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秘仏御開帳  2014

 全国の秘仏御開帳情報は、下記サイトの「仏像の公開情報」に詳しいので、そちらもご覧下さい。

観仏 三昧 ─仏像と文化財の情報ページ─
展覧会情報、仏像の公開情報、講演会・シンポジウム情報、文化財トピックス等の情報を詳細に紹介している
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●    小田原市・勝福寺の秘仏十一面観音像が特別開帳(11/1〜5)(2014年10月25日)


神奈川県小田原市飯泉の秘仏本尊・十一面観音立像が特別御開帳されます。

本尊・十一面観音像は、33年に一度ご開帳の秘仏ですが、今回は、開創1250年記念開帳大法会ということで、ご開帳になるとのことです。
ご開帳期間は、2014年11月1日(土)〜11月5日(水)です。
ご開帳の時間、要領については、把握しておりませんので、詳しくは勝福寺にお問い合わせください。(0465-47-3413)

このご開帳は、坂東三十三観音霊場・平成26年午歳特別結縁巡礼の一環ともなっているようです。

本尊・十一面観音像は、像高101p、平安時代の制作で、神奈川県指定文化財となっています。

勝福寺・本堂
神奈川県文化財図鑑・彫刻編(1975年神奈川県教育委員会刊)の解説には、このように述べられています。

「彩色を加えない素地像で、材はヒノキ、頭頂面までを含めて全身を一材からつくり、内刳りを施さぬ丸彫りの構造で、・・・・・
・・・・・・・・・・・・
一種、男性的な表情に見えるのが目立ち、両頬がゆたかで面相部の肉取りがこの男性的な趣を強めている。
・・・・・・・・・・・・
いわゆる定朝様の仏像が地方においても定着したころ、すなわち12世紀の造立と考えられるが、その仕上げは地方作らしく荒っぽいところがあり、ところどころには刀痕がのこる。
両肩に墨で描かれた垂髪なども、もとのものと思われ、県下のいわゆる鉈彫りの像などにみられる墨描の瓔珞などをしのばせるあたりがおもしろい。」

         
勝福寺・十一面観音立像

私も拝したことはありませんが、写真と解説をみると、檀像風彫刻と関東の鉈彫り像とのかかわりを考えさせるような、興味深い仏像のようです。

この機会に、訪ねてみようかと思っています。




●    兵庫県神崎郡・神積寺の秘仏・薬師如来像が60年に一度のご開帳(11/8〜23)(2014年10月4日)


兵庫県神崎郡福崎町の神積寺の秘仏・薬師如来像(重文)が、60年に一度のご開帳となります。

神積寺(じんしゃくじ)は、播磨天台六山のひとつに数えられ、西国四十九薬師霊場第二十四番札所、播州薬師霊場第十二番札所となっている古刹です。

11月8日には、妙徳山神積寺開山一千年並びに、60年に一度の秘仏本尊薬師如来ご開帳開闢法要が行われます。
薬師如来像のご開帳期間は、2014年11月8日(土)〜11月23日(日)です。
詳しくは、
神積寺HP・ご開帳ページをご覧ください。

薬師如来坐像は、像高88.8p。明治34年(1901)に旧国宝(現重要文化財)に指定されています。
この薬師如来坐像の制作年代ですが、藤原時代とするものと、室町時代とするものの二つあるようです。

福崎町・社会教育課のHPによれば、
「作風は温雅このうえなく、この地方の藤原仏を代表するものです。
・・・・・・
膝部の衣文は紐状に表され、翻波式衣文(大きい波と小さく鋭い波を交互に表す衣文)もみられます。」
と述べられています。

神積寺HPでも、
「藤原時代の代表的な尊容を表しています。」
とされています。


一方、「仏像集成」(学生社刊)、「ふるさとのみほとけ〜播磨の仏像」(兵庫県立歴史博物館刊)の解説(神戸佳文氏)によれば、室町時代の制作とされています。

「衣文の表現は硬く、衲衣を通肩にまとう形式などから、南北朝〜室町時代の造立と考えられる。
神積寺は、延慶2年(1309)に焼失しており、この像はその後に再興された本尊であると考えられる。」
(仏像集成)

