で、特別展・平成の大修理記念「日向薬師(ひなたやくし)〜秘仏鉈彫本尊開帳〜」が開催されます。
開催期間は、2014年10月3日(金)〜12月7日(日)です。
詳しくは、
金沢文庫HPをご覧ください。

ご存じのとおり、日向薬師・本尊薬師三尊像は、平安時代の鉈彫りの代表的作例として、広く知られています。
時々、展覧会などに出展されていますが、お寺では秘仏として厨子の中に祀られており、普段は、正月三が日のご開帳の時以外には拝することが出来ません。

展覧会には、薬師三尊像(重要文化財)と十二神将像(平安時代・県指定文化財)が出展されます。

現在、薬師堂(重要文化財)の大修理が行われていますが、今回の展覧会では、これまで調査結果の紹介されるようで、HPには、次のような開催趣旨が掲載されています。

一方、重要文化財・薬師堂(本堂)は、平成28年の完成を目指し、平成22年より平成の大修理が現在行われています。
修理では一部の部材に鎌倉時代に遡るものも発見され、話題となっております。
本展覧会では、普段拝観する機会の少ない本尊薬師三尊像をはじめ、日向薬師の仏像・宝物などを公開します。

また、併せて本堂の平成の大修理や、昭和30年代初頭に金沢文庫で行なった大規模な総合調査を紹介し、 広く一般の方々に、日向薬師宝城坊の歴史と文化について知っていただく機会になればと思います。

「日向薬師」一寺だけを採り上げた展覧会というのは、大変興味深い特別展で、どのような展示になるのか楽しみです。
是非とも出かけてみたいものです。

         
日向薬師・鉈彫り薬師三尊像(平安時代・重要文化財)                     解体修理中の本堂




●三原リージョンプラザで「瀬戸内の十字路・三原の仏像展」開催(9/4〜10/13)(2014年8月23日‎)

広島県三原市・三原リージョンプラザで「瀬戸内の十字路・三原の仏像展」が開催されます。
開催期間は2014年9月4日(木)〜10月13日(月・祝)です。
詳しくは、
三原市教育委員会HPをご覧ください。

HPには、次のような開催趣旨が掲載されています。

「古代から現在に至るまで、三原市域で永く崇拝を集めてきた仏像を一堂に会し、その魅力と意味に迫ります。
広島県の仏像のみに焦点を当てた、初の本格的な企画展です。」

三原の仏像展・図録『三原の仏像』
三原市域に在る仏像彫刻44点(うち31点が県・市指定文化財)出展されます。
また、普段公開されていない仏像も多く出展され、11件(13躯)の仏像が、今回初公開にとなるとのことです。
出展リストはHP・PDFをご参照下さい。

大規模な仏像展というわけではありませんが、「三原地域の仏像をすべて集めた」といってよい展覧会です。
三原市では、昨年9〜10月に「御調八幡宮と三原市の文化財展」が、三原リージョンプラザで開催され、多くの仏像が出展されました。
昨年に引き続いての、本格的な仏像(神像)の展覧会の開催です。

また、展覧会開催にあわせて、図録『三原の仏像』(1500円)が刊行されます。
「カラー図版約300点を収録しています。
多彩なカットで出陳仏像を余すところなくご紹介します。
解説ページには、出陳仏像すべての基礎データを収録しています。」
とのことで、貴重な図録となることと思います。
【郵送購入は、三原市教育委員会文化課( Tel:0848-64-9234)へ連絡申込】

三原市で、これだけの仏像展を立て続けに開催するのは、予算面、企画準備面共々、なかなか大変なことだと思います。
三原市教育委員会の本格的仏像企画展の連続開催に、大いなる拍手を送りたいと思います。

        
善根寺保存会・日光菩薩立像(平安・県指定)  棲真寺・二十八部衆立像〜乾闥婆王像(鎌倉・県指定) 棲真寺・阿弥陀如来坐像(鎌倉・市指定)      .




