秘仏御開帳2012

 全国の秘仏御開帳情報は、下記サイトの「仏像の公開情報」に詳しいので、そちらもご覧下さい。

観仏 三昧 ─仏像と文化財の情報ページ─
展覧会情報、仏像の公開情報、講演会・シンポジウム情報、文化財トピックス等の情報を詳細に紹介している
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●    愛知県海部郡・甚目寺 十一面観音菩薩像が11月御開帳(11/23〜24)(2012年11月5日)

愛知県海部郡甚目寺町の甚目寺の十一面観音像が11月23日(金)〜25日(日)に御開帳されます。
11/25は、寄進者の方への御開帳日で、一般の拝観日は11/23〜24の二日間、午前10時から午後4時までだそうです。
甚目寺観音は厳重秘仏として知られ、50年に一度の御開帳となっています。
前回の御開帳は、2001年でしたが、今回は、愛染明王像・重要文化財指定記念、仁王像修復記念法要として、御開帳になります。

甚目寺本尊は聖観音像で、十一面観音像の胎内仏となっていると伝えられています。
十一面観音像は、地方には大変珍しい奈良時代の木心乾漆像です。
厳重秘仏のため詳しい調査はされていませんが、ほぼ等身の十一面観音立像で、首から下は木彫ですが、頭部は天平時代の木心乾漆像になっています。
明治初年に火災に遭い、その時大変傷んだらしく体部はその後の補作と思われるそうです。
この像の像容は、奈良の地の中央の乾漆仏とはかなりおもむきが違います。

久野健氏は「秘仏」(学生社刊)に、大変異国的で唐の仏像を直接写したものではないだろうかと、記しています。
日本古寺巡礼(社会思想社刊)には、都で仏像を造ったことのある仏師の作とは考えにくく、奈良時代にこの地方で乾漆の技術を知っていた仏師がいたのだろうか、と記されています。
大変、注目される仏像だと思います。

            
甚目寺                             甚目寺観音像(前回開帳時)                 十一面観音像頭部


●    三重嬉野一志町・薬師寺 薬師如来立像が10月御開帳(10/28)(2012年10月6日)

三重県松阪市嬉野一志町の薬師寺の御本尊・薬師如来立像(重要文化財)が10月28日(日)、
午前10時〜午後2時半に御開帳されます。
12年に一度の辰年御開帳です。
詳しくは松坂市HPをご覧ください。


薬師如来立像は、像高93.3cm、檜材の寄木造。
平安後期の製作で、定朝様の穏やかな姿の仏像です。


●    岡山・餘慶寺 千手観音立像が11月御開帳(1/17〜25)(2012年9月30日)

岡山県瀬戸内市の上寺山餘慶寺の本尊・千手観音立像が、11月17日(土)〜25日(日)に御開帳されます。
詳しくは、余慶寺HPをご覧ください

餘慶寺本堂に安置される木造千手観音立像は、古来秘仏として守られ、33年に一度の御開帳とされています。
江戸時代の記録にも、御開帳の時には数万人の参詣者でにぎわったと伝えられています。
この秘仏・千手観音像は、室町時代の作ではないかといわれていましたが、近年、解体修理が行われました。
ヒノキの一木割矧ぎ造りで、頭部は室町時代の新造、それ以外の構成部には、最も古い時代(平安時代)の部材が部分的に残っているとみられています。

その時、体内から約400年前の江戸時代の修理記録(寛永2年・1625)や五穀をはじめとする多くの納入品が発見され、大きな話題となりました。
2010年には、岡山県立博物館で「<仏>胎内の世界 −餘慶寺千手観音納入品−」展が開催されています。

この千手観音像は、無指定で厳重秘仏となっているためか、写真を掲載した出版物などが見当たらないようです。

餘慶寺といえば、平安前期(10世紀)の薬師如来坐像が大変有名ですが、この像は下寺・薬師堂に安置されていた像で、戦国時代の戦乱で16世紀に現在の上寺に移されたものです。
薬師如来像(重要文化財)は、聖観音像、十一面観音像と共に収蔵庫に安置されていますが、普段は非公開です。
今回の御開帳に際し、拝観出来るかどうかはわかりません。
餘慶寺に直接お問い合わせください。

          
餘慶寺の本尊・千手観音御開帳ポスター                    餘慶寺・薬師如来坐像     



●    兵庫加東市・朝光寺 千手観音2躯が10月御開帳(10/14)(2012年9月23日)