      
神積寺・本堂                       神積寺・薬師如来坐像

皆さん、いずれの時代の仏像とみられるでしょうか?
ご開帳に行かれる方は、是非、いずれの時代の仏像なのか、よく観てきていただければと思います。



●    三井寺で智証大師生誕1200年慶讃・秘仏ご開帳(10〜11月)(2014年9月27日)

滋賀県大津市園城寺町の三井寺園城寺では、宗祖・智証大師生誕1200年慶讃大法会が、2014年10月18日〜11月24日に開催されます。

   


この大法会に伴い、各種の記念事業が行われますが、この間に、三井寺に伝わる著名な秘仏が5躯、開扉されます。

詳しくは、
三井寺HP智証大師生誕1200年慶讃大法会ページ秘仏ご開扉ページを、ご覧ください。

開扉される秘仏と、開扉期間などは次の通りです。

 

三井寺の、これらの秘仏については、長らく秘仏として守られてきました。

とりわけ、黄不動画像は、秘仏中の秘仏として守られ、きわめて限られた人しか拝した人がいませんでした。

昭和29年(1954)、東京日本橋高島屋において「三井寺秘宝展」が開催された際、黄不動尊が初めて山外に出て、三日間だけ公開され、一般の目にふれることになりました。
その後は、昭和48年(1973)に、横浜高島屋で開催された「三井寺秘仏特別開扉」において、特設灌頂道場において拝するという形で、公開されただけでした。

以来、いわゆる三井寺展に、たまに出展されるようになり、近年では、
・1990年、名古屋市博物館・京博・東博で開催された「智証大師1100年御遠忌記念・三井寺秘宝展」
・2008〜9年、大阪市立美術館・サントリー美術館・福岡市博物館で開催された「智証大師帰朝1150年・国宝三井寺展」
・2010年、大津歴史博物館で開催された「大津・国宝への旅展」
に、出展されています。

1990年、2008〜9年の展覧会では、上記の5躯の秘仏が、全て出展されています。

都度、「三井寺展」にお出かけの方にとっては、既に、これらの秘仏を明るい美術館で、眼近にじっくり拝されていることだろうと思います。

なお、この秘仏開扉の時期に合わせて、大津市歴史博物館で「智証大師円珍生誕1200年記念・三井寺 仏像の美展」が開催されます。(10/11〜11/24)

こちらの展覧会では、5躯の秘仏以外の三井寺の仏像、仏画が数多く出展され、三井寺の仏像の全貌を知ることが出来ます。
必見の展覧会かと思っています。



●    滋賀県長浜市・大聖寺不動堂の不動明王坐像を初公開(9/11〜10/19)(2014年9月20日)

滋賀県長浜市大門町の秘仏・不動明王坐像(平安後期)が、長浜城歴史博物館で初公開されています。
公開期間は、2014年9月11日(木)〜10月19日(日)です。

大聖寺不動堂の不動明王坐像は、昨年(2013)3月、長浜市指定文化財に指定されたばかりの仏像です。
9月10日付京都新聞は、不動明王像が初公開されることを報じていますが、文化財指定された経緯については、このように書かれています。

「地元の記録では、大聖寺は鎌倉時代には存在し、織田信長の比叡山焼き打ちの際に同寺も燃えたと伝わる。
本堂の跡地に建つとされる不動堂の中で、像は地元住民によって守られてきた。

秘仏のため非公開だったが、2年前、市文化財保護センターが調査したところ、キリの木の一木造りで平安時代後期の作と分かった。
台座を除く高さは135センチで、県内の不動明王坐像では2番目の大きさ。
平安後期の作風も評価され、昨年3月に市文化財に指定された。」

不動明王像は、写真で見ると、みるからに平安後期の作風ですが、なかなか力強そうな感じがします。
半丈六の135pもある像高で、滋賀県下では東門院(守山市)の不動明王坐像に次いで2番目に大きい像となるそうです。

本像の詳しい解説は、
シリーズ「ながはまの文化財」(平成25年6月1日号)をご覧ください。

長浜城歴史博物館HPには、探してみましたが、大聖寺不動堂・不動明王坐像が展示されることについての掲載がありませんでした。
行かれる方は、長浜城歴史博物館に確認されたうえ、訪ねられた方がよいかもしれません。


          
大聖寺不動堂の不動明王坐像(平安時代後期・長浜市指定文化財)