●横浜市・金沢文庫で「仏教美術逍遥展」開催(8/21〜9/28)(2014年8月2日‎)


横浜市金沢区の県立金沢文庫では、「仏教美術逍遥展」が開催されます。
開催期間は、2014年8月21日(木)〜9月28日(日)です。
詳しくは、
県立金沢文庫HPをご覧ください。

HPの開催趣旨には、

鎌倉時代の豊かな仏教文化を今に伝える金沢、六浦。称名寺をはじめ、龍華寺、薬王寺などの古刹は仏教美術の宝庫です。
本展では、海岸尼寺の旧本尊であった十一面観音立像(称名寺・重要文化財)や、修理後初の公開となる聖徳太子立像など金沢ゆかりの仏教美術のほか、 近年、三浦氏の本拠地に位置する大善寺(横須賀市)で新たに発見された平泉様式の天王立像など、約50点を一堂にご紹介します。

とあります。

出品目録が、まだ掲載されていませんので詳細は判りませんが、三浦半島の仏像を楽しむことが出来そうです。

開催趣旨にもふれられている、横須賀市・大善寺の天王立像(伝毘沙門天像)は、2010年9月に金沢文庫の調査により、新たに発見された仏像です。
動きある姿勢やメリハリある表情などは、平泉の国宝、中尊寺金色堂の増長天立像と共通する様式であるというものです。
鎌倉時代の歴史書「吾妻鏡」では、幕府を開いた頼朝が、平泉の仏教文化を参考に寺院を建立したと伝えています。
しかし、文献がこれを伝えるだけで、平泉の影響を示す実際の仏像などの存在は、これまで一般には知られていませんでした。
大善寺の天王立像の発見は、これを裏付ける貴重な史料となる仏像と云えるものです。

      
横須賀市・大善寺の天王立像(伝毘沙門天像)           中尊寺金色堂・増長天立像




●奈良国立博物館で「国宝・醍醐寺のすべて展」開催(7/19〜9/15)(2014年6月29日‎)


奈良国立博物館では、「国宝・醍醐寺のすべて〜密教のほとけと聖教~展」が開催されます。
開催期間は、2014年7月19日(土)〜 9月15日(月・祝)です。
詳しくは、
醍醐寺のすべて展〜公式HPをご覧ください。

今回の展覧会は、2013年(平成25年)に69378点に及ぶ醍醐寺文書・聖教が国宝に指定されたことを記念し、醍醐寺の歴史と美術をたどる特別展が開催されるものです。

今回の「醍醐寺のすべて展」は、醍醐寺の主要な宝物・文化財が軒並み出展されるという、大規模な展覧会になっています。
彫刻や絵画、書跡、工芸品など、国宝や重要文化財約160件を含む約190件の寺宝が一挙に公開されます。
出品目録は、HPに掲載されています。


醍醐寺の仏像は、国宝・薬師三尊像をはじめ、そのほとんどを霊宝館で拝することができます。
今回出展される仏像のなかで、霊宝館に安置されていない、普段拝せない注目仏像は、次のとおりです。

まず目玉は、五大堂安置の五大明王像(重要文化財)です。
上醍醐の五大堂から下されて、展覧会に出展されるのは、今回が初めてのことだと思います。

この像は、下醍醐から一時間ほどの徒歩での山登りを要する、上醍醐の五大堂に安置されている像です。
五大明王像のうち、大威徳明王像以外の4躯は、後世の江戸時代制作像ですが、大威徳明王像は、平安時代の制作で、延喜13年(913) に完成した創建五大堂の五大明王像の遺像であったと見られています。
像の姿形は、承和6年(829)に開眼供養された、東寺講堂の大威徳明王像とほぼ同じです。

醍醐寺には、もうワンセット平安時代の五大明王像が遺されています。
こちらの五大明王像は、三宝院の土蔵内から発見されましたが、関係資料から元中院安置の像であることが判明し、中院を建立した聖宝の弟子・観賢の没年である延長3年(925)までに造立されたとみられています。
醍醐寺の霊宝館に安置されていますので、開館時には拝することができます。