兵庫県加東市社町の朝光寺の本尊・千手観音立像2躯が、10月14日に開帳されます。
加東市観光情報サイトをご参照ください。

この千手観音像は60年に一度の開扉とされていますが、国宝・朝光寺本堂の屋根の葺き替え工事完了落慶法要に伴い、この度御開帳されることになりました。
朝光寺本堂は、室町中期【応永20〜正長元年(1413〜1428)】の密教仏堂の代表作とされています。

2躯の千手観音は、本堂宮殿に安置されています。
1躯は、鎌倉時代の作(県指定文化財)で、京都・三十三間堂蓮華王院の千手観音を移安したもの考えられています。
この像の左足ホゾ外側に「実検了 長快」との墨書銘があり、三十三間堂にも同じ墨書が23躯にみられることと、須弥壇厨子羽目板に「応永20年本堂建立の際、本尊を移した(御移徒)」との銘があることなどから、この像は、蓮華王院より移安されたものだと考えられています。
もう1躯は、平安時代後期の地方作と考えられている千手観音像で、こちらの像が元来本尊として独尊で祀られていたが、蓮華王院よりの千手観音移安に際し、本堂、宮殿を建立・改築して2躯の像を並べて安置することになったと考えられているそうです。

今回の御開帳では、2躯の御本尊が、共に御開帳されます。
なお、鎌倉時代作の千手観音立像は、1991年に兵庫県立歴史博物館で開催された、「ふるさとのみほとけ〜播磨の仏像展」に出展されました。
鎌倉時代作千手観音像の写真は、いくつかの出版物に掲載されていますが、平安時代作像の写真は、見当たりませんでした。

          
国宝・朝光寺本堂                                   鎌倉時代作・千手観音立像



●    千葉・松虫寺 七仏薬師像が11月御開帳(11/18)(2012年9月17日)

千葉県印西市の松虫寺、七仏薬師如来像が11月18日(日)に開帳されます。
33年に一度の御開帳で、本年がその年にあたります。
御開帳の日の次第など詳細はよくわかりませんので、松虫寺に直接お問い合わせください。
(TEL:0476-98-1120)

松虫寺七仏薬師如来像(重要文化財)は、天台系寺院を中心に造像されることが多かった七仏薬師が、7体一具に揃って残されためずらしいもので、このほかには滋賀・鶏足寺に在る2例だけが知られています。
7躯ともカヤ材の一木彫で素地仕上げ、中尊が坐像(54.3p)、脇仏が立像(37.9〜39.0p)となっています。
平安後期如来像の穏やかで美しい形姿を踏襲した像ですが、一木彫らしい彫り口も見られ、平安時代の制作とする考えと、鎌倉時代に入ってからとする考え方があるようです。

この像は、2005年奈良国立博物館で開催された「古密教展」に出展されるなど、何度か展覧会に出展されたことがあると思いますが、お寺での御開帳は今年33年ぶりの御開帳となるようです。

          
松虫寺・七仏薬師如来像                                           鶏足寺・七仏薬師如来像



●    千葉・蓮蔵院 聖観音像が11月御開帳(11/24〜25)(2012年9月17日)

千葉県市原市引田の蓮蔵院の聖観音像(県指定文化財)が11月24〜25日に開帳されます。

33年に一度の御開帳で、本年がその年にあたります。
御開帳の次第などはよくわかりませんが、市原市広報HPに情報掲載されています。
詳細は、市原市役所ふるさと文化課(TEL:0436-23-9853)などにお問い合わせください。

この像は、カヤ材の一木彫で、丸ノミの跡を全身に残す「鉈彫り像」で、平安後期の製作と考えられています。

2006年に東京国立博物館で開催された「一木彫展」に出展されたことがあります。



●    名古屋・大須観音、聖観音菩薩が28年ぶりに御開帳(10/18〜25)(2012年9月8日)

名古屋市中区大須の北野山真福寺宝生院(通称:大須観音)の本尊・聖観音菩薩像が、10月18日(木)〜25日(木)に、御開帳になります。
大須ニュースを、ご参照ください。

大須観音は50年に一度の御開帳ということですが、今回は、御本尊御遷座400年記念での御開帳で、28年ぶりの御開帳となるそうです。(次回は2030年だそうです)
50年おきの大須観音御開帳は、江戸時代の昔より、信者などで大変な賑わいになっていたようです。

