名称及び順序は経論によって異説もあるが、大智度論巻四によると次のようになる。
1. 足下安平立相 そくげあんぴょうりゅうそう
地を歩くとき足裏と地と密着して、その間に髪の毛ほどの隙もないこと。
2. 足下二輪相 そくげにりんそう
足裏に輪形の相のあること。
3. 長指相 ちょうしそう
一〇本の手指（異説では手足指）が長いこと。
4. 足跟広平相 そくげんこうびょうそう
足のかかとが広く平らかであること。
5. 手足指縵網相 しゅそくまんもうそう
手足指の各指の間に、鳥の水かきのような金色の膜があること。
6. 手足柔軟相 しゅそくにゅうなんそう
手足が柔らかで色が紅赤であること。
7. 足趺高満相 そくふこうまんそう
足趺すなわち足の甲が亀の背のように厚く盛り上がっていること。
8. 伊泥延せん（足偏に專）相 いでいえんせんそう
足のふくらはぎ（足偏に專）が鹿王のように円く微妙な形をしていること。伊泥 延 は鹿の一種。
9. 正立手摩膝相 しょうりゅうしゅましっそう
正立したとき両手が膝に届き、膝を摩するごとくであること。
10. 陰蔵相 おんぞうそう
男根が体内に密蔵されること。
11. 身広長等相 しんこうじょうとうそう
身体の縦広左右上下の量が等しいこと。
12. 毛上向相 もうじょうこうそう
髪毛の先端がすべて上になびき、右に巻いて、しかも紺青色を呈し柔軟であるこ と。
13. 一一孔一毛相 いちいちくいちもうそう
身体の一札におのおの必ず一毛を生じ、その毛孔から微妙の香気を出し、毛の色 は青瑠璃色であること。
14. 金色相 こんじきそう
身体手足すべて黄金色であること。
15. 丈光相 じょうこうそう
身体から放たれる光明は四方各一丈の長さであること。
16. 細薄皮相 さいはくひそう
皮膚が軟滑でいっさいの塵垢不浄を留めないこと。
17. 七処隆満相 しちしょりゅうまんそう
両掌と両足の裏、両肩、うなじの七所の肉が円満で浄らかであること。
18. 両腋下隆満相 りょうやくげりゅうまんそう
両膝の下が充実していること。
19. 上身如獅子相 じょうしんにょししそう
上半身の威容が厳粛で、あたかも獅子王のようであること。
20. 大直身相 だいじきしんそう
身体が広大端正で比類がないこと。
21. 肩円満相 けんえんまんそう
両肩の相が円満豊しゅう（月偏に叟）であること。
22. 四十歯相 しじゅうしそう
四〇枚の歯を有し、それらは雪のように白いこと。
23. 歯斉相 しさいそう
歯はみな等しく、硬く密であること。
24. 牙白相 げびゃくそう
四〇歯以外に四牙あり、とくに白く大きく鋭利堅固であること。
25. 獅子頬相 ししきょうそう
両頬が隆満して、獅子王のようであること。
26. 味中得上味相 みちゅうとくじょうみそう
食物はその最上の味を味わえること。
27. 大舌相 だいぜつそう
舌が軟薄で広く長く、口から出すと髪の生え際にまで届くこと。しかも、口に入 っても一杯にはならない。
28. 梵声相 ぼんじょうそう
声は清浄で、聞く者をして得益無量ならしめ、しかも遠くまで聞えること。
29. 真青眼相 しんしょうげんそう
睫の色が紺青色で青蓮華のようであること。
30. 牛眼瀟睫相 ぎゅうごんしょうそう
睫が整っていて乱れず牛王のようであること。
31. 頂髻相 ちょうけいそう
頭上に肉が隆起して髻（もとどり）の形を成していること。
32. 白毫相 びゃくごうそう
眉間に雪白の白毛があって光明を放つこと。