●    伊勢市・金剛證寺の秘仏・虚空蔵菩薩が20年に一度のご開帳(10/1〜21)(2014年8月29日)

金剛證寺・本堂
三重県伊勢市朝熊町の金剛證寺のご本尊〜秘仏・虚空蔵菩薩が20年に一度のご開帳となります。
ご開帳期間は、2014年10月1日(水)〜10月21日(火)です。
詳しくは、
金剛證寺HPをご覧ください。

金剛證寺は、古来、伊勢神宮の鬼門を守る寺として、神宮の奥之院ともいわれた古刹です。
「お伊勢参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り」と伊勢音頭の俗謡にも唄われ、参宮する人々は当寺に参詣するのが常であったと云います。

ご本尊・虚空蔵菩薩は、伊勢神宮のご遷宮の翌年に、20年に一度のご開帳とされており、その間開扉されたことはなく、厳重に秘仏として祀られているようです。
このご本尊は、日本三大虚空蔵菩薩の第一位とされているということなのですが、いつ頃の時代のものかは、はっきりしていないようです。

伊勢市教育委員会の方にお尋ねしましたが、制作年代についても過去の記録からも良く判らず、写真も残されていないとのことで、今回のご開帳の機会に、良く拝して観てみたいとのことでした。
いつの時代のどのような仏像なのか、興味深いところです。

金剛證寺には、ほかに、2躯の重要文化財の仏像、雨宝童子立像(平安時代)と地蔵菩薩立像(鎌倉時代)が残されています。
雨宝童子像は、平安時代の神像ではないかと、注目されている古像です。
宝物館が、開扉期間中の土曜、日曜、祝日の10:00~15:00には、特別公開されるとのことですので、これらの仏像も、拝することが出来るも知れません。
宝物館の文化財などについては、金剛證寺にご確認ください。


          
金剛證寺・雨宝童子像(平安時代・重文)〜左〜と地蔵菩薩像(鎌倉時代・重文)〜右〜



●    平成26年度・みほとけの里〜若狭の秘仏特別公開(9/13〜11/24)(2014年8月15日)

若狭の秘仏特別公開ポスター
向かって右・中山寺馬頭観音像、左・馬居寺馬頭観音像

昨年に惹き続き、今年も「みほとけの里〜若狭の秘仏特別公開」が実施されます。

特別公開期間は、平成26年9月13日(土)〜11月24日(月・祝)です。

一昨年から、新たに始められた企画ですが、大変好評で、多くの方がこの期間に拝観に訪れたようです。
今年は、普段は一般公開していない、23ヶ寺の古仏像が拝観できるようです。

昨年は、小浜市とあおい町の17ヶ寺でしたが、今年は若狭町、高浜町が新たに加わり、特別公開仏像も、大幅に増えました。

今年の目玉は、高浜町の中山寺・馬頭観音坐像と馬居寺・馬頭観音坐像(共に重要文化財)が、同時に特別公開されることでしょう。

当地、青葉山周辺には、馬頭観音像が多く残されていますが、この二寺と松尾寺・馬頭観音像は、秘仏になっており、なかなか拝することはできませんでした。
中山寺、馬居寺は、最近、たまに期間を限って特別公開されるようになっていますが、今回は、2つの馬頭観音が同時に拝せるというチャンスです。



今回特別公開される仏像は、以下のとおりです。

 

特別公開の仏像、公開日などは、
福井県HP(平成26年度 みほとけの里 若狭の秘仏 特別公開)に詳しく出ていますので、ご参照ください。

各寺院の公開日や公開時間の詳細が掲載されています。
寺院によって、公開日や公開時間が異なっているようですし、「特別公開ツアーバスのみ」公開の仏像もあるようですので、ご注意ください。


また、しばらく閉館していた、県立若狭歴史資料館(小浜市)が、この7月にリニューアルオープンし、こちらにもいくつかの仏像が展示されています。

注目は、小浜市黒駒区の大日如来坐像が初公開されることです。
博物館解説によると、
この像は今まで知られていなかった仏像で、像高170p、若狭最古の大日如来像となる平安後期の木彫像だそうです。
黒駒区で秘仏として長く信仰されてきたが、一般に公開されるのは初めてということで、ちょっと興味深い仏像です。

            
県立若狭歴史資料館リニューアルオープンポスター               小浜市黒駒区・大日如来坐像    .