            
御開帳ポスター                      文化10年(1813)開帳時の様子                 昭和6年の開帳時の賑わい

本尊・聖観音像が、いつ頃造られた、どのような仏像なのかは、よくわかりません。

大須観音は、寺伝によれば、元岐阜県羽島市大須に在り、後醍醐天皇勅願により能信上人が開山。
本尊の霊験は、世に知れわたる処となり、慶長17年(1612)、徳川家康が名古屋を建設経営するにあたり、寺院が現在の地に移されたそうです。

仏像についてふれた書物などがないかと探してみましたが、結局、見当たりませんでした。
唯一つ、全国寺社仏像ガイド(美術出版社刊)に「真福寺聖観音像〜無指定・秘仏、推定藤原時代」と書かれておりましたが、確かなことは全く判りません。
仏像について、何か情報がありましたら、よろしくお願いします。

●    若狭の秘仏・秋の特別公開【9月中旬〜10月下旬】(2012年8月19日)

小浜市では、「みほとけの里 若狭の秘仏 平成24年度秋の文化財特別公開」が予定されています。
普段は一般公開していない古仏像が、10ヶ寺以上で拝観できるようです。

特別公開の諸寺と仏像、公開日などは、福井県HP(歴史文化街並み)をご参照ください
寺院によって、公開日や公開時間が異なっているようですし、特別公開ツアーバスのみの公開の仏像もあるようですので、ご注意ください。

注目は、新指定文化財となった、高成寺・千手観音像と聖蓮寺・聖観音像(県立若狭歴史民俗資料館で公開)です。

高成寺・千手観音像は、今年4月に国指定重要文化財にスピード指定された、平安前期(9C)の像です。
(観仏日々帖〜新指定文化財展見てきましたを参照ください)
聖蓮寺・聖観音像は、今年3月、福井県指定文化財に新たに指定された、平安前期の檀像風の美しい仏像です。
(私は未見です)
他にも、普段は拝観しにくい仏像が、特別公開されます。
正林庵・菩薩半跏像(小金銅仏)、賀茂神社・千手観音像、意足寺・千手観音像などは、この機会に訪れて拝してみたい仏像です。

          
高成寺・千手観音像                 聖蓮寺・聖観音像


●    能登七尾・海門寺千手観音坐像が、9/29・30開帳(2012年8月19日)

本年4月、重要文化財に指定された、海門寺・千手観音坐像が、9月29日(土)、30日(日)の二日間に限り開帳されます。
「本来は33年に一度の御開帳ですが、平成24年に国の重要文化財に指定されたことを機に、今回2日間の特別公開をさせていただきます。」
とのことです。
詳しくは、能登ふるさと博HPをご覧ください。

千手観音坐像は、躰部内刳面の墨書銘により、保元3年(1157)に造立されたことが知られる、像高74.2pの針葉樹の一木彫像です。
この像は、東京国立博物館で本年4〜5月の「新指定 国宝・重要文化財展示」に出展されました。

●    滋賀長寿寺・本尊地蔵菩薩(子安地蔵尊)が、11月ご開帳(2012年7月15日)

湖南三山で知られる、滋賀県湖南市の長寿寺の御本尊が、11月16日〜25日に、57年ぶりに御開帳となります。
滋賀県観光情報〜長寿寺秘仏御開帳を、ご参照ください。

本尊地蔵菩薩は、子安地蔵尊と呼ばれており、内陣中央の春日厨子の中に安置されています。
春日厨子には、文明12年(1480)の墨書がありますが、本尊地蔵菩薩がいつごろの制作年代で、どのような像容なのか、全く判りません。
ちょっと調べてみたのですが、この仏像について書いた資料は見つかりませんでした。
長寿寺本堂は、平安末期から鎌倉時代の建築で、国宝に指定されています。
また、重要文化財に指定された、平安後期の大きな阿弥陀如来坐像2躯と釈迦如来坐像が残されています。(こちらの仏像は、事前に連絡すれば、いつでも拝観可能です)

秘仏本尊は、どのような仏像なののでしょうか?
御開帳が楽しみでもありますが、結構時代が下がるものなのかもしれません。
どなたかご存知の方がありましたら、情報よろしくお願いします。



●    六波羅蜜寺・本尊十一面観音立像が、11〜12月ご開帳(2012年6月5日)

