街
中の塀に囲まれた一角にある壁状の大きなモニュメント。長さは45.5m、高さ8m、厚さ2mの大きな壁面に、9匹の巨大な龍が五彩(黄・縁・朱・紫・
藍)の彩色琉璃瓦の部材を組み合わせて描かれている。下部は須弥壇で、束腰の部分に獅子、虎、象、唐獅子、麟麟、天馬等の動物が彫られており、その姿はそ
れぞれ異なり、躍動的である。頂部は木造建築に似せて、寄棟造りの屋根には棟飾りが備わる。
この壁は1392年、明の太祖朱元璋の第
13子朱桂の屋敷の前に建てられた影壁で、邸宅は兵火で破壊され、九龍壁だけが残ったものという。
かつては寺廟や大邸宅の大門の外側
に目隠しの目的で建てられていたというが、現在中国に現存する九龍壁は大同のほかには北京の故宮と北海公園の三つだけで、その中で最大のものという。
華厳寺は上寺と下寺があ
り、下華厳寺を訪問。
下華厳寺の主要な建物である薄伽教蔵殿は、現存する唯一の遼代木造建築物である。内部には、中央と両脇に遼代の
大きな三尊像がそれぞれ安置されており、全部31体の仏像がある。全て塑像で、表面は金色、彩色に覆われている。いずれも中国仏教芸術を代表する逸品とい
われる。
下華厳寺の境内から上華厳寺の大雄宝殿が見えるが、これは仏殿としては中国最大級の建物とされている。軒高9.5mの寄棟造
りの屋根におかれた琉璃製の瓦が青空に映える。
中
国の交通事情、運転マナーは聞きしに勝る。中国は右側通行で、交差点では右折は常にOKというのが原則であるが、右折の際に横断歩道に人がいようがいまい
がお構いなしに右折する。また、自転車も車と一緒に並んで大回りで右折するため、人と自転車と車が同時に突っ込み、交差点付近はいつも大混雑。人は、車と
接触寸前でヒラリヒラリと身をかわして渡っていく。
車道の真ん中どころか、二車線、三車線の道路では、車の列の間に立止まって車をや
り過ごす者(うら若き女性に多い)もおり、車が人をかすめながら通っていく。
九
龍壁などの名所では、外人などの観光客が多いためか、横断歩道にお巡りさんが立って交通整理をしてくれる。それでもなかなか止まらず、お巡りさんとガイド
の王さんが身を挺して車を止めるが、反対車線の車は全く止まる意思なし。外国人にとっては、横断歩道を渡りきるのもほとんど命懸け。
大
同市内の見学の後、希望者のみ中国で一番古い木塔、応県の木塔を見学することにする。
大
同から高速道路を戻り約1時間半。インターチェンジの周りは何もなく、応県の街まで広い舗装道路を暫く走る。前方を大量の荷物を積んだトラックがのろのろ
と走っている。その都度、バスは当然のように対向車線に出て追い抜くが、追い越される方は路肩に寄るわけでもなく、中央線寄りを平然と走っている。トラッ
クを追い越す我々のバスを更に追い越す強者までいる。
応県の街に近付くと結構遠くから草原の中に建つ塔が見え始めてくる。高さ67m
と、日本一の東寺の五重塔よりも高いが、ずんぐりしているためそれ程高く見えない。
応県の街中に入ると両側に商店が建ち並び結構賑や
かだ。
木
塔は何もない原っぱの中に寂しく建っていると勝手に想像していたが、街の中心部にあり、浅草の仲見世のような参道があり、両脇に色々なお店が並んでおり、
買い物客や、道端でトランプや将棋などの賭け事をやっている人、それを取り囲んで眺めている人などでごった返している。
こ
の木塔は正式に
は、仏宮寺の釈迦塔といい、通称応県の木塔と呼ばれている。
遼代の清寧2年(1056)建造が始まり140年掛かって完成したとい
う。総高67mの八角九層の塔であるが、一層毎に暗層が付き、外から見ると五層に見える。中国で一番古い木塔でもあると同時に、世界で一番高い木塔であ
る。
各階の屋根の先端には風鐸が吊り下げられており、吹く風にかすかに鳴り響いている。昨年奈良・大安寺の九重塔跡から総高55cm
の風鐸が出土したが、奈良時代にはこの木塔のような音色を奏でていたのであろうか。
一
階には像高
mの釈迦如来坐像が安置されており、狭く暗い階段を昇っていくと、三層目には塑像の三尊像と眷属が安置されている。各層の外部は24本、内
側は8本の柱から構成されており、日本の寺院建築にも見られるような雲斗、肘木、梁などが複雑に組み合わされている。内側の八本の主柱は内側に傾いてお
り、構造的、力学的にも優れた構造なのであろう。
史書によれば、創建後300年後に大地震が起きて余震が7日間続き、他の建造物は崩
壊したが、この木塔だけが残ったとある。
以前は一番上まで登れたそうだが、今は三層までしか登れない。しかし、ここからの眺めは素晴
らしく、応県の街が一望の元に見渡せる。
今
日の夕食は羊のしゃぶしゃぶ。大同の名物料理だそうだ。羊といっても臭味はなく、キャベツ、ジャガイモ等とても美味しく食べられた。最後は日本と同様に、
残ったダシの中に麺を入れて食べる。この麺は小麦粉をよく練ったもので、お餅の様によく延びる。これを手で延ばして麺状にし、ダシに入れるのだが、係りの
お嬢さんが一つずつ両手で大きく延ばしてくれる。
写真を撮るから両手を伸ばしたままで、とお願いすると、恥ずかしそうに顔を赤らめな
がらポーズをとってくれた。
今回の旅行中、出た料理を残さず食べたのはこの時が最初で最後だった。中国では、食事は余る程出すのが礼
儀のようで、マナー違反だったか?
ホテル 宏安国際酒店