● 明通寺

福井県小浜市門前

    交通:山陰本線小浜駅からバス明通寺下車
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山 門

 

 海のある奈良と呼ばれる若狭地方は、古代から大陸からの渡来者も多く、また、京都から地理的にも近いこともあって、多くの古文化財を今に伝えている。東大寺二月堂のお水取りの香水を遠敷川の流れにのせて送るという、若狭神宮寺のお水送りの神事等も古代の中心地奈良と若狭のつながりを示している。

 遠敷川の支流松永川を遡ったところにある明通寺は、大同元年(806)に、坂上田村麻呂が、この地にあった棡(ゆずるぎ)の木で、薬師如来、深沙大将、降三世明王の三体の仏像を彫刻し安置したことに始まるという古刹である。この棡木が光明を放っていた事から棡山光明通寺と称したという。福井県で唯一、国宝の建造物を有する寺としても知られている。

 鬱蒼とした杉木立に囲まれた広大な寺域に、鎌倉時代の建立になる本堂(薬師堂)と三重塔(共に国宝)が立ち並ぶ。本堂は、五間六間の入母屋造、三重塔は方三間の檜皮葺きで、共に安定感のある美しい建築で、特に三重塔は、鎌倉時代の塔婆建築の典型とされる。

 本堂に安置される、薬師如来坐像、深沙大将立像、降三世明王像はいずれも平安時代後期の正統の作風を伝えるもので、重要文化財に指定されている。また、持仏堂の不動明王立像は、現在羽賀寺に伝わる千手観音立像及び、毘沙門天立像と共に、小浜市竹原の松林寺にあったもので、明治初年に同寺が廃寺になった際に、当寺に移されたものである。

 

 


 
渡部 忍 氏の紹介

1928年 愛媛県八幡浜市生まれ。
銀行退職後、趣味でスケッチを始める。
2002年1月 渡部 忍 スケッチ集「楽描き風景」を出版
現在、近畿日本ツーリスト・クラブツーリズム スケッチクラブ講師

 

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