京都、空也創建の六波羅蜜寺の御本尊、国宝・十一面観音立像が、平成24年11月3日(土)〜12月5日(水)に、御開帳されます。
六波羅蜜寺HPを、ご参照ください。

今回の御開帳は、12年に一度の辰年開帳にあたります。
前回の御開帳は、花山法皇一千年御遠忌「西国三十三所結縁総御開帳 」の時で、平成20年秋と21年春でした。

この十一面観音像は、空也が六波羅蜜寺の前身である「西光寺」を創建した時の本尊であると考えられており、空也が観音像などの造像と大般若経書写を発願した天暦5年(951)から、大般若経供養の行われた応和3年(963)までに造立された仏像といわれています。
10世紀の大型像で、造像の由緒と造像年が明らかな数少ない貴重な作例で、国宝に指定されています。
檜材の一木造りで、像高は262pという大きな立像ですが、全体として丸みのある穏やかな造型で、洗練された流麗な美しさを感じさせる仏像です。

10世紀の平安仏は、現存作例が多くないことや、強い個性で影響を及ぼすような造像作品があまりなかったこともあるのでしょうか、
シャープで迫力、量感あふれる平安前期彫刻から、康尚から定朝に至るいわゆる優美な定朝様式が確立されていく過渡期のように捉えられることが多いようです。

六波羅蜜寺十一面観音像も、例えば

「まだ一木造に特有な硬さも少しは残っているが、それ以上に藤原時代のなごやかな特色をあらわす。
この彫刻が10世紀半ばの作であるとすると、ちょうどこのころが、貞観様式から藤原様式への移りかわりの時期にあたるといえよう。
彫刻史の上から言えば、そのような重要な意味を当像はもっている」
(毛利久「六波羅蜜寺」中公美術出版)

といったような解説になるのでしょうか。

六波羅蜜寺像のほかに、10世紀の作例であることが明らかで、大変優れた出来の仏像がもうひとつ残されています。
法性寺の千手観音像で、藤原忠平が創建した法性寺灌頂堂の本尊と伝え、初めて灌頂が修された承平4年(934)の造立とみられています。
像高109p、桜の一木から彫り出された、当代一の美作と云える優れた仏像で、これまた国宝に指定されています。

この二つの、大変優れた10世紀の仏像作品をじっくり見ていると、
「10世紀の仏像は、平安前期から藤原様式(定朝様式)へと和様化転換していく過渡期的時期の作品」
とするのは、少々可哀想な気がしてきます。

定朝様式に代表される仏像の造形表現の感覚とは違った、
成熟した造形表現、優れた「おだやかさ」の立体表現の域に到達しているようにも思えてくるのですが、いかがでしょうか?
10世紀、平安の中期の仏像にもっと注目してみたい、そんな気持ちで今回の御開帳に行ってみたいと思っております。



●    中尊寺・一字金輪坐像が7〜11月に御開帳(2012年5月19日)

中尊寺・一字金輪坐像が、2000年以来、12年ぶりに開帳されます。

2012年7月17日(火・藤原清衡公御月忌)〜11月11日(日)の御開帳となります。
詳しくは、中尊寺HPをご覧ください。

この秘仏の御開帳は不定期で、たとえば清衡の850年御遠忌など、特別な年に中尊寺一山が御開帳を決めた場合だけ開扉されることになっています。
2000年の御開帳は、中尊寺の開山1150年記念でしたが、今回の御開帳は、「平泉の文化遺産」の世界遺産登録を記念するとともに、東日本大震災からの復興を祈念しての御開帳となります。

一字金輪坐像は奥州藤原氏三代秀衡の念持仏と伝えられてきた秘仏で、肌のぬくもりを感じさせるような、肉身部に施された彩色のなまめかしさから、「人肌の大日」という名で、広く知られています。
現在の体部の胡粉彩色や着衣の紅殻漆喰は、修理銘によると、延宝4年(1676)に大破していた本像を修理した時に改められたものだそうです。
この像は、半肉彫りのように造られていますが、像の構造が、他に例を見ない特異なものであることで知られています。
桂材を、上下8段に積み上げて頭体部を造り、両手を肩で矧ぎ、臂・手首にも別材をあて、背面から深い刳りを施してあります。
これについては、制作当初から、大きな懸け仏を造る目的で、像の重さを軽くするために、こうした特異な手法で半肉彫り風に作られたとする説と、修理の際、背面の損傷した部分を削り取ったため、このような状態になったとする説の二説があります。
制作年代については、久寿元年(1154)の制作と伝えられる京都・峯定寺の千手観音坐像の作風によく似ていることから、12世紀半ばの制作と考えられています。