●    鳥取県・三徳山三仏寺の秘仏・阿弥陀如来像が特別ご開帳(7/18〜10/18)(2014年7月4日)

国宝・三仏寺投入堂
国宝・投入堂、重文・蔵王権現像で知られる、鳥取県三朝町の三徳山三仏寺・本堂に厳重秘仏として祀られる阿弥陀如来立像が、特別ご開帳されます。
慈覚大師1150年御遠忌ということでのご開帳、ということです。

ご開帳期間は、2014年7月18日(金)〜平成26年10月18日(土)となっています。
詳しくは、
「三朝温泉850年」というHPをご覧ください。

三仏寺によると、本堂に祀られるこの仏像は、過去に開帳された記録はなく、三徳山において秘仏中の秘仏とされていました。
三佛寺本堂修復落慶された2011年、初めて開帳公開されたそうです。

平安後期の阿弥陀如来立像で、県教育委員会では、次のように解説しています。

嘉祥2年(849年)慈覚大師円仁により釈迦、阿弥陀、大日の三尊仏を安置されたと伝わり、三徳山三佛寺の寺号の由来になっている平安仏。

その特徴は、頭部はやや大きめで極端ななで肩、体奥が浅く、正面下半身の衣文線はいわゆるY字型に整えられて形式化し、彫りは浅く、典型的な平安時代末期の作風を示しています。

さらに、右肩や背面上方には鑿痕が遺っており、いわゆる霊木から出現しつつある仏(「霊木化現仏」)の特色を示し、そのことからも当初は素木仕上げであったと考えられています。
太古からの山岳信仰の拠点である三仏寺の本尊として、その文化的、歴史的価値は極めて高いものとされ、平成23年3月22日、鳥取県保護文化財に指定されました。

私は、この仏像の存在も、2011年に特別開帳されたことも、これまで全く知りませんでした。
今回のご開帳情報で、初めて、三仏寺に平安古仏の秘仏本尊が祀られていたことを知りました。
写真で見ると、なかなか興味深い仏像のような感じがします。
出かけてみる値打ちがあるかもしれません。

            
三仏寺本堂安置・阿弥陀如来立像(平安後期・県指定文化財)                蔵王権現像(平安後期・重要文化財)

なお、三徳山三仏寺のHPには、現在の処、秘仏ご開帳について掲載されていません。(ご開帳されることは、お寺の方にも確認済みです。)

「三朝温泉850年」HPによると、重要文化財「十一面観音像」も、10/26から本堂に祀られ公開されるとのことですが、この観音像は、普段でも蔵王権現像とともに、宝物館にて公開されていますので、いつでも拝することができるものです。



●    山形・寒河江市の本山慈恩寺・宮殿秘仏が特別開帳(6/1〜7/21)(2014年5月4日)

山形県寒河江市の本山慈恩寺本堂の宮殿内の秘仏、本尊・弥勒菩薩坐像ほか数々の仏像が、特別開帳されます。

ご開帳仏像の展示期間は、2014年6月1日(日)〜7月21日(月)です。
詳しくは、本山慈恩寺HPをご覧ください。

今回、秘仏ご開帳展示される仏像と安置堂の一覧は、次の通りとなっています。


  


慈恩寺の秘仏ご開帳は、昨年4月〜7月にもありましたが、小規模のご開帳展示でした。
その折、開帳展示されたのは、本堂宮殿内の観音・勢至菩薩像(市指定)、阿弥陀堂安置・阿弥陀如来坐像(重文)、三重塔安置・大日如来坐像です。

今回のご開帳は、慈恩寺開山1300年記念として行われるもので、厳重秘仏とされる本堂・宮殿内安置のご本尊・弥勒菩薩坐像他が開帳展示されます。
宮殿内秘仏・本尊のご開帳は、今世紀(21世紀)初ということです。
前回、宮殿・ご本尊が開帳されたのは、平成4年(1992)ということですから、22年ぶりの本尊ご開帳ということになるのかと思います。

   
本山慈恩寺本堂と本堂内陣内の宮殿(厨子)

