製本の勧め

 最近、本やら文献の類いが増えてきて、元々狭い我が家が、全く流行らない古本屋のようになってしまった。
 各種の紙ベースの資料を整理するためにソーター付きのスキャナーを購入し、せっせとPDF化にいそしんでいる。
 このスキャナーは非常に良く出来ていて、枚数の多い書類もあっという間にPDF化することがとても心地よい作業となっている。

 PDF化した後の原本は、PDF化の本来の目的は減量化なので、いらないものは廃棄するが、やはり印刷物として残しておきたいものもある。クリップや巨大ホッチキスでとめるのも一法だが、折角ならと、纏めて製本するために、熱溶着型の製本機を購入することにした。

 熱溶着の製本は、アイロンやホットメルトガンなどでも出来ないことは無いが、手間を考えれば当然ながら製本機の方が使い勝手は数段上回る。

 製本機は正式なものは一万円以上するが、中古品を2000円で入手した。新品でもネットで探せば安いものは4000円程度で購入できる。

 製本の際は、通常ホットメルト用の樹脂が貼り付けられた熱溶着専用の製本カバーを使うのだが、製本する物の厚み毎にカバーを買わなければならないし、一冊100円くらいするため、結構費用がかかる。
 今回の製本目的はPDFのバックアップ用であり製本の形は余り凝る必要もないため、市販の模造紙とシート状の熱溶着シートを使用した。模造紙を本の厚み に応じて折り曲げ、同様に本の厚みに切った熱溶着シートを本の背の部分に置いて製本機にかければ、熱溶着シート一枚で何冊分も取れ、カバーと合わせても、 材料費だけなら20円/冊程度の費用で済む。

 また、接着が十分でないと表紙と本体部分は表紙を開くときに剥がれることもあるため、表紙の奥側に幅の狭い溶着テープを使うとしっかり固定される。
 溶着テープは溶着シートよりも薄いテープ状のもので、手芸用品店などで100m巻きが数百円で買えるため、一本買っておけば、かなりの数量の製本に使用できる。但し、製本機では側面は加熱できないため、製本後、接着度合いを見て必要ならアイロンで溶着する。
 この溶着テープは、表紙の正面を透明のシートとする場合にも使える。製本した表紙の一部を残して切取りこれに透明シートを当てて、溶着テープで固定すれ ば簡単に製作出来る(透明シートは100円ショップの(半)透明フォルダーをカットして使える)。固定はアイロンを使用する。
 製本の際、背表紙をきちんと整えるコツは、製本機にセットする前に、

(1) 溶着をしっかり行うために、溶着する側の端面をヤスリまたはノコギリなどで傷を付けるなど荒らしておく。
(2) 溶着の反対側の面を揃えてクリップ等で挟み、紙がずれないようにしておく。
(3) 溶着中に上から軽く押し付けるようにして、表紙と密着させる。
(4) 溶着が終了したら、厚紙を当てて手または本等で押さえつける(やけどに注意!)。

 問題は本形式のものだ。耳の部分を裁断してバラバラにする機械も売っているが、結構な値段がする上、余白が少なくなってしまうため、製本したときに読みにくくなってしまう。
 雑誌などは最初は、溶着してある分まで引き裂くようにしてバラバラにしていたが、溶着樹脂が硬く結構時間がかかる。
この際製本機を使って、製本とは逆で溶着部分を溶かせば、比較的簡単にバラす事が出来る(手早くやらないと、また固まってしまう)。

 これは、各博物館などで出版している紀要類の整理に有効だ。紀要類は、ほんの数ページが見たいために一冊買ってしまうことが多いが、本棚に並べておいても、表紙だけでは内容を思い出せず、結局死蔵してしまうことが多い。
 これを必要なところだけPDF化して、連載物などを纏めて製本すると、減量化になり非常に都合が良い。

 最終的には、棚の大半を占領している単行本類であるが、これは流石にバラバラにするのは抵抗がある。
 最近は、iPadなどで読むため本をPDF化するのが流行っており、減量化の観点からもそれが良いのだが、今後は余り手にすることの少ない本から順次PDF化したいと考えている。
 それが出来れば、PDFをOCR(光学文字認識)して蔵書を巨大データーベース化することが出来る。

 但し、OCRの性能は向上しているとはいえ認識率100%ではないため、OCRファイルは検索用としのみ使用し、データー自体は画像ファイル(PDFファイル)とするのが望ましい。

 
    溶着シート          溶着シートを本の厚みに併せてカット

 
         溶着テープ       市販の模造紙を本の厚みに合わせて折り溶着シートを置く


溶着シートの両側に溶着テープを貼っておく(ノリを軽く付けておくとずれにくい)

 
 製本する紙の表側をクリップ等で止める   溶着する側の端面をヤスリやのこぎりで荒しておく

 
紙を奥までしっかり入れる            セットした状態 

 
       製本機             製本機にセットし良く押し込んでおく

 
         溶着後          模造紙を本のサイズに合わせ余分をカットする

 
製本後                   完成


(参考)

●スキャナー
fujitsu ScanSnap S1500
読取方式 自動給紙方式(ADF)、両面同時読み取り
読取モード 片面 / 両面、カラー / グレー / 白黒 / 自動(カラー、グレー、白黒の自動識別)
読取サイズ:A4、A5、A6、B5、B6、はがき、名刺、(最大: 216×360mm、最小: 50.8×50.8mm)
読取精度:150〜1,200dpi(白黒) 600dpi(カラー)
読取速度:両面・片面 20枚/分(白黒600dpi)
両面・片面 5枚/分(白黒1200dpi)

●製本機
○アスカ B2500
製本方式 ホットメルト式 
最大製本サイズ:A4 
最大製本厚:24mm(複数冊を同時セット可能)
製本速度:約60秒

○インターコスモス サーマルバインダー TB-32(私が買ったもの:中古)
製本方式 ホットメルト式
製本厚:32mm
製本サイズ:320mm
製本時間:30秒(9mm)/60秒(30mm)

●溶着シート
○リヒト ホットメルトシート/固形ホットメルト 
M-1081 10シート     B4サイズ用(374×140mm)
M-1082 10シート     A4サイズ用(289×140mm)
M-1083 10シート     B5サイズ用(249×140mm)
   
○ジェイディーエフ シートタイプ・ホットメルト   
MELT-A 10シート A4用シート(286×190mm)(私が買ったもの)
MELT-B 10シート B5用シート(246×190mm)   
MELT-C 10シート お徳用シート(286×380mm)   

溶着テープ
ダイナックテープ(両面熱接着)    6mm×100m
ケミウェブテープ(両面強力熱接着)    8mm×100m(私が買ったもの)
ダイナミックテープより糊量が多いタイプ



  本のPDF化サービス

 最近、本を丸ごと裁断し、PDF化など電子ファイル化してくれるサービスなどが始まっている。
 価格は1冊当たり100円程度で、+100円程度でOCR化まですれば本が巨大なデータベースになる。
 本を宅配便などで送ってもいいし、アマゾンなどでは、発注した本をそのシステムに依頼すれば電子データで受け取ることも出来る(裁断したバラバラの本も送ってもらえる)。

 スマートフォンなどで本を読むことが多い人には最適なシステムかも知れない。

 但し、現在著作権団体などが問題視し始めてることもあって、将来コピーの範囲や金額に規制がかかるかもしれない。




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