五大堂・五大明王像は、私もこの展覧会ではじめて拝することになり、大変愉しみにしています。


もう一つの注目は、快慶作・弥勒菩薩坐像の出展です。

この像は、「快慶前半期の代表作品」といってよいほどの名品ですが、普段はその姿を遠くの方から拝することしかできません。
三宝院の東の端にある本堂(護摩堂)に祀られていますが、拝観はお堂の入口からで、弥勒像まで距離があり、薄暗いので、その姿をはっきり拝することが難しいのです。
平成13年(2001)、東京国立博物館で開催された「国宝・醍醐寺展」に出展されましたが、明るい中で眼近に拝することができるのは、それ以来ではないかと思います。

記念公開講座も4回開催されます。
第2回は、皿井舞氏による「醍醐寺の造営と創建期の仏像」です。【8月2日(土) 13:30〜15:00】

      
五大堂安置・大威徳明王像             快慶作・弥勒菩薩坐像             上醍醐本尊・薬師三尊像




●天理市文化センターで、「内山永久寺の残像展」開催(7/3〜8/31)(2014年6月29日‎)


天理市・平成26年度夏の文化財展として、「天理市制60周年記念 内山永久寺の残像」「平成25年度発掘調査速報展」が、天理市文化センター1階展示ホール(入場無料)で開催されます。

開催期間は、平成26年7月3日(木)から8月31日(日)です。
詳しくは、天理市HP
「平成26年度夏の文化財展のご案内」をご覧ください。

内山永久寺は、平安時代後期の永久2(1114)年に創建されたと伝えられ、往時は壮麗な大伽藍を誇ったといわれますが、明治に入って廃仏毀釈の嵐の中で寺領を没収され、経営基盤を奪われ廃寺となりました。
壮麗を極めた堂宇や什宝は、ことごとく徹底した破壊と略取の対象となり、数多くの貴重な仏像・仏画・経典等が流出しました。
現在では、大寺があった跡形すらなくなり、本堂のあった処は池となり、その傍に「内山永久寺」と刻した石碑がひとつ残されているのみとなっています。

平成26(2014)年は内山永久寺の創建900周年にあたるため、各地に残る仏教美術、建造物の紹介や出土遺物の展示をおこなうということです。

内山永久寺から流出した仏像仏画で、現存するものは、次のようなものです。




流出した仏像・仏画などの展示は、残念ながら写真パネル展示となるようですが、内山永久寺の往時をしのぶものとなりそうです。

会期中、松岡久美子氏(龍谷ミュージアム)による講演会、

『内山永久寺の仏像』

が、7月19日(土) 【14時から15時30分】に開催されます。
ご関心のある方には、興味深い講演です。

      
大和名所図会に描かれた往時の内山永久寺             東大寺増長天内山永久寺伝来         正寿院不動明王内山永久寺伝来



●仙台市立博物館で「奈良・国宝室生寺の仏たち展」開催(7/4〜8/24)(2014年6月21日‎)

仙台市立博物館では、東日本大震災復興祈念特別展「奈良・国宝室生寺の仏たち」が開催されます。
開催期間は、2014年7月4日(金)〜8月24日(日)です。
詳しくは、仙台市立博物館HPをご覧ください。

この展覧会は、東日本大震災復興を祈念して、室生寺の全面的な協力のもと開催されるもので、室生寺を代表する仏教彫刻や仏画など約93点(国宝2点、重要文化財24点)が展示されます。
東北地方で、室生寺の国宝仏像出陳される展覧会が開かれるのは、今回が初めてのことです。

本展には、室生寺金堂、弥勒堂の両本尊、釈迦如来像・弥勒菩薩像を除いて、両堂の主要仏像がすべて出展されます。
主な出展仏像は、以下の通りです。

国宝・十一面観音立像(金堂)、国宝・釈迦如来坐像(弥勒堂)、重文・文殊菩薩・地蔵菩薩・薬師如来立像(金堂)〜以上平安時代〜
重文・十二神将立像(金堂)〜鎌倉時代〜

これらの仏像に加えて、土門拳、飛鳥園(小川晴暘・光三)等の写真家の撮影写真も展示されるとのことです。

      
国宝・十一面観音立像(金堂)             国宝・釈迦如来坐像(弥勒堂)                  重文・十二神将立像(金堂)