宮殿内諸仏のことが知られるようになったには、近年のことです。
慈恩寺本堂内には、宮殿(くうでん)と呼ばれているおおきな厨子がありますが、宮殿厨子内の仏像は、長らく絶対秘仏としてその扉が開かれたことはなく、その仏像がどのようなものか全くわかりませんでした。

昭和50年(1975年)に、初めてその扉が開かれたということです。
宮殿内には、31躯の仏像が、密集して安置されていました。
昭和57年には、文化庁の本格的調査が入り、平安後期〜鎌倉後期の多数の貴重な仏像が安置されていることが確認されました。
本尊・弥勒菩薩坐像及び諸尊像(5躯)
本尊・弥勒菩薩坐像の胎内に墨書銘があり、永仁6年(1296)の制作であることが判明しました。
数年のうちに、宮殿内仏像は逐次文化財指定が行われ、重要文化財2件・14躯、県指定文化財6件・9躯、市指定文化財8件・8躯(合計16件・31躯)の仏像群が指定文化財となりました。

宮殿内仏像群は、その実態判明以来、仏像愛好者の大注目を浴びることになったのですが、厳重な絶対秘仏として、宮殿の扉が開かれることはなく、一般にはこれらの仏像を拝することは、一切叶いませんでした。
限られた研究者のみが、文化財調査の時に限り拝する機会がある、というものであったようです。

近年、本山慈恩寺では、宮殿内秘仏も、その一部の像を、期間を限って宮殿の外に安置するという、秘仏開帳展示が行われるようになりました。

今回の本尊ご開帳は、今世紀初ということですが、宮殿内安置のご本尊以下18躯にも上る仏像が、宮殿外に安置されるという、大規模なご開帳展示となるもののようです。
重文指定の14躯はすべてご開帳されるようです。

      
騎獅文殊菩薩及び脇侍像(4躯)                騎象普賢菩薩及び十羅刹女像(5躯)

本山慈恩寺本堂の宮殿安置仏の主要仏像が、これだけ勢揃いして開帳される機会は、そうなかなかないのではないかと思います。
山形・寒河江市まではちょっと遠いですが、訪ねて見られてはいかがでしょうか。



●    川崎市・能満寺の聖観音立像が12年に一度のご開帳(4/12〜30)(2014年4月25日)

神奈川県川崎市高津区の能満寺の聖観音菩薩立像が、12年に一度の午年ご開帳中です。
開帳期間は2014年4月12日(土)〜30日(水)です。
ご開帳情報を、直近知りましたので、遅ればせながらお知らせいたします。

能満寺・聖観音立像は、川崎市域最古の平安木彫として知られています。
像高101.3cm、カヤ材の一木彫、貞観彫刻風の古様をとどめた造形で、10世紀前半の制作と考えられており、市指定文化財となっています。
客仏で、近在の長命寺観音堂(現廃寺)に祀られていた仏像と伝えられます。

川崎市・横浜市エリアでは、10世紀まで遡る平安古仏は、本像ぐらいかと思われますので、一度、是非拝してみたいと思っていた平安古仏でした。
情報キャッチ後、すぐに出かけて、聖観音像を拝してきました。

江戸時代の修復により、顔部の相当手が入っていて玉眼になっているなど、体部との釣り合いが悪くなっていますが、胸から下の造形や衣文の彫口などは平安前期のボリューム感やダイナミックさの名残を十分とどめています。
ずんぐりとした体躯や、誇張気味の身体の捻りなどは、平安時代東国の土臭さのようなものを感じますが、それなりの力感を感じる仏像でした。
一見の価値はある仏像だと思われます。

         
能満寺・聖観音菩薩立像      平安時代・10世紀    市指定文化財


●    山形・長井市の普門坊・馬頭観音が修復記念特別開帳(4/27〜29)(2014年3月1日)

山形県長井市横町の普門坊の本尊「馬頭観世音菩薩立像」が、ご開帳となります。

普門坊本堂
この馬頭観音は60年に一度のご開帳が守られていますが、この度、300年ぶりの大修復完了を記念して、特別開帳されるものです。
次回開帳は、40年後になる予定です。
開帳期間は2014年4月27日(日)〜29日(火)です。
詳しくは、
普門坊HPをご覧ください。

