埃
まみれの書棚から〜古寺、古佛の本〜(第六十四回)
第十五話 地方佛〜その魅力に ふれる本〜
《その7》各地の地方佛
ガイドあれこれ 【番外・探書編】
【15−1】
「埃まみれの書棚から」 さて、次はどんなテーマにしてみようか?
随分長く「地方仏についての話」を書き綴っていたので、「次の新しい話」の面白そうなテーマに迷っているところ。 「ちょっと、一息入れてみたいという気分」というのが正直な気持ち
つらつら考えていると、 この「埃まみれの書棚から」を読んでいただいている方々の中には、
「いろいろな古寺古佛の本を紹介してくれるのは良いが、どうやって手に入れたらよいのか?」 「絶版になっている古い本とか、県や市発行の仏像調査報告書や展覧会の図録の紹介ばかりで、読みたくても売ってないじゃないか」 「仏像関係のいろいろな本を、上手く探すにはどうしたらよいのだろうか」
などと、感じていらっしゃる方もいるのではないか? 自分勝手にそのように考えて、紹介本をはじめとする「仏像に関する本」「地方仏の本」の買い方、手に入れ方について、ちょっと気楽に【息抜き番外編】ということで、綴ってみたい。
【まずは知りたい!〜仏像の本は、どんなのがあるのだろうか?〜】
仏像についての【面白い本】を知りたいのだったら、 「なんと云っても、この【埃まみれの書棚から】を読みましょう!」 などと言うと、 「あの程度じゃ、物足りない。他にはないのか?」 きっと、言い返されてしまう。
そこで、仏像についての本(単行本)を、網羅して知ることが出来る、NETサイトとガイドブックを、それぞれ紹介しておこう。
世に出た仏像関係本を、広く深く徹底網羅したNETサイトは、このサイト。 「仏像関係の本ならすべてお任せ!」というサイトで、仏像概説書から研究書に至るまで、また奈良京都の有名寺院の仏像の本から、各地方の地方仏紹介・研究本まで、すべて網羅的に知りたいと思う方。 この仏像彫刻研究サイトを見れば、すべてが解決できる。
「春秋堂文庫」 http://homepage3.nifty.com/shunju-bunko/
このサイトは、「この埃まみれの書棚から」の第10話〈その2〉「各地の地方佛ガイドあれこれ 【全国編・東北編】」で、紹介しておいたので、覚えていられる方もいらっしゃるかと思う。 いわゆる「単行本」が、見事に網羅されているので、私自身も大変にお世話になっている。 特に、地方の仏像についての解説書や文献、仏像調査報告書などを知るには、このサイトを置いてはないと思う。
有名仏像に関わる「単行本」の、検索ガイドブックとしては、この本が便利。
「読書案内 国宝を知る本 彫刻編」日外アソシエーツ編集発行(H13)発売元:紀伊国屋書店 【362P】
わが国の国宝指定彫刻123件を、尊像別に区分して、個別の国宝彫刻について触れている関係書が、ふんだんに収録されている。 掲載参考図書(単行本)数は、5944冊というから、相当なもの。 たとえば、「観音菩薩」の項目で「法隆寺・救世観音像」のところを見ると、 「週
間古寺を行く・法隆寺」から始まって、「法隆寺の彫刻」(久野健)・「法隆寺美術論争の視点」(大橋一章)・「奈良六大寺大観」などの本格的研究解説書
や、「法隆寺国宝散歩」(高田良信)・「わたしの法隆寺」(直木孝次郎)・「夢殿」(北川桃雄)・「夢殿礼讃」(広津和郎)といった随筆解説書、さらには
「上宮聖徳法王帝説の研究」(家永三郎)「聖徳太子事典」 などといった本に至るまで、なんと87冊の本が掲載されている。 国宝仏関連本については、研究書から概説書、随筆紀行本に至るまで、なんとも重宝な、オールラウンダーのガイドブック。 同じシリーズで、「絵画編」「建造物編」も刊行されている。
ちょっとおまけで、 仏像彫刻の研究論文の検索目録も、紹介しておきたい。 「国華」「仏教芸術」「美術史」等々の美術研究誌、論文集に所載された、研究論文の検索所はこの本。
「東洋美術文献目録 定期刊行物所載古美術文献」美術研究所編(S16)座右宝刊行会刊【570P】 「日本東洋古美術文献目録 昭和11〜40年定期刊行物所載」美術研究所編(S44)中央公論美術出版社刊 【698P】 「日本東洋古美術文献目録 1966〜2000年定期刊行物所載」東京文化財研究所美術部編(H17)中央公論美術出版社刊 【1109P】 「仏教美術文献目録 1960〜1969年」ユネスコ東アジア文化研究センター編(S48)中央公論美術出版社刊 【302P】
以上の本があれば、明治以降の仏教美術関係の研究論文に、どのようなものがあるのか、その所載研究誌・論文集をすべて知ることが出来る。 |