          
中尊寺・一字金輪仏坐像                 峯定寺・千手観音坐像




●    鶴林寺本堂秘仏・本尊薬師三尊像が、10〜11月ご開帳(慶讃特別ご開帳)(2012年5月19日)

 聖徳太子ゆかりの加古川市の名刹、鶴林寺の本堂秘仏・本尊薬師三尊像が、
2012年10月6日(土)〜11月25日(日)に、特別開帳されます
薬師三尊像は、平安時代前期、10世紀の制作と考えられている仏像です。
この鶴林寺本堂・薬師三尊像は、60年に一度開扉の厳重秘仏として守られている御本尊で、前回の御開帳は、1997年(平成9年)でした。
この時の調査で、平安前期の仏像であることが判明し、翌年1998年6月に、薬師三尊像と二天王像の本堂安置像が重要文化財にスピード指定されました。

2057年までは、拝することはできないということで、現在、中高年の方は、もう拝観は絶対無理と諦めていた秘仏が、特別開帳されることになりました。

鶴林寺HP(更新情報〜2月1日:拝観料改定のお知らせをクリックしてください)によれば、
 「本年・平成24年秋に、兵庫県最古の建造物であります国宝・太子堂が再建900年を迎えるに併せて新宝物館が完成し、開館特別展ならびに本堂秘仏(本来は60年に一度御開扉される本尊・薬師如来)の慶讃特別ご開帳が行われることになりました。」
とのことです。

この薬師三尊の写真は、厳重秘仏であったことから、一般図書には掲載されていないと思います。
出版物では、
「鶴林寺とその全盛時代―室町折衷様式の美 」(鶴林寺叢書 3) 法蔵館刊 (2009/12) 1575円
に、写真が掲載されたのが、本像写真の初出版です。
このほか、DVDで、
「秘仏開帳 特別拝観の古寺・名刹をゆく」NHKエンタープライズ制作(2002/12)5145円
に、映像化されているようです。


●    長浜市・千手院ご本尊千手観音立像が、11月ご開帳(33年目開帳)(2012年5月16日)

  長浜市川道町の千手院本尊・千手観音立像(重要文化財)が、33年御開扉の年に当たり、11月3日〜11日まで、開帳されます。

            
千手院本尊・千手観音立像(仏像集成掲載写真)                 御代仏・千手観音立像


併せて、昨年新たに重要文化財に指定された御代仏・千手観音立像も開帳されます。
詳しくは、千手院HPを、ご参照ください。

千手院本尊・千手観音立像は、平安時代、10世紀の制作と考えられる一木彫像ですが、普段公開されることがないためか、写真が掲載されている本もあまり無いようです。

滋賀県観光情報には、

 「御本尊十一面千手観世音菩薩様<川道の観音さま>はその昔から秘仏として本堂内陣の大宮殿に安置され、通常年間は秘封されたまま何人もそのお姿を拝見することはできないのであります。ただ、三十三年目ごとに日を限ってお扉を開き、大法要を厳修するという、七百有余年前からの法度と伝統が今日まで固く守られています。
毎年、秋の11月4日には、御本尊十一面千手観世音菩薩様の代わりの仏様<御代仏千手観世音菩薩様>の御開帳法要があり、多くの御参詣の人々で賑わいます。」

と書かれているように、今回のご開帳を逃すと、なかなか拝観が難しい仏像だと思われます。
前回開帳は、平成8年(1996)で、中開帳であったとのことです。

写真で見ると、胸から腹部にかけてのボリューム感を感じさせ、穏やかさを感じさせるところもあるものの、なかなか見どころある注目仏像です。
また、御代仏・千手観音立像は、平成21年10月に初めて文化財関係者の目に触れ、平安時代初期(9世紀)作の優品として、一躍注目されることとになった仏像です。
重要文化財となるまで、「発見」からわずか1年余。これは、異例のスピード出世の仏像として注目を浴びた仏像です。
本尊よりも古像で、量感・迫力のある仏像です。

この2像を、同時に拝める機会はなかなか無いと思われますので、今回のご開帳は、必見と云えるのではないでしょうか。



過去の秘仏御開帳情報

2002年〜2011年

2012年

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