本像は、これまで江戸時代の制作とみられてきましたが、今回の修理時に調査により、本像は、鎌倉時代の制作の可能性が出てきたということで、注目されています。

像高198pの巨像で、昭和62年(1987)に山形県指定文化財に指定されています。
山形県教育委員会の文化財解説によりますと、次のように記されています。

「“喝”と叫ぶように大きく開いた口、睨みつけるように見開いた眦(まなじり)、炎のように逆立つ怒髪など、面部の怒りの表情は大変迫力にとみ、8臂の構えも力強く、条帛や裳の襞の彫り出しも写実的で、鎌倉時代の中央の正統的な仏像を、彷彿とさせる逸品である。
また、金と朱で、激しく燃えたぎる火炎を表現した光背を背負ったこの像は、忿怒・威厳・迫力を余す所なく表現している。

元々の像は、鎌倉初期に羽黒の僧運慶によって彫られ、文保2年(1318年)に修復したが、その後、大破した。
この観音像は、大破した最初の観音像をモデルに、宝永6年(1709年)に新たに造立したものと見られる。」

2013年に、お堂の修復に併せて、東北古典彫刻研究所により、300年ぶりに本体と台座の保存修理が行われました。
修理に伴う調査の結果、像内から山形県有形文化財指定時には知られなかった銘記が発見されました。
馬頭観音様の体内から、数々の書付が発見され、前回の修復が、宝永6年(1709年)の江戸時代であることなどが記されていましたそうです。
この調査結果によれば、造立の時期は鎌倉時代に遡る可能性もあるということです。

普門坊のHPには、秘仏・馬頭観音像の特別ご開帳の案内に加えて、
「馬頭観音像の修復の有様などの映像が編集された7分間の動画」
が、掲載されています。
なかなか興味深い動画ですので、一度ご覧になってみてください。

          
普門坊・馬頭観音立像


●    滋賀・湖東三山で秘仏本尊同時ご開帳(4/4〜6/1)(2014年2月8日)

滋賀県、湖東三山と呼ばれる西明寺(甲良町)、金剛輪寺(愛荘町)、百済寺(東近江市)の秘仏御本尊が一斉ご開帳されます。
今回の御開帳は、昨年(2013)10月に名神高速道路に新たに設けられた「湖東三山スマートIC」開通を記念して、実施されるものです。

ご開帳期間は、2014年4月4日(金)〜6月1日(日)です。
詳しくは、ご開帳パンフレット、湖東三山各寺のHP(西明寺金剛輪寺百済寺)をごらんください。

湖東三山御本尊は、厳重秘仏とされており、
西明寺・薬師如来立像は住職一代1回限り、金剛輪寺・聖観音立像は定めはないが秘仏、百済寺・十一面観音立像は55年に一度、
のご開帳とされているものです。

西明寺・薬師如来像(重要文化財)、金剛輪寺・聖観音像(鉈彫り)、百済寺・十一面観音像ともに平安時代の制作と云われています。
百済寺・十一面観音像については、本HP「観仏日々帖」に「トピックス〜国華に掲載、秘仏・百済寺十一面観音像の調査論文」という記事を掲載していますので、参考にしていただければと思います。

皆さん、覚えておられるかと思いますが、湖東三山秘仏本尊は、2006年9〜10月に一斉ご開帳されました。
この時は、「天台宗開宗1200年記念」ということで、

「門外不出の秘仏本尊のご開帳は、半世紀ぶり、住職一代に一回など、実に貴重なもので、三山揃って一斉に公開するのは史上初!」

と報道され、私もこのチャンスを逃すと、もう二度と拝観できることはないのだろうと、訪れました。
それから、6年余で、またもや「一斉ご開帳」というのは、「まさか!!」のびっくりという処ですが、前回拝観を逃された方は是非この機会に行かれてはいかがでしょうか。


●    栃木県真岡市・専修寺の一光三尊仏像が17年ぶりにご開帳(3/28〜30)(2014年1月18日)

栃木県真岡市高田の専修寺の本尊「一光三尊仏像」が、17年に一度のご開帳となります。
開帳期間は、3月28日(金)〜30日(日)です。
詳しくは、専修寺HPをご覧ください。