●東京国立博物館で「平成26年 新指定 国宝・重要文化財展」開催(4/22〜5/11)(2014年4月19日‎)

東京国立博物館で、例年恒例の「平成26年 新指定 国宝・重要文化財展」が開催されます。
開催期間は2014年4月22日(火) 〜 2014年5月11日(日)です。
今回は、平成26年(2014)に新たに国宝、重要文化財に指定された51件が展示されます。
詳しくは、
東京国立博物館HPをご覧ください。

今回出品される仏像(彫刻)作品は、以下のリストの通りです。





私の注目仏像は、やはり平安彫像の、当麻寺・十一面観音立像と九品寺・観音菩薩立像です。


         
当麻寺・十一面観音立像      九品寺・観音菩薩立像      西方寺・薬師如来立像         方広寺・釈迦如来坐像   .

当麻寺・十一面観音立像は、当麻寺本堂内の目立たない右脇の間の奥に安置されている等身大の像です。
平安前期、9世紀の制作とみられています。
像の大半は、足先から蓮肉部まで含めて一材から彫出される一木彫で、野性味のある雄渾さが印象的な、迫力ある像です。

九品寺は、滋賀・大津市にありますが、観音菩薩立像は、丸々した顔と切れ長の目が印象的な、美しい像です。
正暦4年(993)の作と考えられる善水寺・梵天帝釈天立像とよく似た造形表現といわれ、11世紀の制作とみられています。

短い期間の展示ですが、新たな重文指定の仏像を一度に観ることができる絶好の機会です。
是非、お出かけください。




●東京藝術大学美術館で「法隆寺−祈りとかたち展」開催(4/26〜6/22)(2014年4月12日‎)


東京上野の東京藝術大学美術館で、東日本大震災復興祈念・新潟県中越地震復興10年 「法隆寺−祈りとかたち展」が開催されます。
開催期間は、2014年4月26日(土)〜 6月22日(日)です。
詳しくは、東京藝術大学美術館
「法隆寺−祈りとかたち展」公式サイトをご覧ください。

この展覧会の見どころについて、公式サイトにこのように記されています。

・法隆寺金堂から、国宝毘沙門天・吉祥天が出陳されます。
・飛鳥後期の至宝・金堂壁画を、貴重な模写で再現します。
・岡倉天心にはじまる東京藝術大学との関わりをひもときます。

そのとおりで、
国宝・毘沙門天像、吉祥天像が、博物館の照明の中で観ることができるのは、大変楽しみです。
この両像は、法隆寺金堂に安置されていますが、遠くから薄暗い照明の中で、その姿をクリアーに観ることは叶いません。
この像の見どころは、鮮やかな繧繝彩色と切金文様の素晴らしさですが、法隆寺金堂ではその美しさがほとんど判りません。
この展覧会では、その鮮やかな美しさを十二分に堪能できることと思います。

また、今回は、併せて三経院の阿弥陀如来坐像、広目天・多聞天像(六大寺大観では持国・増長天としている)が出陳されます。
いずれも12世紀の制作で重要文化財に指定されていますが、普段は拝することのできない像です。

            
法隆寺金堂      国宝・吉祥天像、毘沙門天像

            
法隆寺・三経堂       阿弥陀如来像、広目天・多聞天像


また、法隆寺金堂壁画の模写では、鈴木空如の模写が出展されます。
鈴木空如は、法隆寺壁画の模写に人生をささげた人です。
生涯に三回、三組の模写を行っており、その制作時期は、大正5年から昭和11年の20年間に亘っています。
誰の助けもなく、単身堂内に足場を組み、汗にまみれ、時にこごえる身で、ロウソクの明かりだけを頼りに大紙をあやつり、すべて自己の負担で遂に壁画12面を模写し終えたといわれており、真迫の素晴らしい模写作品です。
この模写を、眼近に観ることができるのは、大変楽しみです。

       
鈴木空如と金堂壁画模写画

展覧会図録には、「法隆寺と美術学校」「岡倉天心の『古社寺調査手録』」「空如のこと」という論考が所載されているとのことで、岡倉天心にはじまる東京藝術大学と法隆寺との関わりについて知ることができる内容のようで、これまた大変愉しみです。



