2005年 仏教文化財十大ニュース

 今年の仏教文化財に関する主なニュースを纏めてみました。
 異論もあると思いますが・・・。

 

● 白鳳時代のせん仏が出土(2005年2月22日)

 奈良県御所市西北窪の白鳳時代の二光寺廃寺の金堂とみられる礎石などの周囲から、三重県名張市の夏見廃寺の出土品や、奈良市の唐招 提寺の所蔵品(重文)と同じ型で作られたと考えられる阿弥陀三尊を中心とした大型多尊せん仏のほか計4種類の破片約200点が出土した。

● 紫香楽宮跡で 甲賀寺創建時の回廊跡遺構が出土(2005年3月10日)

 滋賀県甲賀市信楽町黄瀬の史跡紫香楽宮跡で、聖武天皇が大仏造立に着手した甲賀寺の創建時の回廊跡とみられる遺構が見つ かった。

● 熊野速玉大社の神像国宝に指定 (2005年3月17日)

 和歌山県新宮市の熊野速玉大社の木造熊野速玉大神坐像など4体の神像が国宝に、大津市・西勝寺の木造阿弥陀如来立像、鎌倉市・覚園寺の十二神将立像など46件が重要文化財に指定された。

● 高松塚古墳、壁画の解体保存を決定(2005年4月16日)

 彩色壁画の劣化が進む奈良県明日香村の高松塚古墳で、新たに黒色や緑色のカビが壁画の部分に発見され、現状のままでの保存は困難であることから解体保存されることになった。

● 建長寺山門など9件、重文指定を答申(2005年4月22日)

 鎌倉市・建長寺の大型禅宗様仏堂として知られる法堂と山門や荏柄天神社本殿など9件が、重要文化財に指定された。

● 東大寺二月堂が国宝に(2005年10月28日)

 文化審議会は、お水取りの舞台として知られる東大寺二月堂が、江戸時代の寺社建築として初めて国宝に指定された。

● キトラ古墳壁画剥ぎ取り、石室解体検討へ(2005年11月9日)

 壁画が劣化している奈良県明日香村のキトラ古墳で、四神図や十二神図天などの壁画を剥ぎ取りを開始した。
 2004年に西壁の戌、東壁の青竜、西壁の白虎胴部を剥ぎ取っており、今年は白虎の前足、北壁の丑、子、亥、玄武、東壁の寅の一部を剥ぎ取った。
 残るのは寅の一部と南壁の朱雀、午や天井の天文図などで、早急な保護が必要であるが、朱雀は漆喰が非常に薄く固着しており、また天文図が描かれた天井は漆喰が粉状化しているため、剥ぎ取りは困難で、高松塚古墳と同様石室の一部解体も検討する。

● 奈良・大安寺で全国最大の風鐸出土(2005年12月8日)

 奈良市・大安寺旧境内で、基壇の周囲から塔の軒先などに付ける大型風鐸の破片が出土し、復元すると、直径約30cm、高さ55cm、重量約12kgとなり、発掘された風鐸としては全国で最大となることがわかった。

● 国立博物館と文化研統合へ(2005年12月14日)

 独立行政法人の国立博物館と文化財研究所が、博物館の保存修復部門と文化財研究所の保存科学部門との連携を計り、両法人が収蔵する13万件に上る文化財の管理の質を向上させると共に、国立博物館が持つ展示・公開のノウハウを研究所所有の文化財にも生かすために統合されることになった。

● 京都・高麗寺跡で金めっきの相輪破片が出土(2005年12月21日)

 京都府山城町上狛の高麗寺跡で、 金めっきを施された相輪の破片1個が出土した。相輪の先端を飾った水煙を心柱に取り付ける円筒形の金具擦管の心棒の一部とみられ、渡来氏族の狛氏の氏寺に相応しく、高度な鍍金技術が見られる。

 

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