この仏像は、秘仏のため文化財指定はされていませんが、鎌倉時代、親鸞が長野の善光寺から譲り受けたと伝えられ、市文化課は「国指定重要文化財級の仏像」としているそうです。
像高39.4pの金銅仏で、 秘仏のため如来堂(国指定重文)の金庫に厳重に保管されており、普段は模倣仏である「お前立像」しか参拝することができません。
17年に1度のご開帳は江戸中期から行われるようになったそうです。

下野新聞の記事によれば、
「同仏像は津市の真宗高田派本山の意向や、秘仏という性格上、文化庁などの調査を受け入れていない。
「お前立像」が県指定重文に指定されていることから、隠れた国指定重文とも言われている。
同仏像は同寺で3日間ご開帳した後、本山に運ばれ2年間公開される。」
とのことです。

津市の本山・専修寺のHPをみますと、本山でのご開帳期間は4月3日(木)〜11日(金)となっています。
こちらの情報の方が正しいように思えますので、正確な情報はお寺にご確認ください。

                     
.   専修寺の本尊「一光三尊仏像」                 真岡市・専修寺の御開帳ポスター               津市本山・専修寺の御開帳ポスター



●    茨城・雨引観音楽法寺の延命観音像がご開帳(1/1〜12/31)(2014年1月4日)

茨城県桜川市、雨引観音楽法寺の秘仏・延命観音像が御開帳されます。
開帳期間は、1月1日(水)から12月31日(水)です。
雨引山楽法寺・山門

この延命観音像は、通常は秘仏で、特別な場合しか拝観することが叶いません。
今回は、「甲午 御本尊特別大開帳」ということで、坂東観音霊場「午歳特別結縁巡礼」に伴って開帳されることになったものです。
詳しくは、
雨引観音楽法寺HPと、同HPの「甲午 御本尊特別大開帳」について、をご覧ください。

HPによれば、
護摩修行の際には、本尊前の緞帳を巻き上げて本尊のライトアップを行い、祈願者からまのあたりに拝観できるようにします。
護摩修行の後、本尊拝観者には須弥壇前を通って順次間近にて拝観していただく。
護摩祈願者以外の方で本尊拝観をご希望の方は、本堂左脇発券所にて本尊拝観券(\1,000[記念品付き]、18歳以下は無料)をお求めいただき、拝観して下さい。
とありますが、実際にどのようなかたちで拝観可能となるのか、詳細はよく判りません。

この延命観音像は、平安時代の制作で、重要文化財に指定されています。
雨引観音楽法寺HPには、
当山の延命観音像を詳細に調査された、茨城県の仏教彫刻研究の第一人者である後藤道雄氏(茨城県文化財保護審議会委員)によれば、「平安前期、9世紀後半の制作であると考えられる〜茨城県の木彫では最古〜」と鑑定されています。
像高156.5cm、カヤ材の一木彫、彩色像(剥落)で、普段は観音堂右の収蔵殿に奉安されていて秘仏となっています。
と解説されています。

なお、この延命観音像については、当HPの観仏日々帖「古仏探訪・雨引山楽法寺・観音菩薩立像」に、昨年11月に、私が拝観した時の観仏記を詳しく掲載していますので、ご覧いただければと思います。

この秘仏は拝観できるのはめったにないチャンスで、また拝する値打もある平安古仏だと思います。
一年間の開帳期間ですので、是非お出かけになることをお薦めします。

          
楽法寺・延命観音立像(重要文化財・平安時代)



●    四国・西国八十八か所が霊場開創1200年で秘仏一斉ご開帳(1/1〜12/31)(2014年1月4日)

お遍路でおなじみの四国の西国八十八か所霊場は、弘法大師空海が平安時代・815年に開創したと伝えられ、今年・2014年に開創1200年を迎えます。
これを記念して、八十八か所霊場の各寺院の多くでは、秘仏御本尊のご開帳や記念法要などの特別催事が実施されます。

1月1日から12月31日の一年間に、各寺が秘仏開帳期間や記念行事期間を設定して、行われる予定です。
普段は、拝することのできない秘仏も、多く拝観できるようになるようで、なかなか得がたいチャンスだと思います。

記念行事や御開帳スケジュールにつきましては、
四国八十八か所霊場会公式HPをご覧ください。
このHPに、「平成26年 四国八十八ヶ所霊場 開創1200年記念事業日程」という寺院別実施催事とスケジュール表の一覧表がPDFで掲載されていますので、これをご覧いただくと、詳細がわかると思います。
この他に、この一覧表から秘仏御開帳スケジュールを整理して解説した「お四国の仏様」というサイトを見つけました。
このサイトも、なかなか参考になると思います。