●京都国立博物館で「南山城の古寺巡礼展」開催(4/22〜6/15)(2014年4月4日‎)


京都国立博物館で「南山城の古寺巡礼展」が開催されます。
開催期間は平成26年4月22日(火)〜6月15日(日)です。
詳しくは、
京都国立博物館HPをご覧ください。

この展覧会は、京都・南山城にある古寺の仏像を集めて展観されるものです。
HPの開催趣旨には、このように記されています。

「南山城はいまの京都府南部、木津川の流域にあたります。
奈良と京都の間であるこの地域には古い寺院が点在しており、奈良時代以来の信仰の姿を今に伝えています。
今回の展覧会ではそれらの寺院に伝来し、博物館の文化財調査を通じて明らかにされた仏像・工芸品・書跡・絵画など、静かな山里で守り伝えられてきた仏教美術の名品の数々をご紹介します。」

展示目録が、いまだにHPに掲示されていませんので、展示仏像の全容はわかりませんが、主な出展仏像は、次の通りです。

海住山寺・十一面観音立像(重文・平安時代)、現光寺・十一面観音坐像(重文・鎌倉時代)
笠置寺・毘沙門天立像(鎌倉時代)、岩船寺・普賢菩薩坐像(重文・平安時代)
浄瑠璃寺・多聞天立像(国宝・平安時代)、禅定寺・十一面観音立像(重文・平安時代)
寿宝寺・千手観音立像(重文・平安時代)、蟹満寺・阿弥陀如来坐像(平安時代)
神童寺・愛染明王坐像(平安時代)

南山城の名品仏像である、観音寺の国宝・十一面観音立像や、常念寺の重文・菩薩形立像が出展されないのは、残念なところです。
今回の展覧会の目玉は、禅定寺・十一面観音立像と寿宝寺・千手観音立像でしょう。
普段、観光客があまり訪れない両寺の、立派な仏像を観ることができるよい機会かもしれません。

            
禅定寺・十一面観音立像             現光寺・十一面観音坐像                  寿宝寺・千手観音立像



●奈良国立博物館で「鎌倉の仏像〜迫真とエキゾチシズム展」開催(4/5〜6/1)(2014年3月29日‎)


奈良国立博物館で「鎌倉の仏像〜迫真とエキゾチシズム展」が開催されます。
開催期間は、平成26年4月5日(土)〜6月1日(日)です。
詳しくは、奈良国立博物館HPをご覧ください。

この展覧会は、鎌倉市鶴岡八幡宮境内にある「鎌倉国宝館」に展示されている仏像を中心に構成されているものです。
現在、鎌倉国宝館は本館大規模修繕のため長期休館中であるため、本展覧会開催が実現したものだと思われます。

HPの特別展開催主旨には、このように記されています。

「昭和3年(1928)に開館した鎌倉国宝館には、この地域の貴重な作品の数々が寄託・所蔵され、鎌倉や東国の仏教美術、わけても仏像の全貌を把握することのできる優れた作品が常時展観されています。
本展は、鎌倉国宝館に寄託・所蔵される仏教彫刻と仏画の優品に加え、近隣の寺院からも尊像の出陳を賜り、それらを一堂に会することによって、奈良から生まれ、鎌倉で結実した仏像の諸相の展観を目指すものです。
関東の外においてまとまって展示される初の試みであり、とりわけ鎌倉時代彫刻発祥の地ともいうべき奈良で公開されることの意義は大きいと考えます。 」

関西在住の方には、わざわざ鎌倉まで出かけなくても、鎌倉の仏像の名品を一堂に観ることのできる格好の機会かと思います。





●大阪市立美術館で「山の神仏−吉野・熊野・高野」展開催(4/8〜6/1)(2014年3月29日‎)

大阪市立美術館で「山の神仏−吉野・熊野・高野」展が開催されます。
開催期間は、平成26年4月8日(火)〜6月1日(日)です。
詳しくは、大阪市立美術館HPをご覧ください。

この展覧会は、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界文化遺産登録10周年を記念し、吉野・大峯、熊野三山、高野山の三霊場を中心として、篤い信仰をあつめる「神と仏」のすがたを一堂に展観するものです。

主な展示仏像(神像)は、熊野速玉大神坐像(熊野速玉大社)平安時代・国宝、蔵王権現立像(如意輪寺)鎌倉時代・重文、役行者倚坐像(桜本坊)鎌倉時代・重文、如来・菩薩坐像(大峯山寺)平安時代・重文といったところかと思います。

            
熊野速玉大神坐像(熊野速玉大社)    蔵王権現立像(如意輪寺)     役行者倚坐像(桜本坊)           如来・菩薩坐像(大峯山寺)    .



