2004年 仏教文化財十大ニュース

 今年の仏教文化財に関する主なニュースを纏めてみました。
 異論もあると思いますが・・・。

 

● 運慶の大日如来像発見(2004年3月11日)

 鎌倉時代の仏師、運慶の作とみられる大日如来像が確認された。
 この大日如来像は、金剛界大日如来坐像で、像高66.1cm、ヒノキ製で漆箔が施されている。個人蔵。東京国立博物館で像の内部をエックス線で調査したところ、五輪塔の形をした木札や心月輪(しんがちりん)と呼ばれる水晶珠と仏舎利容器と見られる水晶製の五輪塔が納められていることが判明した。

● 金色堂諸像、国宝に指定(2004年3月20日)

 文化審議会が岩手県・中尊寺金色堂堂内諸像及び天蓋、藤ノ木古墳出土品など4件を新たに国宝に指定するように答申した。
 金色堂は、天治元年(1124)の造立になる中尊寺の創建当初の唯一の遺構である。四本の巻柱や長押しなどに螺鈿細工・透彫金具・蒔絵等を駆使した、藤原清衡・基衡・秀衡三代の遺体を収める三基の須弥壇に、それぞれ阿弥陀如来三尊、六地蔵、二天像を安置する。

● 紀伊山地霊場が世界遺産に(2004年7月1日)

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は、「吉野・大峰」「熊野三山」「高野山」の3霊場と、それらを結ぶ参詣道を「紀伊山地の霊場と参詣道」を世界遺産に登録することを決めた。

● 法隆寺堂塔建立は非再建か(2004年7月15日)

 奈良県斑鳩町の法隆寺西院伽藍は、年輪年代測定法による調査の結果、最も新しい物でも668―669年ごろに伐採された木材が使用されており、金堂、五重塔、中門の順に建てられたとみられることがで分かった。

● キトラ古墳十二支の獣頭人身像を確認、壁画全面はぎ取りへ(2004年9月14日)

 奈良県明日香村のキトラ古墳で四神の壁画の下に、東壁の北寄りに手に矛を持った寅(トラ)と、北壁の中央に手に矛を持った子(ネズミ)の獣頭人身像が描かれていることが確認された(4月15日)。また、青竜(8月12日)獣頭人身の「戌」(8月5日)白虎(9月8日)のはぎ取りを行い、残る四神図の朱雀や玄武、天井の天文図など壁画をすべてはぎ取り石室の外で修復する方針を決定した。

● 長谷寺本堂が国宝、百済寺本堂は重文に 文化審議会が答申 (2004年10月15日)

 文化審議会は、長谷寺本堂(奈良県桜井市)を国宝に指定するよう答申した。
 長谷寺本堂は間口約26m、奥行き約27もある巨大な建築で、1650年の完成。江戸時代の寺院・神社の中でも特に優れたものと認められた。

● 大安寺旧境内西塔基壇を確認(2004年11月12日)

 奈良市東九条町の大安寺で西塔跡の基壇が1辺21mの大規模なものであることが確認された。 塔の高さはとされる東大寺の東西両七重塔(高さ約100m)に次ぐ約70mの古代屈指の七重塔だったと推定されている。

● 法隆寺若草伽藍で日本最古の壁画が出土(2004年12月1日)

 奈良県斑鳩町の法隆寺境内で、聖徳太子が607年(飛鳥時代)に建立したと伝わる若草伽藍西側の谷跡から、彩色がある壁材の破片約60点が出土した。

● バーミヤン大仏の制作年代を特定(2004年12月18日)

 アフガニスタンの世界遺産バーミヤン遺跡で、2001年にイスラム原理主義政権タリバーンによって破壊された東西2体の巨大仏が、放射性炭素年代測定法により、いずれも6世紀代に制作されたと見られることが分かった。

● 唐招提寺の金堂建立は鑑真没後(2004年12月25日)

 奈良市西ノ京の唐招提寺の金堂の軒部材を年輪年代法で調査した結果、781年伐採のヒノキが使われており、鑑真の死後、奈良時代末ごろの建立であることがわかった。

 

 

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