これらの掲載データを、「本尊秘仏の開帳」となる部分だけを整理して、文化財指定、制作年代、開帳スケジュールを一覧にした表をつくってみました。
まずは、これをご覧いただき参考にしていただければと思います。

 

ご開帳予定の仏像には、今年限りということではなく、例年御開帳の期間が定められており、今年もそれに則ったご開帳という秘仏もあるようです。

そのあたりの正確な情報は、私にもよく判らないのですが、「お四国の仏様」のサイトの解説によれば、
霊場 開創1200年記念ということで、普段ご開帳がなく、特別に開帳されるのは、

「28番・大日寺大日如来像(重文)、35番・清滝寺薬師如来像(重文)、66番・雲辺寺千手観音像(重文)、69番・観音寺大日如来像〜伝聖観音(県文)、88番・大窪寺薬師如来像」

だそうです。(一覧表の薄緑色に塗ったもの)
また、竹林寺の文殊菩薩坐像(重文)は、50年に一度の秘仏御開帳が、丁度今年に当たります。
竹林寺の御開帳につきましては、この秘仏御開帳のサイトに、先に詳細を掲載していますので、ご覧ください。


今回ご開帳になる仏像で、「文化財指定されている仏像」の写真をピックアップして、掲載しておきます。
ご参考にしていただければと思います。

              
17番井戸寺・十一面観音像                    28番・大日寺大日如来像.聖観音像                 31番・竹林寺文殊菩薩像


          
.       33番雪蹊寺・薬師如来像.毘沙門天像(湛慶作)              34番・種間寺薬師如来像         35番・清滝寺薬師如来像


              
.        42番・仏木寺大日如来像                 47番・八坂寺阿弥陀如来像           52番・太山寺本尊十一面観音像


              
.       66番・雲辺寺千手観音像                 69番・観音寺大日如来像(伝聖観音像)        86番・志度寺十一面観音像



●    高知・竹林寺文殊菩薩像が50年ぶりに御開帳(2014.4/25〜5/25)(2013年6月30日)


高知県高知市の五台山竹林寺の御本尊・文殊菩薩坐像が、来年春、2014年4月25日(金)から5月25日(日)に御開帳されます。

この文殊菩薩像(国指定重要文化財)は、50年に一度の御開帳で、普段は厳重秘仏として本堂厨子内に安置されています。
来年(平成26年)は、前回開帳からちょうど50年目に当たります。
詳しくは、
竹林寺HPをご覧ください。

竹林寺は、神亀元年(724)、聖武天皇の勅願を奉じた行基上人が、文殊菩薩の霊場として名高い大唐五台山になぞらえ開創されたにはじまると、寺伝に伝える古刹です。
数多くの古仏を伝えており、重要文化財に指定されている仏像は14件19躯にのぼり、高知県内で重文指定されている仏像の約3分の1にもなります。
竹林寺・本堂
ご本尊・文殊菩薩像以外の仏像は、宝物館に展示されていますので、いつでも拝観することができます。

秘仏・文殊菩薩坐像は騎獅像で、侍者4躯とで一具で遺されています。
(騎獅と侍者4躯は、宝物館に展示されており、いつでも拝観可能です。)
文殊騎獅像は、唐様と宋様の二系統がありますが、竹林寺像は上半身裸形に近く結跏趺坐する唐様の系統を伝えるもので、現存最古に遺品といわれています。
(宋様は、全身に衣を着て半跏趺坐〜中尊寺・文殊騎獅像がその典型)
平安時代後期の制作で、像高60.4p、クス材の一木造りの彩色像です。
頭部が大きく、厚みのある膝組み、太造りの体部を示すとのことです。

この文殊菩薩像は、重要文化財に指定されていますが、これまでも50年に一度のご開帳のほかには、公開されたり開帳されたりしたことはないようです。
今回の御開帳は必見かも知れません。

            
.           竹林寺本尊・文殊菩薩坐像                                    騎獅・侍者4躯(宝物館に安置)





過去の秘仏御開帳情報

2002年〜2011年

2012年

2013年

2014年

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