●あべのハルカス美術館で開館記念「東大寺展」開催(3/22〜5/18)(2014年3月29日‎)


大阪市阿倍野区のあべのハルカス美術館が、この度開館しましたが、開館記念特別展として、「東大寺展」が開催されます。

開催期間は2014年3月22日(土)〜2014年5月18日(日)です。
詳しくは、あべのハルカス美術館HPをご覧ください。

東大寺の名宝の中から、国宝・重要文化財を含む約70件の名宝が展示されます。
仏像については、特別に珍しい像の出展はなく、折々の展覧会に出展される像や、東大寺ミュージアムに展示されている像の出展となっています。


主要な出展仏像は、誕生釈迦仏像、弥勒仏坐像(試みの大仏)、重源上人坐像、地蔵菩薩立像(快慶作)、弥勒菩薩立像(中性院)、五劫思惟阿弥陀如来坐像(五劫院)といったところかと思います。

            
.     弥勒仏坐像(試みの大仏)                     重源上人坐像                       地蔵菩薩立像(快慶作)




●東京藝術大美術館で「観音の里の祈りとくらし展」開催(3/21〜4/13)(2014年1月25日‎)

展示会ポスター(写真は赤後寺・千手観音像)
上野の東京藝術大学大学美術館では、「観音の里の祈りとくらし展−びわ湖・長浜のホトケたち−」が、開催されます。
開催期間は、2014年3月21日(金・祝)〜4月13日(日)です。
長浜市と東京芸大の共同開催で、湖北に遺る約20体の平安時代の観音像が展示されると共に、湖北に息づく「観音文化」や「観音の里・長浜」を紹介する映像やパネル等が展示されます。
詳しくは、
東京藝術大学大学美術館HPをご覧ください。

東京藝術大美術館HPによれば、

「奧琵琶湖」と呼ばれる琵琶湖の北岸地域では、古くから多くの観音像がお寺やお堂に祀られ、とくに滋賀県長浜市には平安時代の作を中心にすぐれた観音像が集中しています。
これらを生み出した古代寺院はすでに廃絶したものも多く、その後は地域の人々によって、大切に、ひそやかに現代まで守り継がれてきました。
今回はこの「観音の里」から約20体のお像をお迎えし、信仰とともに生きる人々の祈りとくらしをご紹介いたします。

とのことです。

展示予定の仏像は、次のとおりです。

   
◎は重要文化財、△は長浜市指定文化財                                   .

普段、なかなか拝することにない湖北の平安仏に出会うことが出来そうです。

展覧会の目玉は、赤後寺・日吉神社の千手観音立像だと思いますが、
私の注目は、菅山寺の十一面観音立像です。

            
菅山寺・十一面観音立像(長浜市余呉町坂口)木心乾漆・奈良末〜平安前期

この観音像は、近年の調査で、「木心乾漆像」であることが判明した仏像です。
像背面墨書と台座裏墨書銘から、寛政13年(1801)に天神九百年忌を記念して、彦根藩家老・木俣守前(もりちか)と母・清玉院によって、菅山寺に寄進されたものであることが判っています。
菅山寺は、余呉町にあり、奈良末期の制作と思われる薬師如来像を伝える、鶏足寺からさほど遠くないところに在ります。
像高102.8p、地方作的な造型の崩れを感じますが、奈良末〜平安時代に当地でこのような仏像が制作されていたことを伝える、大変貴重な仏像です。



過去の展示会情報

2000年上半期

2000年下半期

2001年上半期

2001年下半期

2002年

2003年

2004年

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

2014年

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